「こち亀」連載40年の秋本治先生に学ぶ、ブログのコツコツ更新術

1976年の連載開始以来、一度も休載することなく「週刊少年ジャンプ」の誌面を飾り続け、ついに単行本200巻の節目をもって終了した漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、通称こち亀。

ジャンプといえば「こち亀」が載っていることが当たり前のようになっていたものの、終わってみれば、それは誰もが当たり前のように達成できることではないと、あらためて作者の秋本治先生の仕事ぶりに注目が集まっています。

そんな秋本先生の偉業達成の秘訣に迫るのが「ジャンプ流」。

Vol.1の鳥山明先生からはじまり、ジャンプの歴史に残る漫画家を毎号ひとりずつ特集した雑誌です。

一話完結のギャグ漫画を40年間続けてこられた理由を、秋本先生や歴代担当編集者のインタビューをもとに分析しているのですが、読んでみると、これはブログの更新に通じるところがあると感じました。

そういう視点で、気になったところを紹介してみます。

 

自分の趣味・興味を作品にとり入れる

とくにネタ集めの作業をするわけではなく、まずは自分が興味のある話を仕入れることで、こち亀のネタは作られています。

なつかしのおもちゃから、ドローンや艦これなどの最新ネタまで、なんでも興味をもつ両さんは、作者自身の反映。

そこに必ず、独自の視点が含まれていることで、単に流行りのものを追いかけているだけという印象は持ちません。

 

ブログでも、アクセス数を上げるために話題になっていること、TV放映されたことを取り上げればアクセス数が上がったりしますが、他のブログや公式の情報にはない、オリジナルな切り口はないか? と常に自問自答することが大事です。

 

たまには変化球を投げる

いくら自分の興味があることで、読者から受けが良いネタであっても、毎週毎週同じネタばかりでは飽きられてしまいます。

マニアックなネタ、人情話など、定番の路線を適度に配置しつつ、たまに実験的な作品を投入することで、変化が生まれます。いわば「気分転換」。

 

ブログでは、あるテーマに特化したブログを作るという手法と、複数のテーマを記事ごとに書き分ける手法があります。

前者ならともかく、後者であれば、テーマが集中しすぎないように「散らす」というのも一つの手。

最近このテーマで書いていないから、何か書けることはないかな? と意識的に気分転換することで、自分の思考の幅が狭まるのを防ぐことにもなります。

そこから、新たな定番のテーマが生まれることだって、あるかもしれません。

 

綿密なスケジュール管理とゴールの設定

過酷な週刊連載を、なぜ40年間も続けてこられたのか。しかも、時には月刊連載や読切をかけもちした期間もありつつ。

それはひとえに、ペン入れに3日、ネームに2日、週に一度は休みをとる、というスタイルを崩さなかったこと。

自分に合ったペースで、無理をしないスケジュール管理、タスク管理を試してみましょう。

4年に一度、オリンピックの年だけに登場する日暮熟睡男というキャラクターも、ある意味マイルストーンとしては象徴的な存在ですね。

 

また、これは書かれていないので憶測ですが、単行本100巻・連載何十年といった節目のお祝い事も、モチベーション持続のポイントだったのではないでしょうか。

これは個人の向き不向きもあるのですが、同じペースでコツコツやるだけより、目標・ゴールを設定して、それに向かってモチベーションを高めるほうが良い人もいます。

ただ、一話完結の連載作品だと、ストーリー上の明確なゴールもあまりなく、そのかわりに連載40年をゴールとして見据えることになったのかもしれません。

「これが達成できたら終わります!」という目標達成を掲げてブログをやってみるのも、ちょっとおもしろそうです。

 

ちょうど、この記事で「凪の渡し場」としては100個目の更新になります。

こち亀のように40年も…とは思いませんが、ここまで続けてこられたことに感謝しつつ、節目を意識した投稿になりました。

 

