愛知の現在・過去・未来を感じる – あいちトリエンナーレ2016 栄会場

今回は、あいちトリエンナーレ2016の名古屋地区、普通チケットの「栄会場」で入場できる展示を紹介します。

今も昔も名古屋最大の繁華街に位置するとあって、都市としてのまちの魅力をもっとも感じられるものになっています。

 

今日は地下鉄桜通線、久屋大通駅を使って訪れてみました。4A出口、もしくは4出口から桜通を西に向かいます。

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あとで貼ったような地下鉄マーク、「久屋大通駅」、「Central Park」が気になる…。

 

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花柄プリウスが見えてきたら、ひとつめの会場・損保ジャパン日本興亜名古屋ビル(N-54)に到着です。

こちらのラッピングカーもデザインした大巻伸嗣さんの作品。

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15分入れ替え制となっていて、中に入ると、色彩豊かな外とはうって変わって真っ暗な空間。

都会の中で、15分間、ずっと闇を感じるという異質の経験ができます。
もし空いていれば、奥の方に入って鑑賞するのが個人的にはおすすめです。

また、ビルの正面玄関にまわると、並行企画事業の「人類と人形の旅」も観覧できます。

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期間中、いろいろな人形劇が行われるようなので、こちらも注目。

人類と人形の旅 ~human with puppet~ – 特定非営利活動法人 愛知人形劇センター presents

 

さて、外に出て南に向かいます。ふたつめの会場、旧明治屋栄ビルへ。

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1F、ケルスティン・ブレチュさんの作品(N-48)。

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ステンドグラスをのぞき込むと、向かいの丸栄のモザイク壁画が。

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床の矢印。

トリエンナーレの矢印ではなく、明治屋の店舗として使われていたころの案内が残されているのでしょうか。
まちと建物の記憶が一体となった印象的な会場です。

2F/3Fはいったん外に出て、別の入口から階段を上ります。

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あっ、ポップ体がっ。

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2F、端聡さんの作品(N-49)。炎のように見えるもの、それは実は…。

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3F、寺田就子さんの作品(N-52)。元バレエ教室だという会場が、いまは時を止めて、静かに来場者を待ち受けます。

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そして、かつて丸善名古屋店のあった駐車場の前を通り、中央広小路ビルへ。

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べら珈琲、コメダ珈琲のあるビルの2Fに展示はあります。

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山田亘さんの大愛知なるへそ新聞社(N-53)。
まちの記憶、ひとの記憶を新聞として形にする、その作業すべてが作品になっています。

そう、なるへそ新聞は読むだけでは終わらない、参加型のアートプロジェクト。

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ということで、わたしも準備期間中から記者として参加しています!

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記事を文字起こししたり…。

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刷り上がった新聞をのりづけしたり…。

もちろんいまからでも、だれでも参加可能。

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水曜・日曜の編集日であれば、その場で文字を書いたり、イラストを描いたりと、新聞づくりに参加することができます。

あるいは、取材を受けて、愛知にまつわるあなたの記憶を、記事となって紙面に登場させることも。

取材を受けていただける方、募集中です!

 

また、この会場は、普通チケットでも後日再入場することができます。

期間中に新聞は何号も発行されるので、少しずつまちが変わっていく様子を、ぜひ何度も訪れて体験してみてください。

内向型だからこそ、人と関わることで才能を見つけられる

ひさびさに内向型の話をするので、おさらいしましょう。

世の中には内向型外向型という二種類の人間がいます。

内向型人間は、大勢でいるよりも、ひとりの時間を楽しむ傾向があります。
それが内気で悪いというわけではなく、うまく生かすことで、自分だけの強み、才能を発揮することができます。

でも、自分の才能をどうやって見つければいいかわからない…そんな人も多いと思います。

以前に紹介した本「一歩を踏み出すための道徳」では、このようなことが書かれていました。

「自分にとって簡単にできること」の中に、自分のもっとも大きな才能がある

 

たとえば、人に家電の使い方を訊かれたときに、それを説明できる。

手先が器用。

フォントの細かい違いに気づく。

文章の言い回し、誤植を判断できる。

人より多く食べられる。

 

わたし自身がもっている「才能」もあれば、わたしのまわりにいる人の「才能」も紹介してみました。

 

誰かに指摘されたときに、自分は当たり前にできることだから、たいしたことがないと思ってしまいがち。

でも、その指摘した人の視点に立てば、当たり前ではないことだから「才能」というとらえ方になるのです。

たいしたことがないと流すのではなく、それは自分だけの才能かもしれない、と思うことで、その強みをどうやったら伸ばしていけるのか、他に活かす方法はないか、という方向に考えを進めることができます。

