赤パイロン、青パイロン、黄パイロン – あるいはパイロン色採集

まちを歩いていると、見えていても、見えないものがあります。

まちあるきの楽しみが無限にひろがる – 街角図鑑で紹介したように、そんな見慣れたものを収集して、分類することで、新しい視点が得られます。

 

その代表と言えるのが、この本の表紙にも中心としてデザインされているパイロン

カラーコーンというなまえで呼ばれることが多いですが、これはセフテック株式会社の商標で、ほかにも各社から販売されている、というのも「街角図鑑」ではじめて知りました。

 

それからというもの、まちあるきをしていると、思わずパイロンに目が行くようになってしまいました。

そこで今回は、とりわけパイロンの豊富なカラーバリエーションという視点で楽しんでみようと思います。

この本にも寄稿されている路上園芸学会さんの言葉を借りれば、パイロン色採集。

 

 

赤パイロン

まずは、もっともオーソドックスな赤色のパイロン。

立入禁止の場所や、危険を示すために、安全色としてISOやJISで規格化されていることからも納得がいきます。

といいつつ、ここでは、周囲の風景と、ふしぎな調和を生み出しているものをご紹介しましょう。

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鯉とパイロン。

 

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路上園芸とパイロンのオセロ。

 

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雨の日のパイロン。

こんなふうに反射板のついた、しまパイロンもよく見かけます。

 

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長年の激務に耐え、後進に役割をゆずるパイロン。

 

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もはや自然に返りつつあるパイロン。枯山水の心境です。

 

青パイロン

赤があれば青もあるのが世の常。

けれど、青色はまちなかで目立ちにくいのか、なかなか見つかりませんでした。見つけた日はちょっとラッキーな気分。

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あとしまつ立て看板とパイロン。

 

黄パイロン

黄色も注意喚起の色なので、パイロンによく使われます。

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国鉄中央線の記憶をたどる – 愛岐トンネル特別公開では、たくさんの黄パイロンにも出会いました。

 

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緑パイロン

植物の色にまぎれるからか、完全に緑一色のパイロンはなかなか見かけません。

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赤いマフラーを巻かれた緑パイロン。

 

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タヌキを守るパイロン。

 

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これは黄緑パイロン?

 

金パイロン

非常にめずらしいと思われる、きんいろパイロン。屋島山上で見つけたときはおどろきました。

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黄パイロンが汚れてこうなったのかとも思いましたが、後日、名古屋市内で別のきんいろパイロンを見かけて、やはりほんとうにあったんだ! と感動を新たにしました。

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白黒パイロン

見目うるわしい、真っ白なパイロン。いまのところ、黒の重しとセットでしか見かけていません。

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文字がテープで貼られていると、ちょっと惜しい。

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そうは言いながら、文字が消されていても、それはそれで気になります。

 

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そして、超かっこいい黒パイロン! こちらも京都BALで見かけたのみ。

 

仮装パイロン

最後は番外編です。

とある年のハロウィンイベントで出会った、仮装するパイロン。

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実は藍色や紫色のパイロンがどうしても見つからず、昔の写真を探していて偶然にも再会することができました(笑)。

 

ということでパイロン色採集でした。

 

頭の中で「赤パイロン、青パイロン、黄パイロン」と唱えつつまちあるきをしてみると、やけに語呂がよくて、なんだか楽しくなってきます。

いつの日か、本物の藍パイロン、紫パイロンにも出会うことができるでしょうか。

 

写植の時代から、未来の書体へ – 今田欣一の書体設計「書物と活字と」展

パソコン上で文字を扱う、デジタルフォントが普及する前の時代。

活字のほかに、写真の技術を応用して文字を印刷する技術がありました。

それが写真植字、写植。

そんな写植の時代から現在まで活躍されてきた書体設計士のおひとり、今田欣一さんの書体にふれることができる展示が大阪で開催されていました。

大阪DTPの勉強部屋 ” 今田欣一の書体設計「書物と活字と」展示会

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会場はJR環状線天満駅、または地下鉄堺筋線扇町駅の近く、カンテレ扇町スクエア。

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この3Fにあるメビック扇町は、さまざまなクリエーターによるイベント・展示のためのスペースになっています。

ちなみに別会場では、全国のまちの人がつくった小冊子・ポストカードなどを展示する「わたしのマチオモイ帖展」が2017/1/29(日) まで開催中です。

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こちらも一冊一冊じっくり読み込んでいると、いろんなまちを旅した気分になる、すてきな空間でした。

木津川アート行ってみたい…!

