小さく産んで、小さく育てる – 小さな習慣

歯を磨く、お風呂に入る、髪型を整える…。

誰しも、毎日欠かすことなく、もはや無意識のうちに行っている習慣があるでしょう。

それと同じように、たとえば寝る前に2ページだけ勉強のために本を読むとか、30秒だけ運動をするとか、ちょっとした習慣を加えることで、人生に良い変化をもたらすことができます。

そんな「ばかばかしいくらい小さな習慣」の効用を説くのが、こちらの本。

世の中には、同じように人生の中で自分のやりたいことや目標を実現するために、目標を小さく分割する〈スモールステップ〉の手法をすすめる本がたくさんあります。

けれど、この本の主張には、ほかに類をみない特徴があります。

それが、小さな習慣で大切にするべきことは、つねに小さな目標のままであって、目標を達成したとしても、新たな期待値を設定してはいけないのだという点です。

 

もちろん、はじめから大きなゴールを設定し、どんどん大きな目標に向かっていくことで、ワクワク感を高められる人もいるでしょう。

わたし自身、そうした人を何人も見てきたし、そんな生き方、考え方に憧れをもっていました。

そんな人にとってみれば、小さな目標を達成したら、次は少し大きな目標にする、というのは、いかにも自然な成長のアプローチに思えます。

 

けれど、大きな目標を持つよりは、徹底的に小さな習慣に集中するほうが向いている人もいます。

だってその目標は途方もなく遠くて、本当にたどりつけるのか、不安ばかりが勝ってしまう。

そして、いざ大きな目標を立てて失敗したとしたら、やっぱり自分には無理なのだと感じて、いつまでたっても自己肯定感を育てることができません。

 

でも、この本によれば、そうではないのです。

 

小さな目標はずっと小さなままでいい、「大きな目標は拒んでください」とまで書かれています。

小さな習慣が本当に習慣となって、何日も何ヶ月も達成し続けられていれば、それだけで誇るべき成果なのです。

そう言われると、なんだかすっと肩の力が抜けるような気がしました。

 

習慣化は得意だけれど、思うように成果が上がらない…。

そう感じていた自分も、目標は大きくし続けなければいけないと思い込んで、勝手に焦りを感じていたのかもしれません。

「小さな習慣」の力を信じて、コツコツと前に進んでいきましょう。

 

紙上からはばたく、鳥瞰図の世界

旅に、地図はつきものです。

目的地までの道のりを調べたり、そこに記された土地や名所の名前から、想像をふくらませたり。

そんな実用性と楽しさを一体化したのが、鳥瞰図とよばれる地図です。

明治時代、鉄道や船舶などの交通手段が発達すると、それまでの旅の様相は一変します。

より早く、より遠くへ、日本中がスピードアップした大観光時代がやってきました。

浮世絵の伝統を引き継いで描かれる観光案内と、西洋の遠近法を利用した精密な鳥瞰図が入り混じりながら発展していきます。

やがて、そんな観光用地図の世界を一変させたのが、吉田初三郎という一人の絵師です。

大正2年、初三郎が描いた京都と大阪を結ぶ京阪電車の案内図が、行啓中の皇太子(のちの昭和天皇)の目にとまり「これは綺麗でわかりやすい」とのお言葉を賜ります。

その言葉を生涯胸に、初三郎は、一枚の紙の上から鳥瞰図という壮大なスケールの世界をはばたかせました。

 

来たるべき飛行機時代を予見するかのように、鳥の目で、はるいかな高みから見下ろした日本列島の姿が描き出されます。

カラフルな色使いと、写実性をあえて無視した大胆な省略・デフォルメで、その土地のエッセンスが一枚の鳥瞰図に凝縮されます。

見渡せば、はるか遠くには富士山。

知らない土地はもちろん、よく知った街であっても、初三郎の鳥瞰図を見れば、いつでも新鮮な発見があります。

 

VRやARといった映像技術が発達した、今だからこそ。

不死鳥のように、何度でもよみがえって読み継がれる。

鳥瞰図には、新たな視点でものを見ることの楽しさを教えてくれます。

 

フォントワークスの年間定額フォントサービス mojimoに、kirei・kawaii・oishiiの3パックが追加

以前「凪の渡し場」では、フォントワークスの新しい年間定額フォントサービス mojimo manga を取り上げました。

 

mojimo manga(以下manga)は「第1弾」と銘打たれていたので、さらなるラインナップのフォントパックが登場することを期待していましたが、8/28から新しく、3パックのサービスが開始されています。

少し紹介が遅くなってしまいましたが、今回はこちらのサービスを比較してみます。

 

新しいパックは kirei・kawaii・oishiiの3種類。

契約方法やインストール方法は、manga と同様のため割愛します。

既に契約中の場合、mojimo会員ページにログイン後、【ご契約情報】>【契約の追加】で追加を行うことができます。

会員トップページからの導線が少しわかりにくいのでご注意ください。

 

使用許諾も manga と同じですが、kirei・kawaii・oishii では法人契約も可能なことが大きな相違点です。

もちろん、インストールできるフォントも異なります。

manga は36書体で年間3,600円、kirei・kawaii・oishiiはそれぞれ8種類で年間1,200円と、1フォントあたりの価格は少し高くなっていますが、総額は安くなっているのがポイントです。使いたいフォントによっては、むしろmangaよりお得に感じる人もいるかもしれません。

