むかしから、行動が早い人にあこがれていました。
思い立ったら、息をするように自然に、かろやかに行動ができる人たち。
何かにつけて慎重派で、考えてからでないと動けない人間だったわたしにとって、その姿はまぶしく映ります。
考えすぎて動けなくなる、石橋を叩いて壊すようなことをするくらいなら、まず行動すればいいと人は言うでしょう。
それでもやっぱり、行動することに恐れはつきもの。
それは生来の気質であったり、経験から来るものだったりするかもしれません。実際に深く考えず行動して失敗したことがあれば、次は失敗したくないと思って、より慎重にならざるを得ないものです。
けれど、わたしたちに与えられた選択肢は「考えてから行動する」「考えずに行動する」のふたつしかないのでしょうか。
「考えずに行動する」といったところで、本当に何も考えないわけにはいきません。
「行動してから考える」と表現することもできますが、それでは不安だという慎重派にとっては、もうひとつの言い方のほうがしっくりくるのではないでしょうか。
それは「行動しながら考える」という第三の道。
あらかじめ、考えに考えて、完璧に思える計画を作ったところで、現実には想定外のことがどうしても起こるものです。
想定外のことに弱いのは、心のどこかで、一度考えれば、あとは何も考えずに行動できると高をくくっているからかもしれません。
でも世界は自分だけのものではなく、いろんな人がいて、いろんなことが起こりうる。
そんな中で問題を解決する、やりたいことを叶えるためには、どうしたって「行動しながら考える」しかありません。
ストレングスファインダーで言えば、〈慎重さ〉だけでなく〈回復思考〉や〈内省〉を絶えず発揮する必要があるということでしょう。
そんな考え方の大切さを教えてくれたのが「問題解決大全」という本です。
この本には、人生におけるハードルを乗り越えるためのさまざまな手法や考え方が詰めこまれていて、その一つに「過程決定計画図(PDPC)」があります。
過程決定計画図 – ORWiki
新QC七つ道具の1つ. システム特性が入出力や過去の履歴に依存する場合, あるいは相手の出方に応じて対応を変化させる必要がある場合, 現在の状況から最終結末に至る過程で生じ得る様々な状況や対策ならびにそれらの推移を, 問題解決の手順として有向グラフに描いたもの. システムの挙動を予測し, 適切な対策を模索し, その効果を事前に予測して, 最終的に望ましい結果に至るように計画するツール. 危機管理や集団意思決定に有効.
1970年代、大学紛争の時代に、大学側が学生と交渉するために編み出された手法だと言います。
刻一刻と変わる状況下、事前に考える時間も与えられない中で、望ましいゴールにたどり着くための「行動しながら考える」ツールとして紹介されています。
行動することに不安があって、歩みが止まってしまうときは、「行動しながら考えることもできる」と思えば、すこしだけ足取りが軽くなるかもしれません。