冬になると、よく夜空を見上げます。
家までの帰り道、日の入りも早くなり、澄み渡った空に星々がきらめくのを感じる季節です。
星見の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、わたしはスマートフォンのアプリを片手に星座をみつけるのが好きです。
よく、北極星をみつけるのに、カシオペア座のWから交点を延ばすとか、北斗七星を使うという方法が紹介されることがあります。
でも、そう言われると、カシオペア座が北極星をみつける道具に過ぎないようにも思えてしまいます。
北極星だって、ポラリスという名前の、こぐま座を構成するひとつの星なのです。
星座の間に、優劣はありません。
さらに言えば、星座というのも古代の占星術や天文学という視点から生まれたものです。
ほんとうは距離も大きさもバラバラの星々を、ある時点の地球から見たうえで、勝手につなぎ合わせた星座のかたちは、宇宙のどこにも存在しません。
それでも、人はそれに意味を、物語を見出します。
一等星だけを探すのではなく、明るい星も暗い星もつなぎ合わせて意味をみつけるのは、人類の習性かもしれません。
視点を個人の趣味や特性に転じてみましょう。
仕事でも趣味でも、それだけに長年打ち込んでいる人を見ると、到底かなわないと思える瞬間があります。
たとえば、どれだけフォントが好きと言っても、一流のフォントデザイナーには追いつけない。
けれど、フォントが好きで、本や物語が好きで、まちの風景が好きで…といった視点をつなぎ合わせることで、日常のなかに新たな意味を見つけることができるかもしれません。
たとえば、ネコが好きでも、岩合光昭さんのような写真家になるのは難しいでしょう。
けれど、たとえば路上観察・都市鑑賞の視点を持ち込めば、〈猫とパイロン〉といった唯一無二の視点で写真を撮ることができます。
好きなものをたくさんみつけて、自由につなぎ合わせれば、自分だけの星座を描くことができるのです。
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