では、実際にどんなフォントがインストールされるのか、公式サイトでは別ページになっていてわかりにくいので一覧表を作成してみました。

PDF版

※アンチックセザンヌは、漢字のセザンヌにアンチック体のひらがな・カタカナを組み合わせたフォントですが、便宜上ゴシック体に入れています。

 

比較表をながめてみると、いろいろ興味深いことに気づきます。

フォント名のあとにMとかDとあるのはウェイト(文字の太さ)を表すものです。

本来、それぞれのフォントはウェイト別に複数の種類が用意されていて、それを全部収録してひとつのフォントになるのですが、mojimoでは各パックによって1,2種類のウェイトをうまく分散収録していることがわかります。

kireiの特徴

「綺麗」と言うだけあって、筑紫書体を中心とした明朝体フォントが充実しています。

「クレー」は硬筆フォントで、筑紫A丸ゴシックとともにmacOSにも搭載されているので、Macユーザがkireiを検討する場合は「筑紫明朝が年間1,200円で使える!」と考えたときにお買い得と思えるかどうか、でしょうか。

小説などの文章を組む場合には、とても重宝すると思います。

 

kawaii の特徴

ゴシック体・丸ゴシック体を揃えつつ、デザイン書体らしさも備えた「スキップ」「ハミング」といったフォントも含んでいて、使いどころがありそうです。

mojimo-kawaii|提供書体一覧|mojimo

mojimoは特定の用途ごとに最適な書体をセレクトし、年間定額制で提供します。

ちなみにサンプル文が kirei・kawaii・oishiiで別の文になっていて面白いです(笑)。

 

oishiiの特徴

筑紫書体の中でもとりわけ特徴のあるデザインの筑紫Cオールド明朝、筑紫アンティークLゴなど、各カテゴリのフォントがバランスよく収録されています。

迷わず使いわけたい! 筑紫A丸ゴシック・筑紫B丸ゴシックでは、ちょうどAランチとBランチのどっちを食べるか、という例で両者の違いを説明しましたが、kireiやkawaiiでは筑紫A丸ゴシック、oishiiは筑紫B丸ゴシックが搭載されているということは、フォントワークス公式にはBのほうが美味しい、ということでしょうか(笑)。

 

mangaの特徴

最初に、1フォントあたりの価格は少し高いと書きましたが、実はmangaに収録されているフォントの多くは、比較表で省略した明朝体・ゴシック体以外のデザイン書体です。

あくまでマンガを描かないわたしが半年使ってみた感想としては、これらのフォントは使いどころが限定されるため、もう少し明朝体・ゴシック体のラインナップが充実していたら、と思うこともありました。

そこに、今回の3パックが追加されたというのは、ある意味狙い通りかもしれません。

それぞれのパックで、絶妙に使いたいフォントがあり、どれを契約しようか、いっそ全部契約しても値段はmangaと同じか…と、悩ましいmojimo新パックでした。

 

 

いい旅、いい本の記憶 – ちょっとそこまで旅してみよう

旅が好きです。

旅の楽しさは、じっさいに現地を訪れている瞬間だけでなく、どこに行こうかと計画を練る時間、家に帰ってきて旅の思い出をふりかえる時間、そのすべてに含まれています。

あるいはまた、他の人から旅の思い出を聞いたり、旅行記を読んだりするという楽しみかたもあります。

そこで今回は、こちらの本をご紹介します。

益田ミリさんは大阪出身のイラストレーターで、マンガの著作もありますが、この本は文章で旅の思い出がつづられます。

女性3人でフィンランドやスウェーデンへ。その後、ひとりでフィンランドへ。

彼と東北へ。

老齢の母親と京都へ。

実は書店で見かけたときは、幻冬舎文庫フェアのオビが掛けられていて、こんな惹句に共感して買いました。

一冊読み終えたあと

なんとなく、表紙をながめます

まさにこの本も、なんとなく表紙をながめたくなる、いい本です(おさかなかついだネコは、とくに本編に登場しませんが…)。

 

本を読む前、手にとった段階で、表紙や裏表紙に書かれたあらすじ、あるいは著者の略歴が情報として頭に入ります。

それをもとにして、ある程度「こんな内容かな、それなら読みたいな」という期待を胸に、ページをめくっていくことになります。

そして、最後のページまで読み終わったとき、その期待や予想が当たったにしても、外れたにしても、もう一度本を閉じて、表紙をながめる。

そのとき、頭に浮かぶのはもはや、読む前にあった情報ではなく、読んでいた間の思い出なのです。

 

旅も同じです。

出かける前に、目的地について調べて、気になる場所やお店を見つけることもあれば、「あれが食べたい、これを見にいきたい」という理由から旅先を決めることもあるでしょう。

けれど、どちらにしても、そんな期待をみちしるべに現地に行ってみれば、必ずといっていいほど、事前に予想もしていなかった世界に出会うことになります。

それはあとから調べてみれば有名なお店であったり。

たまたま現地で出会った人々との会話であったり。

あるいは同行者の知らなかった一面であったり。

そんなあれこれが、あとから旅行のお土産品や写真を見るたびに思い出されます。

旅行に行く前と、行ったあとでは決定的に世界の見方が変わってしまうのです。

そしてそれは、同じ旅に行った相手とでさえ少しずつ視点が違う、かけがえのない自分だけの世界です。

 

本を読むたび、旅に出かけるたびに、知らない世界の思い出がひとつずつ増えていきます。