丸の内・丸ゴシック探索

まちあるきの楽しみ方はいろいろありますが、そのひとつに、風景の中から一定の縛りで何かを探すというものがあります。

今回は、街中のフォント(文字)の中でも、よく見かける丸ゴシック体を見つけてみます。丸ゴシック体だけに丸の内。

 

あっ、丸の内といっても東京ではなく、名古屋の丸の内です(笑)

 

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まずはこちら。名古屋市営地下鉄・丸の内駅。

ほとんどの出入口は新しい角ゴシックの看板に付け替えられていますが、なぜかここだけ、古いタイプの丸ゴシックが残っています。

 

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駐車場の看板。とくにまるまるとしてて、かわいい。

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はんこ屋さんの各種取り扱い商品、全部丸ゴシック。もちろん、実物は他のフォントも選べるはず!

 

 

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欧文フォントも丸ゴシック風味。「旧名称」が角ゴシック体なのがおしい。

というか、ビルの正面に旧名称が併記されているの、はじめて見ました。YHって何の略でしょう…。

 

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まさに、ワンダーMARUNOUCHI! な、まちあるきでした。

 

まちあるきの楽しみが無限にひろがる – 街角図鑑

まちかどのさまざまなものを対象として楽しむ、路上観察。

その楽しみを、さらにひろげてくれる一冊に出会いました。



「図鑑」という名の通り、街で見かけるさまざまなものを徹底的に分類・解説。

たとえば、工事現場で見かける赤いコーン。

あれの正式名称を「パイロン」というのだとはじめて知りました。

さらに、会社によってさまざまな商品名がついているようで、その見分け方まで丁寧に図解。
「とにかく太くて、重いやつだ」とか、こどものころに読んだ図鑑のような文体も楽しい。

 

これまでも、いろいろな視点でまちあるきを楽しんでいたつもりでしたが、まだまだ見えていないものがあることを思い知らされました。

 

実際、手持ちの写真をランダムに見返してみれば、いくらでもこの図鑑にあるものが写っていることに気づきます。

たとえば、タイルのカーブがかわいくて撮った、こちらの写真。

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そこには、ひっそりと埋め込まれた送水口が。
送水口とは「消防車からの放水が届きにくいところに水を送るために設置されるもの」だそう。

さらに上部には、自生したのか誰かが植えたのか、路上園芸が花を添える。

ひとつの完成されたアートのようにも見えてきます。
さらに、ずいぶん前に野良猫を追いかけて撮った、この一枚(笑)

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この本を読んだあとに見ると、こんな感想を抱きます。

かなり古そうな郵便ポスト。脚の長さと差入れ口がひとつなことから、1号角形らしいと推測。
(ちなみに郵便局の看板がオレンジなので、民営化後の「郵便局株式会社」時代のもの)

自販機が茶色いのは景観配慮型? 左右にある回収ボックスが兄妹みたいでかわいい。
「保険調剤」の看板手前の街灯がレトロでおしゃれ。
そのうしろに置かれた水色ののぼりベース、半球型でこれもかわいい。
いちばん奥、「止まれ」の標識が側溝側にカーブしていて、車のじゃまにならないようにしているっぽい。

あと、いちばん大きな「薬局」の看板がPOP体…というのは、この本を読む前から気になるところですね(^^;

 

もちろん、この本に載っていないものでも、気になるものがあれば自分なりの視点で観察してみるのが良いと思います。

それを習慣にすることで、カラーバス効果で、似たものがますます目につくようになり、さらに深く知ることができる。

そうやって、世の中の楽しみ方が無限にひろがっていきます。

 

6月11日には、著者の三土さんと寄稿者による出版記念のスライドトークも開催されるそうで、こちらも気になります。

ありふれた街の見え方が変わる『街角図鑑』

既製フォントの枠にとらわれない、路上の文字観察 – タイポさんぽ

世の中には、路上観察趣味というものがあります。

建築・土木のような大きなものから、看板や標識、マンホールのふたといった小さなものまで、およそ路上にあるあらゆるものを観察対象とすることで、ふつうに街を歩いている以上の楽しみが生まれる。

