楽しい「独学」のすすめ – 知的トレーニングの技術

さいきん、「学ぶこと」が楽しい。

もともと好きだったものを、もっと深く学んだり。
あまり知らなかったことを、新しく勉強したり。

そして、それをブログにまとめる間にも、さらに多くの気づきを得られます。

 

同じように、学ぶことに楽しみを見いだしている人はもちろん。

そうでない人も、ぜひ一読をおすすめしたい一冊。

 

完全独習版と銘打たれている通り、この一冊で独学のために必要なことが詰まっています。

本文は大きく準備編・実践編に分かれます。

準備編は、人生においてどのような「知的プラン」をたてるかという立志術にはじまり、どのように学ぶためのやる気を出すかなど、基礎テクニックを解説。

実践編は、知的生産を「読み」「考え」「書く」という3ステップにわけ、それぞれ読書術、思考術、執筆術として解説。

 

全部は解説できないので、それぞれ印象に残った文章を引用しておきます。

 

「読む」とは、本という客観(活字)とぼくらの主観(言葉)との合成物をつくること

本を読みすすめていくことで、写本のように、頭の中にもう一冊の本ができあがる。

でも、それは、もとの本とまったく同じではない。
それまでに読んだ他の本の記憶や、経験などと混ざって、自分だけの新しい一冊になる。

本を読むという行為の醍醐味が凝縮されている一文です。

 

文章は線である

頭の中の思考は、ときとして立体のように複雑なもの。
紙の上でそれをまとめるときは、たとえばマインドマップのように面的に表すことで、わかりやすくなります。
けれど、文章でそれを表そうと思ったときは、どうしても線型で、順序立てて語らないといけない。

だからこそ、その順序をしっかりと構成することが、文章表現の肝になります。

文章を書くことを苦手にしている人は、ぜひ、このことを頭に置いてほしいと思います。

たとえば、どうしても伝えたいことを付箋に書き出し、それを並び替えて、わかりやすい構成を組み立てます。
それがそのまま文章の柱になるので、それをさらに細かく分けて…と進めていくことで、目次が完成します。

 

浪費こそが、人生の価値と意味とを生産する

本書の最後のあたりに結論のように書かれているので、これだけを取り上げても理解されなさそうですが(笑)
仕事だから、必要だから考えるのではなく、考えることそれ自体を楽しむ、それが思考の浪費。
最後に、本書の来歴について。

底本は1980年の発行。パソコンも普及していない、インターネットもない時代ですが、基本的な考え方は現代でも通用します。
もちろん、デジタルツールの発達によって、情報の探索といった敷居は飛躍的に低くなりました。

2015年の文庫版あとがきでは、今の時代だからこそ、独学の条件がますます整ってきたと書かれています。

 

そして、独学は、けっしてひとりで学ぶことだけにとどまるものではありません。

準備編・知的交流術の章では、自分とは異なる分野の友人をつくる(知的分業)、あるいは同学の士で協力し合う(知的協業)ということが書かれています。
さらに、よき師を選ぶ、ということも。

 

このあたりも、現代の日本は良い環境に置かれています。

あとがきにも触れられているとおり、「街をキャンパスに」をキャッチフレーズとした特定非営利活動法人・シブヤ大学をはじめとした学びの場が全国にあります。

大ナゴヤ大学は、わたしも何度も生徒として参加しています!

ほかにも、ネットではさまざまな勉強会を探すことができます。

わたしがブログをはじめたのも、このような良き師にめぐり会えたからこそ(^^)

 

ぜひ、自分だけの楽しい独学のやりかたを見つけてみてください。

無料で学べるオンライン大学講座 gacco を試す

勉強会やセミナーなど、社会人になっても学びの場が広がっています。

そもそも、このブログ〈凪の渡し場〉も、とある勉強会に参加したことをきっかけにはじめたのですが、それはまたの機会に。
(最初の記事でも同じことを書いたような)
それはそうと、今回はWeb上で学べるオンライン大学講座というサービスを見つけたので試してみました。

このようなオンライン学習システムを「ムーク(MOOC)」とよぶそうで、NTTドコモや東京大学などの産学協同でつくられたようです。

MOOCの広がりと登録者12万人のgaccoの取り組み | JAGAT

【2020年5月6日追記】

2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて大きく注目されました。

gacco以外のオンライン講座もまとめて紹介した、JMOOC(日本版MOOC)のポータルサイトができています。

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新規会員登録はメールアドレス、またはFacebookやGoogleなどのSNSアカウントを利用できます。

入会すると自動的に「gaccoスタートアップガイド」という講座が登録されます。

gaccoぐらしのはじまりです。

 

このようにテキストや動画で講義を受けることができます。

さらに、その後一部の講座では、有料で対面授業を受けることができます。

自宅でひとりで授業を聞いて、外でそれを深める。

時間と空間の使い方が、これまでの学校での学び方とは逆なので「反転学習」といいます。

 

講義のあとは理解度チェックのためのクイズ(選択問題)とレポートを提出します。

なんと、このレポートは受講者同士が互いに採点する仕組みだそうです!

ちゃんと採点基準は示されているのですが、他人の解答を採点するというのは、大学のころの模試採点のアルバイト以来で、ちょっと緊張します(笑)

 

2016年5月時点の開講講座は以下のようなものがありました。

  • 統計学Ⅰ:データ分析の基礎
  • 会計プロフェッショナル入門
  • 人体ソムリエへの道
  • ビジネスプランを作ってみよう
  • 基礎から学ぶITリテラシー
  • 今だからこその江戸美術
  • TOEIC®テスト600点突破
  • よくわかる!iPS細胞
  • 大航海時代の日本<高校生向け特別版>

 

一定期間を過ぎると受付終了し、受講することはできなくなるようです。
不定期に再開講されているようですが、気になるものを見つけたら、早めに受講を検討しましょう。

学びかたの幅が広がりそうなgaccoのご紹介でした。