あけましておめでとうございます。2020年も「凪の渡し場」をよろしくお願いします。
お正月のお楽しみといえば、おもち、はねつき、かるた大会…といったものが思いうかびます。
かるたにも、百人一首やいろはかるたなど、いろいろありますが、以前の記事ではフォントかるたというものをご紹介しました。
フォント | フォントかるた | 日本
取り札に書かれている文言はすべて同じ。フォント名を聞いて札を取る! 君は違いを見分けられるか? 解説つきフォントかるた!
現在は最初の48書体だけでなく、明朝体だけをあつめたもの、Sweet & Bitter といった独特の雰囲気をもったフォントなど、さまざまな拡張パックがリリースされています。
そして昨年末、そんな〈フォントかるた制作チーム〉による書籍が発売されました。
フォントかるたに収録されたフォントを中心に、89書体それぞれの特徴や使われかたを解説しています。
帯には〈文字好き必携。〉とありますが、いままで文字やフォントをあまり意識していなかった人にも、文字好きの世界を知ってもらうのにも役立つガイドブックにもなっています。
それを象徴するのが冒頭の「深くて楽しいフォントの世界」の章です。
実際に何度かフォントかるたで遊んだことがありますが、フォントにあまり詳しくない人と遊ぶ場合、まず「フォントとは何か」「どうしてこんなに違いがあるのか」を解説してからのほうが、より楽しめると感じていました。
そのために自作プレゼンを作ったりもしていましたが(笑)、この本があれば、そんな導入にも最適です。
そして、かるたの文面にもなっている〈愛のあるユニークで豊かな書体。〉というタイトル。
その由来は、かつて写真植字(写植)という技術が印刷業界の主流だった時代に圧倒的なシェアを占めた写研の文字見本帖のようです。
(大阪で開催された「文字と組版、印刷展」より)
そんな写研のフォントは2020年現在、パソコンで使うことが難しい状況なのですが、フォントかるたには「ゴナ」「ナール」「ボカッシィ」といった代表的な写研フォントも収録されているのは嬉しいところです。
百人一首かるたが、歌にこめられた古の想いとともに愛され続けているように。
フォントかるたも、歴史を文字のなかにのせて、長く愛されることを願います。