教えるフォント、学ぶフォント – 教科書体

日本各地で雪模様となった土日、大学入試センター試験が執り行われました。

受験生のみなさんも、まわりに受験生がいる人も、落ち着かない週末になったかもしれません。

さて、そんな受験シーズン、名古屋の駅構内には、こんな広告が出ていました。

kawaijuku - 1

河合塾は、名古屋を本拠地とする予備校。

大学受験の予備校 河合塾

大学受験の予備校、学校法人河合塾の公式ウェブサイトです。大学受験の予備校、学校法人河合塾の公式サイトをご利用ください。

わたしは予備校に通ったことはないのですが、高校時代、模試や参考書(河合出版)でお世話になりました。

河合塾千種校のそばには、ちくさ正文館書店もあるので、いまでもなんとなく親近感をおぼえています。

 

そんなわたしでなくても、きっと日本で学校教育を受けた人なら誰しも、なんとなく懐かしさを憶えてしまうであろう、このフォント。

国語の教科書などで使われることを想定した、モリサワの教科書ICAと思われます。

教科書ICA R | 書体見本 | モリサワのフォント

「教科書ICA」は、教育分野に必携の書体です。筆書きの楷書体から生まれた教科書体は、一点一画が分かりやすいように字画が整理されてきました。現代では毛筆の勢いは抑えられて硬筆的な書風が一般的になっており、字を習うための規範となる形が素直に表されています。字形は、文部省発行「小学校学習指導要領」に準拠していますので、教科書、参考書、副読本、学習塾テキストなどの用途に安心してお使いいただけます。

 

日本語フォントのスタンダードといえば明朝体ですが、歴史的経緯から、書き文字とは異なる骨格になっています。

それこそ「」という文字の縦棒も、手で書くときはまっすぐに伸ばさず、ちょっと猫背に書くはず。

漢字をおぼえはじめる子供たちが、そういった違いで混乱しないように、特別にデザインされたフォント、それが教科書体です。

 

児童、生徒にとってはあたりまえのように触れてきた、学ぶためのフォント。

でも、実は一文字一文字、教わる相手のことを思って作られた文字なのです。

 

これまで毎日、一歩一歩、着実に踏みしめた足取り。

その力を出し切れば、きっと花は咲く。

 

そんなメッセージにふさわしいフォントです。

 

Published by mizuho

文字遣い/探索士 ——夕霧に包まれ消えゆく島の名を知る術も無し凪の私は

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