万博のいのちをさがして – イケフェス大阪2025
大阪の魅力的な建築が一斉に公開される「生きた建築ミュージアムフェスティバル」、通称イケフェス。
この数年、秋になると多くの都市で建築イベントが開催されるようになりましたが、なかでも先駆者であるイケフェス大阪は、歴史的な建物から最新の施設まで展示の振り幅も広く、何度来ても飽きることがありません。
とりわけ今年は半月前まで開催されていた大阪・関西万博の余韻が冷めやらぬ中、あたかも大阪のまちに残された万博の〈いのち〉をさがして歩く旅となりました。
まずは新大阪駅から、万博輸送を担ったOsaka Metro 御堂筋線に乗車します。幸運にも、まだ走っていた万博ラッピング列車に遭遇することができました。

本町駅で中央線に乗り換え、夢洲駅のひとつ手前、コスモスクエア駅で下車します。

咲洲モリーナという、柱のない木造建築を会場に「咲洲こどもEXPO」というイベントが開催されていました。

その向かいにある、コスモタワー。大阪府咲洲庁舎とホテルなどが入居しています。イケフェス会場ではありませんが、少し立ち寄ります。

というのも、ここの53階にある展望台から夢洲会場を見渡すことができると話題になっていたのです。

ライブカメラやプロジェクションマッピングで有名になったヨコレイ(横浜冷凍)の奥に、パビリオンと大屋根リングが残っていました。

多くの船舶が行き交うなか、まどろみを続ける大屋根リングを見られるのは、あとどれくらいでしょうか。

カフェスペースにまだ残っていた万博来場予約の広告と一緒に、咲洲ぷりんをいただきます。

本町まで戻って、大同生命ビルへ。創業400年の特別展示と、館内ツアーに参加します。

ちょうど百年前、1925年にウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計によって建てられた旧本社ビルを活用した装飾は、息を呑む美しさ。
上層階からは、三井住友銀行や大阪市役所など中之島に集結する他のイケフェス建築も眺められます。

大阪市役所の前に、何やら見慣れた赤と青のモニュメントが…?

万博会場から凱旋したミャクミャク像でした。
会期前、同じ場所にあった時とは比べ物にならない人気で、写真を撮るのも一苦労です。親戚の子を見まもるような気持ちで、人気者になったなあという、うれしさがこみあげます。

館内ではイケフェスの歴史や、こどもたちのワークショップ作品が展示されていました。

淀屋橋を渡って駅に向かおうとしたら、日本生命淀屋橋ビルでも万博の展示を見つけました。

大林組によるワークショップ。釘などを使わずに、大屋根リングと同じ材木でつくられた橋だそうです。

帰りの電車の時刻まですこし余裕があったので、大国町駅近くのモリサワまで足を伸ばしました。

モリサワは、ここ大阪に本社のある日本最大のフォントメーカーであり、同じく昨年100周年を迎えた阪神甲子園球場のフォントを作成するなど、文字・フォントを通したユニークな取り組みを続けています。

イケフェスのロゴは、モリサワがはじめて開発したフォント「ゴシックBB1」を利用しているそうです。
5Fのショールーム「MORISAWA SQUARE」は以前にも何度か訪れていますが、展示内容もリニューアルされ、さらに魅力的な空間になっていました。

モリサワも大阪・関西万博の協賛企業のひとつということで、ガラスケースの中からミャクミャクがお見送り。
百年前に活版印刷を支えた金属活字のように、いつか懐かしく、人々の記憶に残る存在になることでしょう。
いつの日か活字母型になるだろうガラスケースの中のミャクミャク