さて、ではさっそくわたしの視点で、瀬戸内国際芸術祭の感想を書いていきます。
最初のテーマは、このブログらしく「文字」。
文字といえば、2010年の芸術祭の頃に強く思い出に残ったのは、男木島の港に浮かぶ男木交流館「男木島の魂」。
ですが今回訪れてみて、それ以外に印象的だったのは、街のあちこちにあるステンシル体でした。
ステンシルというのは、木や金属などのテンプレートに文字をくりぬいておき、それをなぞったり、上から塗装することで、いろいろな場所に文字を書ける手法。
テンプレートがひとつなぎになるように、文字に欠けた部分ができるのが特徴です。
必要に迫られてデザインされたフォントといえるでしょう。(厳密には、手書きのものはフォントではないですが)
宇野と直島をつなぐフェリーの中に、そんなステンシル体がいくつも残っていました。
ひとくちにステンシル体といっても、字体もさまざまで、書いた人の個性を強く感じます。
なぜか消火装置ばかり(笑)
そして、必要に迫られてといえば、これも男木島で有名なオンバ・ファクトリー。
坂や路地の多い島内で暮らすための必需品であるオンバ(乳母車)を制作する工房。
そのオンバに刻まれた「ONBA FACTORY」のロゴも、しっかりステンシル。
せっかくなので、工房の方に話を伺えれば良かったのですが…また次に訪れた機会にはきっと!
検索してみると、2010年4月ですが、ステンシル制作の様子を公式ブログで見つけました。
必要性から生まれる美しさという点で、アートとフォントの共通点を感じる体験でした。