「やらない理由」を考えすぎてしまう人に贈る言葉

内向型人間がもつ特徴のひとつに「慎重さ」があります。

 

何かをするときに、まずよく調べてから行動したり、なにも考えずに発言することがなかったり。

それは強みでもあり、弱みにもなる、いわば諸刃の剣。

慎重であることは、リスクを避けようとする気持ちのあらわれですが、同時にチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

 

わたし自身、新しいことをはじめる前や、誰かに声をかけようとする前は、慎重さが不安に変わり、考えすぎてしまうことがよくあります。

そんなときは、「やる理由」よりも「やらない理由」を多く見つけ出そうとしてしまいがち。

その両方を天秤にかけて、やっぱりやらないほうがいい…と、無理やり自分を安心させようとしてしまう。

 

でも、やったほうがいい、やらないほうがいいなんて、やってみないとわからないことも多いもの。

客観的な分析が得意なぶん、ほんとうは不確実な要素を「やらない理由」に数えあげてしまう、見せかけの分析をしてしまう危険があります。

 

そんなときに、思い出したい言葉があります。

 

戯言シリーズ、最強シリーズなどをはじめとする、西尾維新さんの小説に登場するキャラクター、哀川潤はこう言います。(正確には、彼女がある人物から贈られた言葉として語ったもの)

「嫌なことは嫌々やれ。好きなことは好きにやれ」

哀川潤(西尾維新「零崎軋識の人間ノック」講談社文庫刊)

この言葉から、どんなことを感じるかは人それぞれでしょうが、嫌なことでも、嫌々でもやるというところが今回のポイント。

好きなことしかやってないように見える潤さんが語るからこそ、この言葉の面白みは出てくるのですが、その話はまたの機会として。

 

あるいは、米澤穂信さんの「氷菓」をはじめとする古典部シリーズの主人公に言わせるなら、こうでしょうか。

「やらなくてもいいことなら、やらない。やるべきことなら手短に、だ」

折木奉太郎(米澤穂信「氷菓」角川文庫刊)

 

これもまた、彼なりの省エネ思想の言葉なのですが、こういうふうにとらえることもできます。

やるかやらないかの判断基準として、やりたいかどうかではなく、やるべきかどうかだけを考える。

 

やりたくないことを嫌々やるか、手短にやるかはともかくとして。

「やらない理由」を探し出していることを自覚したら、いったんこんなふうに視点を変えてみると、不安にとらわれることなく、前に進むことができるかもしれません。

 

 

LINE BLOG の Webフォントを試す (2)

引き続き、LINE BLOG で使えるフォント、残り20種類を試していきます。前回の記事はこちら

 

UD 角ゴ

lineblog-21

UD はユニバーサルデザインの略。スマートフォンの小さい画面でも読みやすいフォント。ちょっと縦長のコンデンス書体が使われているようです。

 

ロダンわんぱく

lineblog-22

ロダンわんぱく、名前がかわいいですね(笑)。

直線と曲線を自由に組み合わせたひらがなやカタカナ、こどもといっしょにパズルを解いているような楽しさがあります。

 

スーラキャピー

lineblog-23

前回紹介したスーラよりも、もっとゆるい雰囲気のスーラキャピー

リリースされたのは1987年(昭和62年)だそうなので、ちょっと昭和を感じるというか、思わずキャピキャピという言葉(死語?)を連想したのですが、関係があるのかどうかは知りません。

 

学参丸ゴ

lineblog-24

学参というのは、学習参考書のこと。丸ゴシックでも、スーラよりちょっとまじめな雰囲気にしたいときにどうぞ。

 

ニューシネマ

 

lineblog-14

名前の通り、映画の字幕に使うことを想定したニューシネマ。観た映画の感想を書くとき、ぜひ使ってみたいです。

 

ハミング

lineblog-15

丸ゴシックのように見えて、よく見ると筆の強弱がリズミカルなハミング。筑紫書体と同じく、フォントワークス藤田重信さんのデザイン。

 