 

そうした才能は、自分一人だけの視点では、なかなか見つけられません。

内向型人間だからこそ、あまり交流のない人とも勇気を出して関わりをもつことで、思わぬ自分の才能が見つかるもの。

 

もちろん、それは相手にとっても同じです。

自分がもっていない相手の才能を見つけたら、素直に「すごい!」と口に出してみましょう。

それがひょっとしたら、その人も気づいていなかった才能を見つける手助けとなるかもしれません。

 

人間の手がまだ触れないものづくり – 神の手・ニッポン展

今回はトリエンナーレとは直接関係ありませんが、近くで行われていた「神の手・ニッポン展」が予想以上におもしろかったので、ご紹介。
神の手・ニッポン展 | 東海テレビ

場所はテレピアホール。栄駅から地上に出て、芸術文化センターの南側を東に徒歩数分。

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コメダ珈琲が見えてきたら、目的地に到着です。この看板かわいいですね。

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「歯科」の筑紫オールド明朝に目を惹かれつつ、中に入ります。

 

館内の展示は撮影禁止でしたが、記憶に焼きつけたいと思うほど、繊細で精緻な作品ばかりでした。

物販スペースの一角に、唯一撮影可能なスポットがあったので、その魅力のひとかけらでも伝えられれば。

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ペーパーアーティスト・太田隆司さんの作品。

近寄ってみると、ひとりひとりの表情まで丁寧に紙で表現されています。

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島木英文さんのミニチュアハウス。

遠近法を取り入れた手法で作られたふしぎな空間。ずっとのぞきこんでいると、自分がその世界に入り込んでしまったような感覚が生まれます。

民家や商店のなかの小物も作りこまれていて、ディテールを探すのも楽しい。

広島の平和公園付近のお店を再現した「原爆で失われた記憶」も感銘を受けました。博物館に飾られるような復元模型ではなく、生きていた街が、そこにある。

 

 

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そして、個人的にいちばん好きだと感じたのが、SouMaさんの立体切り絵。

立体切り絵作家 SouMa ~ Agent WKHソリューションズ.Co.,Ltd – 切り絵作家SouMaのホームページ~お嬢な切り絵アート~WKHソリューションズ.Co.Ltd

一枚の紙から、一本のデザインナイフで切り出されたそれは、現実以上の存在感、立体感をもった純白の世界。

手にとって触りたい、でも触れない…。

 

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ほかにも、ビーズ織で作られた巨大な作品、ジオラマなどなど。

「神の手」という、ちょっとおおげさなタイトルをつけてしまうのも納得。人間の手による、人間の手に届かないようなものづくりを堪能できます。

 

テレピアホールでの会期は2016年9月4日(日)まで。

また、この展示は全国巡回されているようで、第二期も東京・目黒で11月から開催されるとのこと。今後も楽しみです。

 


思わず買ってしまったけれど、果たして作れるのかどうか(^^;

旅のはじまり – 開幕! あいちトリエンナーレ2016

愛知県を舞台にしたアートの祭典・あいちトリエンナーレ。新しい祝日・山の日でもある今日・8月11日から、いよいよ開幕です。
あいちトリエンナーレ2016

今年のテーマは「虹のキャラバンサライ」。瀬戸内国際芸術祭とは違った都市型の芸術祭として、街の新たな魅力を旅人のような気持ちで発見できる、さまざまな工夫が凝らされています。

 

開催場所は名古屋市・豊橋市・岡崎市。
名古屋市はその中でも、長者町・栄のまちなかと、名古屋市美術館、愛知県美術館(芸術文化センター)という施設内の展示とに分かれています。

期間中一日のみ観覧できる普通チケットでも、これらの会場ごとに日を変えて入場できるので、無理に一日で全部まわろうとせず、小分けにして長い旅を楽しむのも良いと思います。

ということで、このブログでも、何回かに分けてトリエンナーレとその周辺の様子をお伝えしていきます。(作品のあとの記号は公式ガイドブックに準拠しています)

 

やはり、旅のはじまりは愛知芸術文化センター(芸文)から。
この暑い時期はとくに、地上を避けて地下から行くのがオススメです。

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地下鉄東山線・名城線の栄駅、あるいは名鉄瀬戸線の栄町駅からオアシス21方面へ。そのまま直進して、地下2F連絡通路から芸文に入ると、森北伸さんの作品(N-02)がお出迎え。

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前回のインパクトのあるヤノベケンジ作品とはまた違い、見る視点を変えて、いろいろな楽しみ方ができて好きです。

その奥にあるアートショップ・ナディッフ愛知もおすすめ。トリエンナーレや港千尋監督関連の本だけでなく、文字や路上観察といったテーマの本も豊富で楽しめます。

 

エレベータで10Fに上がると、ポスターやガイドブックの表紙のモチーフになった、ジェリー・グレッツィンガーの都市の地図が(N-03)。

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床の上に乗って記念撮影を楽しめるスポットになっています。反対側には公式グッズ売り場も。このスペースまではチケットなしでも入場できるようなので、ぜひ足を運んでみてください!

