そこは長久手、別世界への道 – 愛知県立芸術大学50周年記念展示

それは昨日のこと。

いつものように、あいちトリエンナーレのイベントに参加するため、名古屋市東区東桜にある、愛知芸術文化センターを訪れました。

その地下に、アート関係の本やグッズが置かれている本屋さん、ナディッフ愛知があります。

これも普段通り、一通り店内をのぞいたあと、ふと店の外のパンフレット置き場を眺めていると「芸術は森からはじまる」という展示カタログを見つけました。

100ページ超オールカラーの、かなりしっかりした装丁。

これが無料配布されていることに驚いて、手に取ってみると、愛知県立芸術大学の50周年記念展示とのこと。

創立50周年記念展示「芸術は森からはじまる」 « 創立50周年記念公式サイト

しかも、会期は当日2016年9月24日(土)まで。

なんだか呼ばれた気がする…ということで、思い立ってその足で展示に向かうことに。

 

愛知県立芸術大学の最寄駅は、リニモ(東部丘陵線)芸大通駅。

栄からは、地下鉄東山線で20分ほど、終点・藤が丘まで行ってから乗り換えます。

地下鉄の駅が地上にあり、リニモの駅が地下にある、というのは地元では有名な話。

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わたしからすると、リニモは愛・地球博記念公園(モリコロパーク)へのアクセス路線というイメージでしたが、芸大をはじめ、沿線には大学がいくつかあり、学生の足にもなっています。

ただ、駅からは距離があったり、運賃が高かったりで、バスで通う学生も多いのだとか。

ちなみに、藤が丘から芸大通までは4駅、10分弱で290円。栄から藤が丘(300円)とあまり変わらない(^^;

そうはいっても、記念すべき日本初の磁気浮上型リニアモーターカーを実用化した路線。乗り心地のよさも地下鉄とは比べものにならないので、なるべく乗って応援したい…という気持ちもあります。

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芸大通駅に着きました。その名の通り、駅の北側、大学までの坂道を芸大通とよぶようです。

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ここは長久手市、近くにはトヨタ博物館もある、ということを感じさせます。もうインスタレーションがはじまっているかのような錯覚。

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金属活字のような大学銘が見えてきました。

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文字の墨だまり(画の交わるところ)が印象的なロゴ。

 

展示は校舎内のものと、大学周辺の森にまでひろがる屋外作品が多数。

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寺井尚行さんのサウンドインスタレーション。時にはひとりでつぶやかれる、ときには唱和する学生(?)の声。

 

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大学キャンパスを楽器に見立てたという、土屋公雄さんの「フォルテ」。

 

写真撮影NGなのかどうか不明だったので写真は控えておきますが、奈良美智さんと森北伸さんの作品がとても印象的。

森の中に出現する、大きな頭のような土塀の小屋。

 

また、吉村順三・奥村昭雄により設計された校舎自体も、すぐれたモダニズム建築として見ごたえがあります。

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芸術大学というのに足を踏み入れたのは、おそらくこれが初めて。

サークル活動や講義案内の掲示板があるのは総合大学と同じでも、石膏像に埋まった建物があったり、アトリエがあったりと、別世界に迷い込んだようなふしぎな感覚。

美術館のように作品を展示するだけではない、まさにここからアートが作られているという熱気の気配を感じることができました。

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【追記】

2016年11月18日からは、新栄町のヤマザキマザック美術館で「森のDNA 芸術は森からはじまる」と題した展示が始まるようです。

 

戦後を感じるモダニズム建築 – 香川・高松まちあるき

瀬戸内国際芸術祭の四国側玄関口となる、香川県高松市。県庁所在地として、新しい建物と歴史的な建物が混在した街並みは、歩いていて飽きることがありません。

今回、女木島の案内所でもらった「めぐるーと高松」というパンフレットがとても参考になったので、これを片手にまちあるきを楽しんでみました。

 

スタートはJR四国・高松駅から。外観が顔になっていてかわいいです。

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香川県庁を目指すため、バスターミナルへ。路線が複雑で乗り間違えそうになりますが、運転手の方に行き先を言うと、どのバスに乗ればよいか親切に教えていただけました。

 

こちらが香川県庁舎。

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手前の東館(旧・本館)の竣工は昭和33年。日本の戦後を代表する建築家・丹下健三が設計した、モダニズム建築の傑作と言われます。

奥の現・本館も同じく丹下健三によるもので、こちらは平成12年に竣工。

 

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ちょうど通りがかったバスのラッピング広告がかわいかったので、いっしょに撮影。広告のロゴといい、50年以上の時代のギャップを感じさせず、不思議に調和していますね。

当時の県知事・金子正則の「県民に開かれた空間」にしたいという想いが、実際に訪れるとよくわかります。 モダニズム建築の特徴とされるピロティが、歩道からスムーズにつながって、誰でも入りやすい空間になっています。

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「いま、ここは閉じています」は、新ゴっぽいフォントからして、だいぶ後の時代に作られたと思われます(笑)

 

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ピロティの奥は日本庭園。

 

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一階ロビーも開放されています。中央の猪熊弦一郎による陶板壁画は、瀬戸内国際芸術祭の205番アート作品という扱いにもなっています。

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奥に県庁舎や丹下建築の歴史を紹介した展示も。既決・未決箱が高まる!(^^)

 

さて、県庁から中央公園沿いに丸亀町まで向かうと、素敵な建築がたくさんありました。パンフレットには載っていない、個人的に気になったものもまとめてご紹介。

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上下水道工事業協同組合ビル。明朝体が渋ビルっぽさを増しています。

 

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ロゴがすばらしい、番町書店と美容室トキムネ。トキがムネムネしますね!(笑)

 

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「混在併存」がポリシーの大江宏が設計した、香川県文化会館。

 

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なるほど〜。って、何がなるほどなのか?

 

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向かい合う、香川市庁舎と香川国際交流会館(旧・県立図書館)。

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そのとなりにある、和菓子屋・巴堂さん。ぶどう餅おいしかったです!

 

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百十四銀行本店。緑青のブロンズとガラスがとても美しい。そうと知らなければ、昭和41年の竣工とは思いもよらなかったでしょう。

 

あとは、もはや建築ではないけれど、気になった子たち。

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後から貼られた文字は、たいていウェイトが揃わないので気になります。

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中央公園、パイロンに守られたタヌキの石像。名前はハゲさんだそう(^^;

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地下道には、星座を模した壁画が。

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いい丸ゴシック!

 

今回紹介した市街地以外にも、香川には魅力的な建築がたくさんあります。

直島で開催中の「直島建築+The Naoshima Plan」もおすすめです! 安藤忠雄のANDO MUSEUM、地中美術館とあわせてどうぞ。