ライラ

lineblog-16

ロゴでもよく使われるライラ。このあたりのデザイン書体は、長文で表示されるとちょっと読みにくいかもしれません。

いまのところ、タイトルと本文のフォントを変えることができないようなので、なるべく短い文章のときに使ってみては。

 

アーク

lineblog-17

LINE BLOGのアプリをインストールして、いくつかのブログを検索していたところ、このアークが使われているものを見つけて一目惚れしました。

このフォントを使うだけで、女子力の高いブログになりそう。

 

マティスみのりやまと

LINE BLOG - マティスみのりやまと

マティスの漢字と、うねりのあるひらがなやカタカナを組み合わせたマティスみのりやま

ちょっと、まだ使いどころが想像できません。

 

マティスえれがんと

lineblog-3

これもひらがな・カタカナだけデザインが違う、マティスえれがんと。昔の少女漫画ふう、くるくるっとした巻き毛のイメージ。

 

スランプ

lineblog-18

スランプは以前まちなかで見かけましたね。これも長い文章を書くというより、短文で使いたいフォント。

aichi_triennale_fushimi-7

 

 

万葉行書

LINE BLOG - 万葉行書

 

万葉草書

LINE BLOG - 万葉草書

行書体草書体もちゃんとあります。

 

万葉古印ラージ

LINE BLOG - 万葉古印ラージ

これは古印体。つかもうぜ、ドラゴンボール!といいたくなる世代(笑)

 

ミステリ

LINE BLOG - ミステリ

ミステリと言うより、ホラー?

 

大江戸勘亭流

LINE BLOG - 大江戸勘亭流

いわゆる江戸文字のひとつ、歌舞伎の看板などに使われた勘亭流

 

古今江戸

LINE BLOG - 古今江戸

読みやすく力強いデザインの古今江戸。江戸文字というジャンルにとらわれず、いろいろと使いどころがありそう。

 

ラグランパンチ

lineblog-9

マティスに負けず劣らず人気のラグランパンチ。そのうち別途取り上げます。

 

ベビポップ

lineblog-20

すずむしにも近い雰囲気で、かわいいベビポップ。育児・子育て日記をベビボップで書くと合いそうです。

 

ドット明朝

lineblog-21

まるでオチのように、リストの最後に用意されています(笑)。

あえて、昔のコンピュータゲームや携帯電話の雰囲気を出したいときに使ってください。それ以外でドット明朝を使われると、正直ちょっと…。

 

 

以上、LINE BLOG 全31種のフォントを、ざっとご紹介しました。

 

LINE BLOG のおかげで、Webフォントの垣根がぐっと低くなったように感じます。

自分で記事を書いていくうちに、また新たな使い方を発見していくこともあるでしょう。

いろんな人の、いろんなフォントの使い方を見ていくのも楽しそう。

 

自分の想いを表現する手段のひとつとして、フォントを楽しんでみましょう。

 

 

LINE BLOG の Webフォントを試す (1)

LINE BLOG が一般ユーザーでもアカウントを開設できるようになって、話題になっています。

特徴のひとつになっているのが、アプリから、簡単にWebフォントを設定できること。

 

そこで、実際にどんなフォントがあるか試してみました。

iOS版の2016/11/24現在、iOS版のバージョン1.0.1で設定できるフォントはフォントワークスの書体を中心に、なんと31種!