木津川アートマガジン

京都府木津川市で隔年開催。アートの力でわたしたちのまちに光をあてる芸術祭、木津川アート。

 

さて、本題に戻って、「書物と活字と」展。

写研の社員時代から、独立されてからの今田欣一さんの書体が一堂に展示されていました。

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写研時代の代表作のひとつが、ボカッシイ

[航海誌] 第14回 ボカッシイ: 文字の星屑

[航海誌] 第14回 ボカッシイ,タイプフェイスデザイン事始:タイポグラフィ前夜/貘書体/白澤書体/文字する時間タイプフェイスデザイン漫遊:航海誌/福岡の夢/東池袋KIDS/コンペは踊ろう/筆のバラードタイプフェイスデザイン探訪:偉人伝/見聞録

ゴシック体の中身を、45度の斜線で表現するという、いま見ても画期的なデザインです。

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講演会では、漢字のハネを読みやすくするために斜線の入れ方や太さに苦労された点などを聞くことができました。

 

また、LINE BLOG で使えるフォントとして紹介した、マティスみのりやまと

LINE BLOG - マティスみのりやまと

このみのりやまとも、フォントワークスのマティスと組み合わせて使うための「かな書体」(ひらがな・カタカナフォント)として、今田さんが独立後に制作されたものだそう。

(当時は別会社のフォントワークスインターナショナルから依頼されたもの)

 

さらに今後、60代、70代の代表作として設計される予定だという書体までが紹介されていて、その計画性にも驚きの声が上がっていました。

 

主催の大阪DTPの勉強部屋では、わたしよりはるかに文字に詳しく、文字愛にあふれる方々と交流できたりと、いろいろな意味で勉強になりました。

 

印象的なお話が、書体は一文字ずつ作っただけでは作品とは言えず、文章や本のタイトルなどで組まれて、人につたえるものになってはじめて完成するということ。

 

多くの人は意識せず、完成された文章だけを見ていることでしょう。

でも、その奥には、一文字一文字に命を吹き込む、フォントを設計する人がいて、そのフォントを選んで組む人がいる。

 

あらためて、ひとりでも多くの人に、そんな文字の奥深さを知ってもらいたいと感じる時間でした。

 

消極的と言われてきた人に贈る、シャイハックのすすめ – 消極性デザイン宣言

内向的、消極的、引っ込み思案…。

そんな性格は、とかくネガティブなイメージで語られてきました。

わたしもそのひとりだから、その気持ちがよくわかります。

 

でも、そういった性格を直さなければ社会でやっていけないわけではありません。

むしろ、そんな性格ならではの方法で、社会とうまくやっていく。

そんなヒントを見つけられる本が、また一冊この世に生まれました。

 

消極性というのは、人と人のコミュニケーションの問題であったり、モノやコトに対するモチベーションであると考えて、それぞれの解決方法をさぐっていきます。

「もっと積極的になりなさい」というのではなく、「もっと消極的になりなさい」を合言葉に、消極的な人のためのデザインを考える。

 

消極性研究会のメンバーである5人の著者それぞれの視点で、そんなSHY HACK(シャイハック)のすすめが語られます。

消極性研究会 SIGSHY

消極性研究会 SIG SHY: Speical Interest Group on Shyness, Hesitation around You

もともと情報科学分野の研究者で立ち上げられたグループということもあってか、コンピュータやゲームの話題が中心になっています。

つくづく感じるのは、インターネットをうまく使えば、消極的な人や内向型の人でも、力を発揮できるということ。

初音ミクを代表とするニコニコ動画での盛り上がりの事例では「○○ってみた」という文化が、それぞれの得意分野を活かしながら、他人とぶつからない方法でコラボを広げる、消極的な人向きのものとして取り上げられています。

 

消極的な人は、他人が嫌いというわけではありません。

この本の第1章では、人間の性質を「社会が好き」「人が好き」「自分が好き」の3種類に分けて考えています。

この中で、消極的な人が多いのはどれでしょうか。

それは意外に思われるかもしれませんが「人が好き」なのだそうです。

人が好きで、個人の違いを知りたいと思うからこそ、1対1では話せるけれど、1対少数の場になると話しにくくなる。

むしろ、プレゼンや講義のような1対多数の場では、思いをつたえようと気負いすぎることなく、のびのびと話すことができる。

 

消極的な人にとって、インターネットは1対多数の場でもあり、ひとりひとりとコミュニケーションできる場でもあります。

 

わたしも名古屋シャイハック研究会を立ち上げたい…とまでの積極性はありませんが、少しずつでも、同じように悩んでいる人に解決の糸口が見つかりますように。

「凪の渡し場」は消極的な人を応援します。

 

