平和大通りを彩る、ひろしまドリミネーション

さて、先日ひさびさに広島を訪れることができました。

お気に入りの場所を再訪したり、また新しいスポットを知ることができたり、ますます広島のとりこになる旅でした。

ということで満を持して? 広島偏愛シリーズを何回かに分けてお送りします。

 

広島にかぎらず、街は訪れる時期によって、四季折々の魅力を感じることができますが、今回は冬の風物詩である、ひろしまドリミネーションをご紹介します。

 

ひろしまドリミネーションは、11月中旬から正月にかけて、広島の中心地・本通商店街やその周囲一帯が、さまざまなライトアップで彩られるイベントです。

中でも、100m道路とも呼ばれる平和大通りが光によって姿を変えるのは圧巻の光景です。

2017年(平成29年)のテーマは「おとぎの国」ということで、まるでおとぎ話や童話の世界から飛び出してきたよう。

 

木の上にもフクロウが!

動物たちも、ハートの中にフレームイン。

平和大通りに路面電車が通っていないのは残念!

瀬戸内海を駆けめぐった海賊(水軍)の再来?

 

シンデレラのカボチャの馬車でしょうか。実際に中に入って記念撮影する家族連れなども多く、ほほえましい。

幸せの四つ葉のクローバー。

歩き疲れたら一休み。時間帯によってオープンカフェも営業されるそうです。

 

平和大通りは、原爆からの復興のために作られた東西に延びる道路です。

戦後、日本の各都市で同じような100m道路が計画されたそうですが、けっきょく実現したのは二都市のみ。

それは広島市と、もうひとつは他ならぬ名古屋市です。

名古屋には南北の久屋大通と、東西の若宮大通のふたつの100m道路があります。

あまりに幅が広すぎて、歩行者は信号を一度で渡りきれず、つい小走りになる…というのは名古屋人の間で有名な小話ですが、広島の方はどうなのでしょう。

 

さて、ドリミネーションを見に来たら、ぜひ平和大通りの西まで足を伸ばしてみてください。

元安川を隔てて、平和記念公園へとかかる、これが平和大橋です。

ぎゅっと空に伸びるような欄干が特徴的な、日系アメリカ人のイサム・ノグチさんが設計したものです。

広島を舞台にした、こうの史代さんの作品「夕凪の街 桜の国」でも、印象的なシーンで描かれていました。

欄干の先が指すのはイルミネーションか、広島市街のビルか。

 

広島は「平和」と名のつく地名や施設の名前が多いといいます。

 

平和とは何か。

それは人それぞれ、思想や信条によっても答えはひとつではないかも知れません。

けれど、この街に来て、あるいはこの街を想って、誰もが平和について考える。そうやって考えるのをやめないことこそ、何より大切なことだと思います。

 

 

建築で魅せる都市の力 – イケフェス大阪2017

今年(2017年)も、イケフェス大阪こと「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」に参加してきました。

イケフェス大阪2017 | 生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2017

生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪(通称:イケフェス大阪)は、毎年秋の週末に、大阪の魅力的な建築を一斉に無料公開する、日本最大級の建築イベントです。

 

イケフェスの説明については昨年の記事をどうぞ。

今年はあいにく台風の接近に伴い雨模様となりましたが、事前抽選のイベントに当選したこともあり、昨年にも増して楽しむことができました。

 

まずはキタと言われる梅田エリア、JR大阪駅から、さらに北に向かいます。

右奥に見えているのが今回の目的地、梅田スカイビルです。現在は看板にあるとおり、なかなかに長い地下通路を歩いて行く必要があるのですが、まもなく地上歩道が整備されるそうです。

スカイビル内の貸し会議室に集合し、ガイドツアーが始まります。

梅田スカイビルはふたつの独立したビルを上部でつなぎ、「空中庭園」という名の通り、まるで天空に浮かぶ空中都市が出現したような構造になっています。

 