毎日ブログを更新しても、一ヶ月のあいだ、日替わりでフォントを変えることができることになります。

そこまでしなくても、記事の雰囲気に合ったフォントを簡単に選べるのは大きな利点です。

 

今回は、そのうちの11種類を試してみます。

 

標準フォント

lineblog-2

iOSの標準フォントということで、ヒラギノ角ゴシックでしょうか。

Androidで見た時は、どうなるのかは不明です。誰か試してください(^^;

 

筑紫明朝

lineblog-1

ふたつめにフォントワークスの筑紫明朝をもってくるラインナップが素晴らしい。格調の高い明朝体。

 

筑紫アンティーク

lineblog-8

筑紫書体だけでも5書体も選べます。アンティーク明朝は、普通の明朝体より時代を感じさせます。

 

筑紫ゴシック

lineblog-5

筑紫書体のゴシック体もあります。「あ」の、ぐっと曲がった横棒がかっこいい。

 

筑紫オールドゴシック

lineblog-6

 

筑紫オールドゴシックは、文章がくっきりと目立って見えます。

 

筑紫A丸ゴシック

lineblog-4

筑紫書体のラストは、Macでもおなじみ、かわいい丸ゴシック。

せっかくなら、人気の筑紫Aオールド明朝もほしかったですね。今後に期待です。

 

マティスV

lineblog-10

マティスといえばエヴァンゲリオン公式フォントで有名なあのフォントですが、マティスVはそこまで文字が太くなく、現代的に見えます。

 

テロップ明朝

lineblog-11

テロップ明朝は、その名の通りモニタ上で見やすくデザインされた文字。筑紫明朝が少し見にくいと思ったら、こちらを選んでみるのもいいでしょう。

 

グレコ

lineblog-1

グレコは、すっきりした楷書体。和風の雰囲気がよく出ています。

 

ニューロダン

lineblog-2

こちらも読みやすいゴシック体。

 

スーラ

lineblog-13

スーラ! ゆったりとしていて自然体の丸ゴシックです。
なかなか気に入ったので、初投稿はこのフォントにしてみました(^^)

 

今回はここまで。最初はオーソドックスなフォントを紹介しましたが、次はもっと個性的なデザイン書体も試してみます。(つづきはこちら

名古屋の本屋の中心に – ちくさ正文館と、喫茶モノコト〜空き地〜

【追記】2023年、ちくさ正文館は惜しまれつつ閉店しました。この記事はアーカイブとして、当時の文章をそのまま残しておきます。
「喫茶モノコト」は大須の店舗で営業中です。