教えるフォント、学ぶフォント – 教科書体

日本各地で雪模様となった土日、大学入試センター試験が執り行われました。

受験生のみなさんも、まわりに受験生がいる人も、落ち着かない週末になったかもしれません。

さて、そんな受験シーズン、名古屋の駅構内には、こんな広告が出ていました。

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河合塾は、名古屋を本拠地とする予備校。

大学受験の予備校 河合塾

大学受験の予備校、学校法人河合塾の公式ウェブサイトです。大学受験の予備校、学校法人河合塾の公式サイトをご利用ください。

わたしは予備校に通ったことはないのですが、高校時代、模試や参考書(河合出版)でお世話になりました。

河合塾千種校のそばには、ちくさ正文館書店もあるので、いまでもなんとなく親近感をおぼえています。

 

そんなわたしでなくても、きっと日本で学校教育を受けた人なら誰しも、なんとなく懐かしさを憶えてしまうであろう、このフォント。

国語の教科書などで使われることを想定した、モリサワの教科書ICAと思われます。

教科書ICA R | 書体見本 | モリサワのフォント

「教科書ICA」は、教育分野に必携の書体です。筆書きの楷書体から生まれた教科書体は、一点一画が分かりやすいように字画が整理されてきました。現代では毛筆の勢いは抑えられて硬筆的な書風が一般的になっており、字を習うための規範となる形が素直に表されています。字形は、文部省発行「小学校学習指導要領」に準拠していますので、教科書、参考書、副読本、学習塾テキストなどの用途に安心してお使いいただけます。

 

日本語フォントのスタンダードといえば明朝体ですが、歴史的経緯から、書き文字とは異なる骨格になっています。

それこそ「」という文字の縦棒も、手で書くときはまっすぐに伸ばさず、ちょっと猫背に書くはず。

漢字をおぼえはじめる子供たちが、そういった違いで混乱しないように、特別にデザインされたフォント、それが教科書体です。

 

児童、生徒にとってはあたりまえのように触れてきた、学ぶためのフォント。

でも、実は一文字一文字、教わる相手のことを思って作られた文字なのです。

 

これまで毎日、一歩一歩、着実に踏みしめた足取り。

その力を出し切れば、きっと花は咲く。

 

そんなメッセージにふさわしいフォントです。

 

慎重すぎて行動に悩むときは、シンプルな法則に従ってみる

内向型人間にとって諸刃の剣である、慎重さという特質。

失敗がゆるされないような大事な局面においては、冷静に状況を分析できる慎重さは武器になります。

 

けれども、人生は、そんな場面ばかりとはかぎりません。

どちらを選んでも結果に大差がないような、ランチのメニューやお土産品を選ぶとき。

あるいは、あるセミナーや勉強会に出席しようかどうか迷うとき。

 

慎重すぎることで迷いが生じ、無駄に時間を消費してしまったり、けっきょく行動できなかったり。

そんなことばかりくり返していては、もったいない。

 

そんなときは、こんなふうに、シンプルな法則に従ってみましょう。

 

あえて選択肢を狭めてみる

わたしがいちばん迷うのは、選択肢が多すぎて、そのどれを選んでも結果に大差がないとき。

そのときは、あえてはじめから選択肢を狭めてみることで、迷いがなくなります。

お土産なら、駅ナカのお土産売り場で、最初に店員さんに声をかけられたところで買うとか。

広島土産なら、たくさんのもみじ饅頭がある中で、にしき堂の生もみじしか選ばないとか。これはちょっと別格かもしれません(笑)。

 

 

 

習慣の力を味方にする

何事も、最初にやるときがいちばん慎重になるもの。

同じことを何度もくり返せば、そのうち抵抗も減ってきます。

一度やってみて良いと思ったら、とりあえず半年か一年続けてみる、と決めてしまえば、次からは毎回悩むことはなくなります。

 

セミナーや勉強会なら、同じ主催者のものはどんな内容であれ行ってみることを基本にします。

今回の内容は自分に合うだろうか…と事前に考えたところで、結局行ってみなければわからないもの。

連続ドラマを観たり、定期購読している雑誌を買うとき、今回はおもしろいかどうか…なんて考えてから決めたりしないのと同じです。

 

ゆかりのあるものを選ぶ

今日の日付や、自分の誕生日から、同じ番号のものを選んでみる。

前から気になっていたイベントが、ちょうど自分の誕生日にやっていたから行ってみる。

なにげない、ゆかりのあるものを選ぶことで、意外な縁はつながっていくもの。

 

シンプルな法則を頭に思い浮かべることで、少しだけ、心もちを軽くしてみましょう。