迷い迷ってめくるめく時 – 瀬戸内国際芸術祭2025 春・小豆島
三年に一度、備讃瀬戸(岡山・香川)で開催される、瀬戸内国際芸術祭。
今年も、春会期がはじまりました。
〈凪の渡し場〉では毎回、瀬戸内国際芸術祭の記事を公開しています。
今年は新しい会場が増えたり、いつもの島でも新しい作品が多く公開されたりと、今まで以上の盛り上がりが期待されています。
わたしのようにやや遠方から訪れる場合、かぎられた旅程で、どうやって効率的に作品を回れるか、計画を立てる時間も楽しいものです。
けれど、瀬戸内国際芸術祭のほんとうの魅力は、作品だけでなく、島や街、そしておおらかな瀬戸内海という舞台そのものにあります。
行きたいと思っていたところが混んでいたら、その日の気分に応じて、柔軟に、自由に足を向けるのもおすすめです。
(ただし、帰りの船の時刻だけは気をつけて)
ということで、今回も作品自体の紹介はほどほどに、〈凪の渡し場〉らしく楽しんでみます。

まずは岡山から快速マリンライナーでJR四国・高松駅まで。
駅には「高松オルネ」という新しい商業施設がオープンしていました。四国上陸そうそう、名古屋発祥のコメダ珈琲店のロゴを見るのは不思議な気持ちです。

安心してください、ちゃんと高松です。
この見慣れた〈瀬戸内国際芸術祭〉のロゴ横断幕を見ると、瀬戸内に帰ってきた気分になります。

2013年の沙弥島などで登場した〈そらあみ〉が今回は高松港に。
奥の車止めに、ひとつだけパイロンがいるよ! さがしてみよう(そういう作品ではありません)。

フェリーで小豆島まで向かいます。屋上には、フェリーより高いこいのぼり。

前回は時間の都合で行けなかった〈迷路のまち〉へ。うねうねと複雑な道を、迷いながら進んでいきます。

なんだか道を間違えてしまったみたいです。〈スナックより道〉は(たぶん)作品ではありません。でも、こんなより道も、人生には必要ですね。

漆喰に塗り込められた民家の中をさまよう〈sd04 目[mé]〉。

おや、話題の大阪・関西万博の幟がこんなところに…?

大阪ならぬ妖怪万博?
芸術祭の作品ではありませんが、アートプロジェクトMeiPAMが運営する〈妖怪美術館〉の特別展示のようです。
一般2,900円(前売や芸術祭チケットで400円引き)。公式アプリの音声案内を聞きながら、迷路のまちに点在する建物にある妖怪にまつわる作品をめぐります。

先ほどの塔の中から外を覗くと、怪しく黒パイロンがあらわれます。これもきっと妖怪のせい。

妖怪万博は1185年に初開催されたのだそうです。知りませんでした。

〈妖怪の石〉は4時間待ち。
誰もいない? いやいや、ヒトには見えない妖怪たちが大行列をなしています。

展示の最後は、真っ暗な部屋で、猫又といっしょに内省の時間です。
妖怪は、ヒトのこころの弱い部分から生まれる——のだとか。
こころが迷って目眩がしたら、たまには妖怪のせいにして気分を晴らすのも、あんがい悪くはありません。