あらためて秋本治先生、いままでお疲れさまでした。


もっと名古屋が好きになる! みんなのナゴヤくるり芸術祭

トリエンナーレで、いままでより頻繁に栄に通うようになり、街の変化に敏感になってきました。

 

よく通る道でも、短い間にいろんなイベントが行われていたり、お店が閉店したり、また新しい店ができていたり。

めまぐるしい、ともいえるけれど、その一瞬のあいだに立ち会うことができたと思うと、ちょっとうれしくなります。

 

今回は、そんなふとしたきっかけで知ることになったイベントをご紹介。

 

はじまりは、栄のセントラルパーク地下街。その北の端、桜通線久屋大通駅とを隔てる、長い壁面を利用したギャラリーがあります。

先週そこを訪れると、「つくし賞」という展覧会が行われていました。

100人の作家から「あなた」というテーマで作品を募集したコンペ展だそう。

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このギャラリーの展示は写真撮影OKのときとNGのときがあるのですが、ちゃんと作品ごとに撮影の可否が明示されていたのも親切。

ちなみにこちらは、わたしが気になった作品の一部。

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その近くでは、「つくし堂」という80名のクリエーターの作品を販売する特設ショップも。

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これをきっかけに、栄をはじめとしたさまざまな場所で、「みんなのナゴヤくるり芸術祭」というものが行われていることを知ったのです。

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すでに終了してしまったものも多いですが、現在は地下鉄伏見駅・大須観音駅近くのギャラリーで「つくし荘」が開催中。

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また、その近くの cafe re:Li さんでは明日 2016/09/18(日)まで「覚王山展」も開催されています。

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素敵な路上園芸。

 

栄から地下鉄で数駅、覚王山日泰寺の参道に位置する覚王山商店街。

雑貨屋や古本カフェなどの集まる覚王山アパートや、毎年秋に行われる覚王山ミュージアムなどで人気の街です。

 

今回の覚王山展では、少し時代をさかのぼったような、現実とは少しだけずれた覚王山商店街が再現されていました。

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実際に、むかし使われていたポスターだそう。ロゴやフォントに目を奪われます。

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戦前・戦後の「覚王山レトロMAP」をいただけたのもうれしい。これを片手に、また覚王山を歩きたくなります。

 

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お店を出ると、近くに、まだ現役の「素敵な名古屋の洋食屋さん」を発見。今回は行けませんでしたが、いずれ入ってみたい…!

 

まだまだ、わたしの知らない名古屋がある。もっともっと、この街を好きになる。

そんな気持ちにさせてくれる、もうひとつの芸術祭でした。

水のような、空気のようなフォントを世の中に生み出す人がいる – 文字を作る仕事

まちなかで、あるいはパソコンやスマートフォンの画面の中で、わたしたちが毎日目にする文字。

そんな文字を作る仕事が、世の中にはあります。

 

その中でも、小説の文章や新聞記事といった、小さな文字のために作られたフォントを「本文書体」といいます。

広告や看板のロゴのように目立つものではなくても、普通に読めて、受け手に安心感を与える。

日本人なら毎日食べても飽きのこない白ご飯のように、あって当たり前の存在。

 

そんな本文書体を「水のような、空気のような」書体とよび、その理想を目指してフォントを作り続ける人が、この世にはいます。

それが、游明朝体などで知られる字游工房の代表取締役、鳥海修さん。

 

 

「水のような、空気のような」書体なら、誰が作っても同じではないのか。もうすでにあるものを使えば、新しく作る必要はないのではないか。

もし、そう思ったのだとしたら、この本を読んでみてほしいと思います。

 

この本では、鳥海さんの生い立ちから、本文書体を作りたくて当時最大のフォントメーカーだった写研に入社したときのこと、そして字游工房を立ち上げてからのことなどが語られます。

いっけん無個性に見えるフォントでも、そこには作り手の想いや、今の時代にもっとも適したデザインがひそんでいることがわかります。

鳥海さん自身の経験、出逢った人、読んだ本…それらが結晶となって、誰でもが使えるフォントが生み出される。

ふだんはうかがい知ることができない、そんな結晶化する前のエピソードのひとつひとつが、とても魅力的です。

 