その中ほどにある、オフィスフロアをつなぐ回廊も通らせてもらえます。近未来感にわくわくします。

 

バブル期に計画されたこともあってか、いわゆるバックヤード的なフロアまで絢爛豪華。

内装や外壁に使われる石にも、建築家のこだわりがあるそうです。

石といえば、このあと訪れた中之島地区でも、どの建物も随所にすてきな石が使われていました。

とある読書会でこちらの本が課題本になっているおかげで、建築を見ていてもまちあるきをしていても石が気になり、非常に困った状態になっております。

それはそうと、エントランスの天井に描かれたこの模様…。

実はこの建物、巨大な宇宙船の発着場(渡し場?)という設定だったとか。

先ほどの模様は、その飛び立った宇宙船の設計図なのだそう。

そう見るとたしかに、すっぽり宇宙船が入りそうなクレーターです。

そんな裏話もいろいろと聞けて、実に楽しいガイドツアーでした。

 

ちなみに空中庭園のロゴ、アルファベットのセリフと漢字のウロコが同じデザインでかわいいです。

 

空中庭園ではさらに、世界各地の建築みやげを展示したミニコーナーも。

台湾にもマスキングテープがあるのですね。いつか行きたい…。

イギリスの建築家、フランク・ロイド・ライトグッズ。建築好き・文房具好き・文字好きすべてにトリプルパンチ。

エジプトのヒエログリフのメジャーの神々しさといったら…! 誰かエジプト旅行する人がいたらお土産に買ってきてほしいです(笑)。

 

午後は前述の通り、中之島地区をまわります。

中でも今回、ぜひ紹介したいのは大阪ガスビルです。

床には貴重な沖縄の石。

名古屋でガスビルといえば栄や今池のどちらかを思い浮かべる方がほとんどでしょうが、ちょうどそれと同じように、大阪ガスビルもかつてはホールや料理教室などが入居し、大阪人のハレの場として認識されていたのだそうです。

 

大阪ガス:ガスビル食堂物語

大阪のシンボル・ストリート御堂筋に面して建つガスビル。その8階フロアにあるガスビル食堂は、大阪における欧風レストランの草分けのひとつです。その開業は、ガスビルが竣工したのと同じ昭和8(1933)年。それから約70年、ガスビル食堂は、同じ場所で、歴史と伝統を活かしつつ営業を続けています。

そして、8階のガスビル食堂は現在も一般向けに営業中です。

ゆるやかにカーブを描く窓際が一番人気の特等席だそう。

こちらはギリシャの家庭料理をアレンジした「ムーサカ」という名物料理。

 

80年あまりの歳月、この御堂筋の一角で時代の移り変わりを見つめ続けてきた建物。

どれだけの人々が、ここでともに食事をし、想い出に残る時間を過ごしたことでしょう。

 

歴史ある建物には、ひとの想いが息づき、いま新たに生まれてくる建物にも、その想いは受け継がれていきます。

それが重なって、建築というものが魅せる都市の力になります。

 

わたし自身は、大阪に住んだ経験はなく、おそらくこれからも大阪で暮らす可能性は低いでしょう。

けれど、これだけ豊かな財産があり、しかもそれをこうしたイベントによって日常の延長線上で魅せることができる、このまちを訪れるたびに、やっぱりいいな、素直にすごいな、と思います。

 

 

ひととまちの距離を近づける – ブックマークナゴヤ2017

毎年恒例、本と本屋さんのおまつり、ブックマークナゴヤがはじまりました。

ブックマークナゴヤ  BOOKMARK NAGOYA OFFICIAL WEBSITE

BOOKMARK NAGOYA(ブックマークナゴヤ)名古屋を中心に大型新刊書店や個性派書店、古書店、カフェや雑貨店などが参加。街のあちこちで本に関連したイベントやフェアを開催する、『本』で街をつなぐブックイベントブックイベントです。

 