 

さて、中に入っての見どころは、大巻伸嗣さんの作品(N-13)。

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白い部屋をキャンバスに描かれた色彩豊かな花々。部屋を出たあとの制作過程のビデオも、思わず見入ってしまいます。

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それから、わたしがとくに気に入ったのは、三田村光土里さんの作品(N-11)。

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日常の記憶と記録がテーマということで、かわいい小物がたくさん詰め込まれた部屋。

 

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こちらは松原慈さんの作品(N-16)。盲学校のこどもたちとのワークショップで作られた造形と、それを表す「ことば」が印象的です。

 

ほかにも、8Fや屋上にも展示がありますが、今回はここまで。また後日、ゆっくりまわります。

 

おまけ。今回、隠れた公式グッズでは? と思うのが、あいちトリエンナーレ2016特製しるこサンド

しるこサンドとは、愛知が世界に誇る松永製菓のビスケット菓子。
松永製菓株式会社
あずきを練り込んだ味が癖になるおいしさ。スーパーで棚に並んでいたら、ついつい手を伸ばしてしまいます。

今回は、ダニ・リマのオープニング公演(N-103)を見た人に、ポスターとの二択で配られていました。
また、名古屋市交通局とのコラボで、スタンプラリーの先着景品にもなっています。

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もしかして今後、他にももらえるチャンスがあるかも…?

ところで、トリエンナーレのパッケージだと、しるこサンドスティックが入っているのではと思うのはわたしだけでしょうか?(笑)


誤解されるフォント – 創英角ポップ体

これまで、このブログではさまざまな日本語フォントについて取り上げてきました。

多くのところで使われているフォントといえば、創英角ポップ体の話題を避けては通れません。

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マイクロソフト Office に標準で搭載されているフォントということで、Windowsユーザであれば誰もが一度は目にしたことがある、そして何の気なしに使ってしまったことがあるフォントだと思います。

 

しかし、フォントというのは、話し方やファッションのように、それぞれに目的があって使い分けるためのもの。

その場その場で、もっともふさわしいフォントは何か? を考えるのが本来のありかたです。

 

創英角ポップ体の場合、なんとなくパソコンに入っているから、太字で目立たせたいから、といった理由で使われてしまっている、というのが正直な印象。

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では、創英角ポップ体の本来の目的とは何なのか?

 

実は、それはしっかりとフォントの名前に示されています。

ポップ体のPOPとは「Point of Purchase」、つまり商品の購買意欲をそそるための広告の意味。
あの「HG創英角ポップ体」の元となった直筆生原稿を見た – デイリーポータルZ

レジの売り上げを管理するシステムをポス(Point of Sales)と言うのと同じ。

わたしのまわりで最近よく聞くところで言うと、コーチングツール・Points of You をPOYと略すのと同じです(笑)

 

それはともかく、広告だからこそ、わざと個性的な、目を惹くデザインがされているフォント。

なので、たとえばこんなのは、正しい創英角ポップ体の使い方ということになります。

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東京で見かけた、イオン系のスーパーマーケット・まいばすけっと。この看板がなければ、外壁や電灯からはスーパーとは気づけなさそう。

 

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こちらは…どうでしょう? なんとなく親しみは感じる気がします。それで購買意欲をおぼえる人がいるかもしれませんものね!

 

しかし残念ながら、商品とは関係のない場所で使われて浮いてしまっていることが多い創英角ポップ体。

その点で、もっとも誤解されている日本語フォントであると思います。

 

もちろん、フォント自体が悪いわけではありません。

そうと知らずに、うっかり本来の目的から外れた使い方をしてしまった人が悪いわけでもありません。

 

それはたとえば、セイヨウタンポポなどの外来種が在来種を駆逐して広がってしまったように。

いまさら誰が悪いと言ってみても仕方のないことではないかと思うのです。

 

ただ、強いて言えば、ポップ体というその名前が、そもそもの誤解のはじまり。

いまや「Point of Purchase」ではなく「Popular」のほうが通りが良いほど一般に人気のあるフォントになってしまったことが、歴史の皮肉と言えるかもしれません。

 

まさに文字通り、名は体を表す。