たとえば、書家・石川久楊さんを交えて行った「究極の明朝体」を作るというプロジェクト。

本文書体として見慣れた明朝体ですが、実際に文字をなぞってみるとわかるとおり、もともとの楷書とはずいぶん違うデザインになっています。

それらを一文字一文字検証し、文字に修正を加えていく。少しの修正で、まるで受ける印象が異なるのが、漢字のふしぎなところ。

 

また、「文字塾」として、塾生ひとりひとりが作りたいフォントのコンセプトを立て、一年かけてフォントをデザインしていくといったことも行われているそうです。

 

そして、アップルのMac OS X (macOS)に搭載されたことで有名になったヒラギノ明朝体。

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このフォントも、字游工房が大日本スクリーン製造(現・SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ)から依頼されて制作されたもの。

当時のことを、鳥海さんはこう記します。

当日はスティーブ・ジョブズがステージに立ち、スクリーンいっぱいに映し出されたヒラギノ明朝体W6の「愛」を指差し、「クール!」と叫んだことをきのうのことのように覚えている。

後に、字游工房としてのオリジナル書体・游明朝体や游ゴシック体もMacに搭載されています。

考えてみれば、「空気のような」というコンセプトは、MacBook Air、AirPods など「Air(空気)」を冠する製品やサービスを多くリリースするアップルにふさわしいといえるでしょう。

もし将来、アップルと字游工房が協力し、オリジナルの日本語フォントを手がけたとしたら。

それはAirFontと呼ばれるに違いありません。

 

そんな空想も膨らむ、文字を生み出す人の物語。

 

本展だけじゃもったいない! あいちトリエンナーレをモバイルで楽しむ

名古屋市・豊橋市・岡崎市、それぞれの会場で開催中の、あいちトリエンナーレ。

しかし、この現代アートの祭典、実はこれら三つの市以外でも楽しめることはご存知でしょうか。

それが、「旅する展覧会」と題したモバイル・トリエンナーレ。

設楽町・大府市・一宮市・安城市を順番に旅する、小さな巡回展です。

 

巡回展なら、本展を見ていれば、わざわざ行く必要はない…?

いえいえ、ミニサイズだからこそ、本会場とは違った楽しみ方があります。

 

Pokémon Go だって、モバイル端末でリリースされたからこそ、本家のポケモンとは違う層にも広まったように。

主催者にとっては、地元の公共施設で開催することで、トリエンナーレや現代アートのことを知らなかった人にも、認知度を高めるという狙いがありそうです。

逆に参加者の立場では、それでどのような展示の差が出るのか、あるいは他の来場者の見方がどう違うのか、といった複数の視点を感じることができます。

もちろん、ついでにまちあるきも楽しめる、というおまけつき。

 

今回は、大府市勤労文化会館で行われたモバイル・トリエンナーレを簡単にご紹介。

最寄駅はJR共和駅。

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駅前には、良い年月の経過を感じる看板が残っています。

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西尾信用金庫、略して「にししん」。西尾維新みたいですね。と言いたかっただけです。

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半田信用金庫は、もちろん「はんしん」。

 

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10分ほど歩くと、大府市勤労文化会館が見えてきました。大きな赤い椅子は、もとからあったパブリックアートのようです。

 

 

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入口前の広場には、名古屋市美術館(N-34)など、複数の会場で同時展開されているジョアン・モデさんのNET Project(M-14)がありました。

来場者がつないだ紐が、最終的には一つの大きなネットになります。

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なつかしの第1回の草間彌生作品! …ではなく、何かのイベントで使われたカボチャのようです。ハロウィンでも姿を変えて展示とのこと。

 

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エントランスに入ると、アドバルーンがお出迎え。と思ったら、こちらは高橋士郎さんのバルーンアート作品(M-37)だそうです。

