春風の吹くまま足の向くままに – 三河一色、佐久島へ

少しずつ日が長くなり、気温も上がって、どこかへ出かけたくなる季節になりました。

去年(2022年)は瀬戸内国際芸術祭の開催年で香川の島々をめぐりましたが、ことしは瀬戸内以外にも、できるだけいろいろな土地の島を旅してみたいと思っています。

まずは地元・愛知県ながら、行ったことのなかった佐久島を訪れてみました。

佐久島は三河湾のほぼ中心に位置する島で、旧幡豆郡一色(いっしき)町、現在は西尾市に属します。

西尾駅から一色港までのバスがあり、船のダイヤに合わせて発着するので便利です。
車の場合は国道23号(岡崎バイパス)、道の駅にしお岡ノ山から30分程度。

今回は昼に訪れましたが、対岸の「一色さかな市場」では朝市もあるそうなので、遠方の方は一泊するのも楽しめそうでね。
佐久島はアート作品が点在するほか、弘法大師の八十八箇所めぐりなどもあり、思い思いの楽しみかたができます。
渡し場でパンフレットと体験マップをいただき、船に乗り込みましょう。切符はおとな片道830円です。
20分ほどで西港に到着、佐久島パイロンがお出迎え。
潮風にさらされて、案内図が穴埋め問題のようになっていました。

西と東の渡し場の間は徒歩で移動でき、レンタサイクルもあります。
帰りの便までは2〜3時間あるので、気の向くまま足の向くまま、のんびり行きましょう。

「佐久島のキレイはあなたのハートから西尾一色ロータリークラブ」と読むと短歌になっていました。
タコツボが並ぶ光景も、アートと見分けがつかない島の日常。
こちらは松岡徹さんのアート作品、〈大和屋観音〉。
こんな感じの顔をした石像に、島のあちこちで出会えます。
潮風から建物を守るためのコールタールに彩られた、黒壁の集落。

道に迷ったり、ふいに路地から現れるねこに気を取られたりしていると、時間の進み方が都市とは違うよう。

よくメディアなどでも取り上げられる〈おひるねハウス〉を、あえて別の断面から。
「屋上に登るのダメ!」というマナー違反ピクトさんがいました。
集落から少し開けたフラワーロードを歩いていくと、〈佐久島クラインガルテン〉というタイル張りのスポットが目を惹きます。
写真を撮っているときは気づきませんでしたが、顔になっていました。
これも先ほどと同じ松岡徹さんの作品なのですね。
このまま海岸をゆくつもりでしたが、豊島でもおなじみの青木野枝さんの作品が近くにあるそうなので、ちょっと寄り道。
あれ、けっこう遠いですね…?

実は島は海岸を外れると、ちょっとした山道になりがちです。
島というのは地殻変動で海に沈んだ山のようなもの、ということを忘れていました。

とはいえ標高は35m、気候的にもちょうどよく、10分程度でたどり着きました。

青木野枝さんの〈空の水 – 山〉です。
人の作りしもの、けれど人の営みから遠くはなれ、少しずつ酸化していく作品。
ここまで来たら反対側の岸まで行きましょう。すばらしい椿が敷き詰められた道をひたすら歩きます。
TAB〈北のリボン〉。のぼれば遠く見はるかす、三河湾と対岸の西尾・蒲郡市街。
島旅に来たのに海成分があまりなかったので、しばし海を眺めて休憩です。
帰りはまた少し山道を抜け、ようやく人里近くの東港まできました。
帰りの船に乗ろうとしたら、ねこ発見!
堤防を歩く姿を後ろからついていって撮影する、岩合光昭さんの「世界ネコ歩き」ごっこができました。
たまに立ち止まって、こっちを振り返る仕草が、たまらなくかわいい。

東集落にもまだまだ気になるスポットがありますが、今日はここまで。
また別の季節にふらっと訪ねてみたく思います。

気の向くままの佐久島めぐりでした。