暮らしの中に隠れたさまざまな美を紹介するNHKの番組「美の壺」で、フォントが特集されていました。
美の壺 – NHK
おかげさまで番組は13年目! 壺のいい感じ、究めます。
「想いを伝える」コミュニケーション手段としてのフォントの奥深さ、幅広さが文字通り伝わってくる内容でした。
フォントで想いを伝えるブックデザイナやグラフィックデザイナー、そしてフォント自体を作るフォントデザイナーなど、さまざまなかたちでフォントに関わる人々が登場します。
そして、それらの源流をたどっていくと、中国の明の時代から伝わり、日本では明治時代に活版印刷として普及した明朝体に行き着きます。
いっけん同じように見える明朝体でも、人によって伝えたい想いが異なり、それを表現するために、いまも新たなフォントが生み出され続けています。
たとえば、フォントワークス・ 藤田重信さんの筑紫シリーズ。
筑紫書体シリーズ|フォントコラム|FONTWORKS | フォントワークス
フォントコラム|
たとえば、鈴木功さんの金シャチフォントに代表される都市フォントシリーズ。
こちらは名古屋城の金シャチを明朝体のデザインに取り入れています。
Type Project | 都市フォントプロジェクト 名古屋
街から生まれた文字が街で使われ、育まれ、いつか街の風景になる。それがタイププロジェクトが提唱する「都市フォント」プロジェクトのビジョンです。名古屋をイメージした「金シャチフォント」や、横浜の港をイメージした「濱明朝体」など、タイププロジェクトが取り組んでいるプロジェクトを紹介しています。
文字に、文字以上の想いをつめこもうとすること。
そのこだわりはある意味欲張りで、だからこそ切実で、崇高なものかもしれません。
番組内のドラマパート(?)では、草刈正雄さんが町内会イベントのチラシを作るためのフォントを選ぶというシチュエーションを演じていました。
フォントが多すぎて選べないときは考えるより感じる、それも一つの手です。
フォントの歴史や背景を知ることも大切ですが、それがすべてではありません。
自分なりの視点、感覚で、伝えたい想いをフォントに託してみましょう。