二月も半ばを過ぎ、年末年始に年賀状を書いた人もそうでない人も、早くも今年の十二支がなんだったか思い出せなくなっているころかもしれません。
今年、平成29年はそう、酉(とり)年です。
わたしは生まれも酉年ということで、今年に入ってからというもの、ものがたりの登場人物や作者が酉年だったりすると、さらに印象が深くなります。
たとえば、中勘助(明治18年生)の自伝的小説「銀の匙」では、主人公の幼少期、同じ酉年生まれの少女と仲良くなるという描写があります。
そして、中勘助よりひとまわり上、明治6年に生まれたのが、幻想的な作風で知られる泉鏡花。
その故郷、金沢にある泉鏡花記念館では、ちょっと変わった企画展が開催されています。
企画展情報 | 泉鏡花記念館
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題して、「酉TORI/卯USAGI―錦絵で愉しむ向かい干支」。
向かい干支というのは、十二支を円周上にならべたとき、ちょうど向かい合わせにあたる存在。
鏡花は、酉の向かい干支にあたる卯(うさぎ)をモチーフにしたものを収集していたといいます。
陰と陽が対になるように。
あるいは、互いに正反対の性格だったり、自分にないものをもっている人に惹かれるように。
自分と正反対のものから、力を借りるという発想で見れば、いちだんと世界が広がるのではないでしょうか。
向かい干支の解説付き、十二支しおりもあります。