わたしが小さいころに、はじめてその楽しみを教えてくれたのは宝島社の「VOW!」(まちのヘンなもの大カタログ)。

もっと遡れば、やはり赤瀬川原平さんの「路上観察学入門」や「超芸術トマソン」に行き当たります。

そして今回は、その流れを汲んだ、街中の文字(タイポグラフィ)を楽しむ一冊をご紹介。



これまでブログで主に紹介してきたのは、コンピュータ上で使える、いわゆる既製のフォント。

でも、この本では、まだそのようなフォントが普及するちょっと前、手書きや看板職人さんの手触りが感じられるような文字を中心にしています。

 

 

VOWにしても赤瀬川さんの本にしても、面白いのは題材だけでなく、それを取り上げた著者の視点だと思っています。

その点では、この本もそれにまったく負けていない。

もともとグラフィックデザイナーであるという著者・藤本さんは、まちかどの文字を作り手を「詠み人」と称し、どういう意図をもってロゴをデザインしたのかを深読みしていきます。

 

もはや、風流まで感じさせます。

 

その文体の魅力を感じてでしょう、嬉しいことに、ふつうは本文を立ち読みしないと読めないその文章が、表紙(カバー)にもデザインされています。

画像を拡大すれば何とか読め…読め…ないですね、この解像度では(笑)

Amazonのリンク先では表紙や本文の大きいイメージもあるので、気になる方は覗いてみてください。

 

実はこの本、2012年に出版された本の増補改訂版。

旧版ももっていましたが、判型も大きくなっているので迷わず買い直しました。

 

ちなみにこの本、写真に写っているお店の電話番号やナンバープレートなどの数字が、加工して「0000」にされているのですよね。

そういう芸が細かいところも含めて、とても好きな一冊。

 

わたしも街で見かけた気になる文字をよく写真に撮っているので、文体は真似できないけれど、少しずつ上げていきたいと思います。

たとえばこんな感じでしょうか。

 

本書でも、いじられやすい文字としてあげられていた歯医者さんの「」の字。
横棒の片方だけが丸くなっているのは歯ブラシの柄をイメージしているのでしょうか。
あっ、あと、「FAMILLE」なのにファミールじゃなくてハミールなのは、まさか「歯見ーる」っていう…。

 

もうひとつ。


」の字の中が肉球になっていて、とてつもなくかわいいので、もうそれだけでご紹介(笑)。

 

ということで、路上の文字を楽しむタイポさんぽでした。

みなとまちをフォントの視点で楽しむ – アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016 プレイベント

私が暮らす愛知県名古屋市では、まちづくり・アートイベントなど、まちとひとが関わる、いろいろな取り組みが行われています。

いろんなイベントを見つけては、いろんな街に行っているのですが、そのときにも「フォントの視点」をもつと、さらに違った楽しみ方ができます。
今回は、名古屋港付近で行われている、Assembridge NAGOYA(アッセンブリッジ・ナゴヤ)をご紹介。

アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016│Assembridge NAGOYA 2016
2016年秋の本イベントに向けて、プレイベントが開催されたので行ってきました。

 

地下鉄の築地口駅を下りてすぐの商店街。

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今はなき三洋電機のロゴ、かわいい「sailors」の三角屋根など、見どころたくさん。

 

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良い丸ゴシック。

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良い明朝体。

 

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襲名式。

おそらく、もともと丸ゴシックの縦書き看板があって、そのあとで角ゴシックの横書き看板が取りつけられたのだと思われます。

丸ゴシックの看板も残しておいてくれてるのが嬉しい。
そのうち、見られなくなってしまうかもしれませんが…。

 
最後に、今回の総合案内所、港まちポットラックビル。

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まちづくり活動の拠点となっているこの建物は、かつては本屋さん・文房具屋さんだったようです。

忘れ形見のように、その記憶が刻まれていました。

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写真を撮るのを忘れましたが、ボタン店を改装したギャラリーでは、ZINE(ミニコミ誌)の展示もあり、フォントを題材にした作品もありました。

 

まちの移り変わりをずっと見つめてきた、街中のフォント達でした。