日々の生活のなかで、さまざまなことが気になったり、心配事をかかえてしまうことがよくあります。
他人から、考えすぎだと言われることもしばしば。
だからといって、考えないでいられる生き方に憧れながら、どうして自分はそうではないのかと、また考えこんでしまう。
そんな、考えすぎる人生を送る人々にとって、大いに共感を呼ぶであろう本がこちら。
著者のヨシタケシンスケさんは、かわいくてユニークな切り口の絵本、イラストなどで活躍されています。
この本は、ヨシタケさんが日常の中で思わず考えてしまった一コマを、その際に描きとめたスケッチとともに語るエッセイです。
トイレから出るとき、ドアノブの中で一番きたなくない部分はどこだろう。
ストローを取り出した後の紙袋を、きれいにちっちゃくたたみたい。
些細だけれど、わたしも幾度となく考えてしまったことがつぎつぎと登場します。
と同時に、ヨシタケさんの奥様はそういうのが気にならない方らしく、くしゃくしゃになったままのストローの袋を見て、さらに考えてしまう。この言葉は救いですらあります。
ところが、全くそれが気にならない人が世の中にはいて、そういう人と結婚まで出来るっていう、そういう人生の奥深さに、改めて感動したりします。
ヨシタケシンスケ「思わず考えちゃう」(新潮社)p.45
後半は、仕事であったり、人生であったり、考えすぎてしまうからこそかかえてしまう悩みが赤裸々に語られます。
でも、そんな悩みも、考えすぎも、いつかきっと何かの役に立つ。
そんな信念のようなものに貫かれていることが、読みすすめるとはっきりわかります。
この本を読むと、「安心して不安を感じていいんだ」と(ふしぎな言い方ですが)思えます。
そんなことを考えながら、今日という一日を終え、きっと明日を生きていくのです。
No Comments