社会物理学という言葉があります。
SNSや現実の世界など、ひとびとのつながりが生み出す社会の中で、良い〈アイデア〉や情報がどのように流れていくのか、そしてそれが人間の行動にどう影響するかを、数学的に解析する学問だそうです。
いままでの、いわゆる〈社会科学〉と違って、スマートフォンの普及によって大量かつ正確なデジタルデータが集められる時代だからこそ、このようなアプローチが可能になりました。
この本では、そのような社会物理学によって社会をどのように変えていけるのか、といったことまで書かれています。
まちづくりや都市交通システムにうまく応用できれば、渋滞を回避したり、インフルエンザなどの集団感染を抑えたりと、いままでにない住みやすい社会が実現できるような気がしてきます。
とはいえ、そんな壮大な話だけでなく、わたしたちひとりひとりがSNSをどううまく活用していくか、といったヒントになる考え方も示されています。
たとえば、良い情報、新しいアイデアを見つけるには、次のみっつが重要とされています。
- 社会的学習がきわめて重要
- 多様性が重要
- 他人と反対の行動を取る人物が重要
なにもかもひとりで学ぼうとするのではなく、既に成功した人を真似する、社会的学習は非常に効率抑制かを上げることができます。
けれど逆に、みんなが同じ方向に進んでいるときは、集団に引きずられて誤った判断をしてしまう危険性もあります。
だから、あえてみんなと違うこと、常識に反する行動を尊重することが大事です。
「みんな同じ」ことに息苦しさを感じているなら、少し距離を置いてみる。
あるいは、まったく違う習慣を持つ複数のグループに身を置いてみる。
著者が〈つながりすぎた世界〉と呼ぶ現代を、うまく生きていくコツが、ここにはあります。