2008年にはじまったこのイベントも、今年(2017年)で十年目。

十年ぶんのフライヤー、パンフレットを並べてみると壮観です。

判型も紙質もバラエティに富んでいて、さまざまなかたちで本と街の魅力を発信してきたブックマークナゴヤそのものを象徴するようです。

そんなブックマークナゴヤも、この十年という節目に、終了がアナウンスされています。

少し名残惜しい気持ちを胸に、初日の、これも恒例となった円頓寺商店街の「ブクマ古本市」に足を運びました。

名古屋駅から西、または地下鉄桜通線・国際センター駅から北へ。

駅の喧噪から少し離れた歴史ある商店街の軒先に、たくさんの古本が並びます。

 

プロの古本屋さんだけでなく、誰もが売り手となって一日古本屋を開業することができるブクマ古本市。

実は、いつかこの古本市に売り手として参加するのがひそかな夢でした。

残念ながら、ブックマークナゴヤのイベントではもう叶えられないものとなってしまいましたが、最後の古本市は、わたしにとって思い出の深いものとなりました。

 

別のイベントで知り合った人に声をかけていただけたり、逆にこちらから声をかけたり。

あるいは、SNSだけでつながっていた人が出店していて、はじめて対面でお話することができたり。

 

ブックマークナゴヤを通して知った本屋さんや、雑貨屋さんもたくさんあります。

さいきん参加している読書会の友人と、本や本屋さんの話題で盛り上がったりすることも、十年前のわたしには想像もつかないことでした。

本を通して、ひととまちの距離が近くなったことを実感します。

本好きとして、名古屋というまちに暮らしていて良かったと思います。

 

どんな本にも終わりは訪れるもの。

お気に入りの栞(ブックマーク)をはさみつつ楽しみに読んでいた本が、とうとう最後のページまでたどり着いて、もう栞をはさめない…。

十年目のブックマークナゴヤにも、同じ想いを抱いています。

 

でも、気に入った栞は、大切にとっておけばいい。

またそれを挟むのにふさわしい、次の本のページを開く楽しみがその先に待っています。

 

ブックマークナゴヤ2017は11/5まで開催中です。

行ったことがない人も、ぜひ何かのイベントやお店に足を運んでみてください。

そして、イベントが終わっても、そこで出会った本、そしてひととまちの思い出は、まだ見ぬ何かにつながっていくことでしょう。

 

この読書会は実在する – 架空読書会

読書会という催しをご存知でしょうか。

ある一冊の本を課題本に決めたり、あるいは何かテーマを決めて参加者がテーマに沿った本を持ち寄ったりして、それらの本に対する意見や感想を話し合う場です。

自分の好きな本について語るだけではなく、ふだん一人ではなかなか読めないような本を読むきっかけになったり、お互いにまったく違うバックグラウンドをもった人の視点からの感想を聞けたりと、多くの魅力があります。

 

そして、そんな読書会仲間のうちで、ひっそりと噂にのぼる会がありました。

その名も、架空読書会

読書会である以上、そこには必ず語られる本が存在するはずです。

けれども架空読書会には、課題となる本が存在しない…その名の通り〈架空〉の本について語り合うのだというのです。

 

そんな読書会が、果たして実在するのか。

そんな読書会があるなら参加してみたい。

 

ほどなく、そんな話が持ち上がり、あれよあれよという間に実現する運びとなりました。

 

こちらが今回、架空読書会にあたって用意した「お品書き」です。

会のスタート時点では、まだ真っ白。

 

参加者の方に、事前に考えてきてもらった架空の本のタイトルを、その場でここに書き込んでいきます。

ほかの参加者も、その本を読んできたという体裁で、一冊ずつ、そのタイトルから連想される感想を語り合っていきます。

 