中日本、中京地区という異名をもつように、東京と京都・大阪の中間に位置する名古屋。

東西の文化の中継地点として、互いに交じり合いながら、独特の文化がはぐくまれてきました。

そんなまちの文化拠点のひとつといえば本屋。では、名古屋の本屋さんの中心といえばどこでしょうか。

わたしにとって、それは名駅のある中村区でもなく、栄のある中区でもなく、千種(ちくさ)区にあります。

栄から地下鉄東山線で2駅。

そこはまた、JR東海・中央本線とも交わる中継点。

そこに、ちくさ正文館という本屋さんがあります。

駅前のターミナル店は予備校も多いので、学生向けの参考書や漫画・雑誌にスペースをとった品揃えです。

けれど、ちくさ正文館といえば、そこから少し歩いた本店。

chikusa-1

このお店については、いままでも多くの本で語られています。

わたしがこの本屋さんをはじめて訪れたのは、ずいぶん前のこと。

でも実はそのとき、このお店がそんなに有名だということを知らなかったのです。

普通にまちあるきをしていて、普通に本屋さんがあると思って入りました。

そして圧倒されました。

こんな品揃えの本屋さんは、後にも先にも、見たことがありません。

ベストセラーが置いていないわけではなく。

買いたいと思って探していた本が必ず見つかるわけでもなく。

けれど、ここに来れば、ここに来ないと出会えなかったような本に、必ずといっていいほど出会える。

それが、実にさりげなく、押しつけがましくなく置かれている。

まるで凪のような、あるいは台風の目のような、その静かな空間のまわりに、大きなエネルギーが渦巻いている。

その意味で、ここが名古屋の中心であると思うのです。

そして、つい先日、このお店の二階が改装され、新しいスペース「喫茶モノコト〜空き地〜」がオープンしました。

chikusa-2

プレオープン企画として、あいちトリエンナーレ2016でも作品を展示されていた、岡部昌生さんと鯉江良二さんによる「ヒロシマの礫」の展示が行われていました。

広島の被爆した土と、こねられた団子。

港千尋監督の言葉に添えられた「あとはこれをどこに投げるかだ!」というキャッチフレーズが印象的です。

chikusa-3
chikusa-4

トリエンナーレがはじまる前にも、同じ場所で、岡部さんの展示が行われていたことを思い出します。

投げられる日を待っていたかのように、静かに時を刻んでいた空間。

リニューアルされて、喫茶店となりながらも「空き地」というキャプションがつけられた場所で、これから何が起こるのか。

11/18(金)〜11/30(水) は写真家・キッチンミノルさんと詩人・桑原滝弥さんの「メオトパンドラ」出版記念展が開催中。

わたしが訪れた際は、まだ定休日など諸々未定だと伺いましたが、徐々にメニューも増やして喫茶店としても充実していくそう。

本屋として、喫茶店として、これからますます楽しみな場所です。

図解で知る、深く味わう – 名古屋東海図鑑

ブログで好きなことをアウトプットをしていると、いままで意識していなかったことにも気づくことがあります。

たとえばわたしの場合、紹介した本のなかに「図鑑」と名のつくものが多いことに気がつきました。

あらためて本棚を見渡すと、「○○図鑑」というタイトルの本は、ブログで紹介していないものも含めて十冊以上ありました。

どうやら、わたしは図鑑が好きみたいです。

 

たしかに、まわりにパソコンもインターネットもなかったこども時代、調べ物といえば図鑑か百科事典。

それを読めば、いろいろなことを系統立てて知ることができる、イラストや写真でビジュアル的に感じることができる。

図鑑は、わたしにとって知識の泉でした。

 

そしていまも、よりマイナーなジャンルに特化した「図鑑」を本屋さんで見つけると、嬉しくなってつい買ってしまう、そんな心理があるようです。

そんな気づきを得たことにより、出会った本がこちら。

旅行が好きなので、日本各地のガイド本はよくチェックしていますが、住んでいる地方ほど、あえてガイド本を買いたいという気持ちが薄くなってしまうもの。

とはいえ、タイトルに「図鑑」とついていることだし、とりあえず中身を確認してみよう…。

そう思って数ページ立ち読みしたら、驚きました。

 

現在復元事業が進行中の、名古屋城本丸御殿の見取り図。

天守閣にそびえる金鯱のサイズ、重量、ウロコの枚数などのカタログスペック。

トヨタの原点となった豊田自動織機の3つの特許。

 

名古屋にまつわるさまざまなものが、図鑑の名に恥じない詳しさで解説されていました。

 

もちろん、名古屋駅周辺の高層ビル、テレビ塔、科学館、名古屋港水族館などの定番スポットも図解とともに紹介されています。

地元の人なら一度は行ったことがある、けれどまだまだ知らないことばかり。

行ったことがない人も、これを読めばきっと行ってみたくなるはず。

 

わたしがいちばん感動したのは、味噌から派生する名古屋の食図

大豆と塩を祖先として生まれた八丁味噌。

そこから派生した名古屋の食文化を彩る調味料・食材の数々を、家系図に見立てて見開きで紹介しています。

 

ちょっと筒井康隆さんの傑作「バブリング創世記」を思い出しました。

味噌煮込みうどんは八丁味噌の長男なり。

味噌煮込みうどん、コーチン一族の娘・かしわと結婚して手羽先を生めり。

味噌煮込みうどんの親友、留学生のカレーは、きしめんと結婚してカレーうどんを生む。

ほかの地方の人に、いわゆる「なごやめし」のおすすめを訊かれたとき、名物にしては幅が広すぎて、どう説明しようか困ることがありました。

この家系図さえ頭に入れておけば、もうその心配もありません。

 

 

ふだんの食卓も、万能味噌「つけてみそ かけてみそ」があるだけで、なごやめしに変身するように。

名古屋をもっと深く・濃く味わうのに、おすすめの一冊です。