1970(昭和45)年、大阪府・吹田の地で日本初の万国博覧会が開かれました。
〈人類の進歩と調和〉をテーマにし、多くの人が訪れたそのイベントの歴史的意義は、あまりにも巨大です。
そして、その熱気が日本列島を去り、ほとんどの施設が取り壊された後、ひとつの巨大なモニュメントが忘れ形見のように残されました。
それが大阪万博テーマ館のプロデューサーとなった芸術家、岡本太郎の「太陽の塔」です。
長く外観のみの公開となっていましたが、半世紀近くの時を経た2018(平成30)年より、耐震工事とともにリニューアルされた内部の公開が行われています。
太陽の塔がある万博記念公園へは大阪モノレールで。万博、建築の記憶 – EXPO’70パビリオンの記事も参考にしてください。
今回は園内にある国立民族学博物館(みんぱく)で開催中の特別展〈驚異と怪異〉展もあわせて見にいきました。
モノレール駅の改札口を出て目の前にあるエレベーターで1Fに降りると、みんぱくシャトルバスのりばがあります。
運賃は無料で、車内も常設展の映像が流れていたりパンフレットが常備されていたりと至れり尽くせり。
広い万博記念公園を半周するように大回りするため10分程度かかりますが、暑い時期には助かりました。
館内は一部のみ撮影可能なので、写真では紹介できませんが、太古から現代にいたるまで、人の想像力はこれほどのものを生み出すのかと圧倒されます。
特別展は11月26日まで開催中です。
さて、園内を歩いて太陽の塔に向かいます。有料区域である自然文化園を通るため、ゲートで入園券大人250円を支払います。駅から直接行く場合も、中央口で券を購入しましょう。
北からだと、塔背面の通称〈黒い太陽〉を見ることができます。実は、正面よりもこちらの顔が好きだったりします。
塔の(文字通り)脇を通って、地下エントランスに向かいます。
よく見ると「太」の字だけフォントじゃなくて腕の形になってますね!
ここまで大事なことを言い忘れていましたが、太陽の塔入館には、2019(令和元)年9月現在、ホームページから前日までに予約が必要です。
「太陽の塔」オフィシャルサイト – トップページ – 2018年(平成30年)「太陽の塔 内部再生」事業では塔の耐震工事の実施とあわせて、「生命の樹の生物群」や「地底の太陽」とともに復元し、平成30年3月に一般公開を開始しました。
入館予約は30分単位となっていて、20分ほど前までに受付で入館券に引き替えを行います。
受付の様子を見ていると、ここまで来てはじめて予約が必要と知った人も多いようなので、お気をつけください。
入館時刻の15分ほど前になると、順番に〈地底の太陽〉ゾーンへと案内されます。
万博当時の地下展示を復元した空間では、みんぱく常設展示にもつながる、岡本太郎の愛した仮面と神像が来場者を出迎えます。
地底の太陽はプロジェクションマッピングで刻一刻と色が変化します。
歯をむき出しにする太陽に驚き!
時間になると、いよいよ塔内へ。この地下部分までが撮影可能ゾーンです。
太古のうねうねした生物から目を上にやると、〈生命の樹〉にそって生命の進化が描かれます。
手ブレが思わず印象的な写真に。壁面の三角は、万博当時最新鋭だった音響用の設備で、現在も変わらず使われているそうです。
ガイドとともに、階段で生命の樹の頂までのぼっていきます。(階段をのぼるのが難しい方は、予約時にエレベーター利用を申し込むこともできます)
駆け足に紹介したものの、太陽の塔の魅力はやはり、実際に現地に足を運ばないと伝わらないとも思います。
思想も主義も、嗜好も趣味も分け隔てなく、そこに立てばきっと何かを感じる。
岡本太郎というひとりの生命の情熱が作り上げた、唯一無二の塔。
それが時を経ても残り、時代を超えて人の心を揺さぶることが、ひとつの驚異と言えます。
国立民族学博物館 河出書房新社 2019年09月04日