たとえばわたしは「いまひとたびの、ふたり旅」というタイトルを挙げました。

誰かが口火を切ります。

「なかなかの恋愛小説でしたね。主人公はけっこう、年のいったふたりでしたけど…」

発言は自由に行われますが、誰かが言った感想は、それがそのまま真実となります。

以降、この本は、熟年恋愛小説ということで話が進んでいきます。

「なんだか妙に鉄道ネタが多いけれど、ちょっと考証が甘い気がするな」

「著者は沖縄出身ですからね」

「でも、この宮崎の風景描写は、さすが南国の雰囲気が出ていて良かったですよ」

そうやって、この世に存在しない本の輪郭が、すこしずつ姿を現しはじめます。

 

さまざまな読書会に参加し、豊富な知識をもつ方が多く集まったおかげか、当意即妙の切り返しで、驚くほど自然に会話が成立します。

かと思いきや。

どう考えても幻想小説のようなタイトルに対して「ビジネス書である」という発言が飛び出し、思わず全員が言葉を失ったり。

「大人の登場人物の描写がステレオタイプだ」という発言を受けて、著者は高校生だから、という回答を用意してみたり。

 

ルールに則った上で、ほかの参加者の意表を突く発言をすることもあれば、あくまでまじめに会話を成立させようと頭をひねっる人も。

ふつうの読書会・勉強会とはまた違った、新鮮な発見と楽しみがあります。

 

この日、この場にだけは、どこにもない〈架空〉の本の世界が、たしかに存在したのでした。

 

もし、こんな架空読書会に参加したい、開催したいという声があれば、いつでもご連絡をお待ちしています。

 

自分も人も、よりよく生きるために – かかわり方のまなび方: ワークショップとファシリテーションの現場から

ファシリーテーターという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

 

ワークショップや参画型のミーティングなどで、コーディネーターとか司会進行に近い役目をもった人のことを言います。

ファシリーテート(facilitate)とは「容易にする」「促進する」と訳され、その場にいる人とのかかわりを容易にすることが、

ファシリテーションと言えます。

 

さまざまなイベントやワークショップに参加する中で、ときとして実に魅力的なファシリテーターの方に出会うことがあります。

わたし自身、ファシリテーターを引き受けることもありながら、その差は歴然としていて、それは何故か、どうしたらファシリテーションをうまくできるだろうか、と考えるようになりました。

そんなとき出会ったのが、以前に「自分をいかして生きる」という著書を紹介した「働き方研究家」西村佳哲さんによる、こちらの本。

さまざまな現場でワークショップを実践したり、ファシリテーターとして活躍されたりしている人との対話から「人とのかかわり方」という視点でファシリテーションについて考察していきます。

 

とくに、後半に紹介されている、心理学者カール・ロジャースの提唱した「パーソン・センタード・アプローチ」という概念が興味深いです。

ワークショップを促進するとはいっても、それは主催者の思惑による「こうあるべき」というゴールに向かうのではない。

あくまでそこに集った参加者ひとりひとりを中心に据えて、おのずから解決に向かって進み始める。

そんなパーソン・センタード・アプローチに必要な三つの条件があります。

  • 共感
  • 無条件の肯定的尊重
  • 自己一致

自己一致というのはむずかしい概念ですが、この本を読むかぎりの理解は「自分らしくあること」。自分が思っている自分と、客観的に思っているその人が一致していること。

これもまた、なかなかに衝撃的でした。

まわりがいくら認めても、自分自身でそれに納得していないかぎり、一致していることにはならない。

そんなモヤモヤがわたしの中にあったこともたしかなので、それがわたしのファシリテーションに欠けている要素だったのかもしれません。

 

インタビューの中で、橋本久仁彦さんが語る言葉に、人間は「よくなりたい生き物である」というのがあります。

方法は人それぞれでも、毎日を生きる中で、ちょっとずつでもよくなりたい。

ワークショップという場は、そんなよりよく生きるための道の途中で、ふと集った人たちがつくりあげるもの。

そんな視点でファシリテーションをとらえ直せば、きっと、ファシリテーターとしての自分も、参加者としての相手も、よりよくなることができそうです。