形が定まっていない、あいちトリエンナーレ2016の九本のロゴにちなんで、三本のバルーンがゆっくりと動いています。なんだか文字組が気になる…。

 

くちなしホールでは、思った以上に大型の作品がゆったりと並べられていて、見ごたえがあります。

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味岡伸太郎さんの、各モバイル・トリエンナーレ会場の土を採取した作品(M-01〜04)。

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タロイ・ハヴィニさんの、パプアニューギニアの装身具をモチーフにした作品(M-07)。

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竹川宣彰さんの、人類の歴史とセミの家系図をかけあわせた作品(M-38)。

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なるへそ新聞もありました!(M-39)

 

控室では映像作品も上映されていました。

こちらは山村浩二さん(M-42)の作品。和室の小さなモニターで「あたま山」を見るというシュールな体験。

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今後は一宮市、安城市を旅するモバイル・トリエンナーレ。

本展と同じモチーフを使った作品もたくさんあるので、あわせて見ればもっとおもしろい。

アートといっしょに旅する楽しみを見つけてみてはどうでしょう。

名古屋テレビ塔で、いつもの日常が非日常に変わる – カメラ視点学

名古屋栄に位置する、街のシンボル・テレビ塔。

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そのテレビ塔で、9月10日、大ナゴヤ大学の授業が行われていました。

大ナゴヤ大学は街中をキャンパスに、誰でもが生徒、先生になれる学びの場。

今回は7周年を記念して、テレビ塔をリアルキャンパスにした企画が開催されました。

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そのうちのひとつ、「カメラ視点学」の授業に参加してのレポートをお伝えします。

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先生はグラフィックデザイナーの鷹巣由佳さん。

普通のスマホで撮る写真でも、切り口を少し変えるだけで、日常と非日常がくるりと入れ替わる。

そんな写真や、それを素材にした作品を制作されています。

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まずは先生から、日常を切り取る視点、「自分フィルター」のつくりかたをレクチャーいただいてから、実際にみんなで街に出て実践していきます。

わたしも、ふだんはあまりやらない方法で写真を撮ってみました。

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隙間から、向こう側の世界をのぞいてみたり。

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植物の下から世界を見てみたり。

 

そんな中、マンホールに彫られた文字を見つけて、ふと思いついたのが、文字を一字だけ切り取る方法。

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手持ちの紙を筒状にして、スマートフォンのカメラにあてて撮影。

朧月夜のような、ふしぎな世界が生まれました。

これに味をしめて(笑)、いろんな文字を撮っていきます。

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名古屋の市章、まるはちのマンホール。

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テレビ塔の一室、ドアに貼られた謎の数字も。

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文字が円の外に拡散していくようなエネルギーを感じます!

タイポさんぽの折、「よきかなひらがな」のように一文字だけ切り出したい、というときにも応用できそうですね。

 

テレビ塔に戻ったら、全員で撮った写真を共有。他の生徒の方の写真も、それぞれの視点で面白いものばかり。

授業時間が短かったのが残念でしたが、まちあるきの楽しみがますますひろがるヒントをもらえました。

 

ちなみに、授業では写真を撮るときの手法として、カラーフィルターなどを使う手法が紹介されていたのですが、その後すぐ、思いがけず実践する場にめぐまれました。

それはあいちトリエンナーレ2016の、田島秀彦さんの作品(N-17)。

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愛知芸術文化センター11F。展望回廊の壁に、タイルや鏡などの日用品を並べた作品ですが、その窓側に多彩なカラーフィルターが貼られていたのです。

芸術文化センターはオアシス21を挟んでテレビ塔のすぐそば。ということで、テレビ塔を存分にカラーフィルターで撮影することができました!

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まさに非日常のテレビ塔。

なお、テレビ塔一帯では、10/15(土)・10/16(日)に、SOCIAL TOWER MARKETというイベントが開催されます。
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こちらも毎年、素敵な名古屋に出会える場となっています。

ぜひ、あなたのまだ知らないテレビ塔に会いに行ってみてください。