フォントワークスの mojimo manga を導入して、あのフォントを使う

前回の記事で、フォントワークスの新しい定額フォントサービス mojimo をご紹介しました。

第1弾となる mojimo manga は、あのマンガ、アニメのフォント36種類が年間3,600円(税抜)で使えるという、非常に魅力的なサービスです。

(前回、1フォントあたりの価格計算が盛大に間違っていました。訂正してお詫びします)

 

今回は、mojimo manga の契約から、実際にフォントを使うまでの流れを解説してみます。(以下、2018/03/01現在の情報です)

 

最初に動作環境の注意点です。

今のところ、mojimo manga の動作環境は Mac OS X 10.6.8以降、Windows 7 Service Pack 1以降です。

フォントのインストールには Mac・Windows 用の専用アプリ(mojimoスタートキット)のインストールが必要で、1契約につき同時に1台のPCでしか使えません。

他のPCにフォントをコピーしたり、iPhone、Android等のスマートフォンやタブレット端末で使ったりすることはできないので、契約する前に、ご自身の環境をご確認ください。

 

さて、実際に契約する決心がついたら、mojimo manga 公式サイトから、「新規お申込み」をクリックします。

メールアドレスを入力すると、仮登録のURLがメールで送られてきます。

そのURLから、住所、氏名、クレジットカード番号など必要事項を入力していきます。

契約内容は、現在のところ「mojimo manga」1年契約のみ。今後ラインナップが増えていくと思われます。

クーポンコードを入力する画面がありますが、たとえば pixiv プレミアムユーザーであれば、pixivのマイページから年間3,000円で契約できるクーポンコードが発行できるようです。

他にもマンガ、アニメ関係でクーポンコードを発行しているところがあるかもしれないので、先にご自身の契約しているサービスなどを確認してみると良いでしょう。

 

登録が無事完了すれば、 mojimo アプリのインストールキーが発行されます。

フォントを利用したいPCからマイページにアクセスして、アプリをインストールします。

Mac版とWindows版が用意されているので、ご自身のPC環境に合ったものをダウンロードしましょう。

こちらはMac版の画面。一般的なアプリのインストール画面に従って、アプリとフォントのインストールが行われます。

途中でインストールキーを聞かれたら、コピー&ペーストで入力します。

 

インストールが終わると、自動でアプリが常駐します。

最初に、一契約につき一台のPCでしか使えないと書きましたが、PCを買い換えるときは、まず使っていたPCで「このPCでの利用を無効にする…」を選択してからアンインストールし、新しいPCでアプリを再インストールすれば良いようです。

 

「フォントの同期…」をクリックすれば、OSのフォント一覧に表示され、どのアプリからでも使えるようになります。

フォント名の先頭には、フォントワークスを表す「FOT-」がつくので、選ぶときも迷わなくてすみますね。

(EVA-マティスは先にインストールしていたもの)

 

これで、あのフォントも使い放題です。

つまりはこういうことです!(笑)

「キルラキル」で有名になった「ラグランパンチ」です。

 

個人イベントのPOPなどにも使えそうですね。

こちらは「おそ松さん」などでも使用例があるベビポップ

幅広いデザイン書体が揃っているので、雰囲気を考えて使ってみると、フォントを選ぶのが楽しくなります。

好きな作品で使われているから。

気になるデザインだから。

どんな入口からであっても、それぞれにフォントを楽しむ人が増えるといいなと思います。

 

あのマンガ、あのアニメのフォントが使える – フォントワークスの「ちょうどいい」年間定額フォントサービス mojimo

このブログ〈凪の渡し場〉では、まちなかのポスターや、本の表紙などでよく使われる、さまざまなフォントを紹介してきました。

そんなフォントを自分でも使いたい! と思ったときは、フォントメーカーが提供している年間定額制のフォントサービスを利用するのが便利です。

モリサワのMORISAWA PASSPORT、フォントワークスのLETSなど、日本語、欧文をはじめ多数のフォントを使えるサービスが存在します。

でも、これらのサービス、お値段は一年あたり数万円から。

個人でこれを使おうと思うと、ちょっと手が出しにくい、という人が多いのではないでしょうか。

ところが、2018年3月1日、いままでの常識を覆すようなサービスがフォントワークスから登場しました。

mojimo-manga – あのマンガの、あのアニメの、あのフォントが使える!

あのマンガの、あのアニメの、あのフォントが使える! アニメやコミックなどで見かけない日はない、Fontworksの書体たち。 デザイナー・イラストレーターの方をはじめ、趣味で創作活動を行っている方、 同人誌を制作されている方に最適な書体をセレクト。 36書体が、定額制で自由に使えます。 『新世紀エヴァンゲリオン』のタイトルカットなどで特徴的に使用され大反響を呼んで以来、 …

mojimo は「ちょうどいい文字をちょうどいい価格で」をコンセプトに、用途ごとに提供するフォントの数を絞ることで、低価格のフォントサービスを実現しようというものだそうです。

たとえて言うなら、スカパー!の多チャンネル放送サービスで、見たいジャンルだけのパック契約をするような感覚でしょうか。

第一弾の「mojimo manga」は、フォントワークスの強みでもある、マンガやアニメ作品で良く使われる36のフォントを提供しています。

「新世紀エヴァンゲリオン」で有名になったマティスや、まちなかでその文字を見ない日はないといっていい筑紫書体シリーズなど、リストを見るだけでも垂涎ものです。

最適な書体・価格で提供するフォントサービス「mojimo」をスタート シリーズ第一弾は同人誌制作を応援する、アニメやコミックに最適な「mojimo-manga」を提供|お知らせ|mojimo

フォントワークス株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長CEO:原田 愛、以下「フォントワークス」)は、特定の用途やシーン、利用者に最適な書体・価格でご提供する、新しいフォントサービス「mojimo(モジモ)」をスタートし、2018年3月1日(木)より、第一弾の製品として、アニメやコミックに最適な書体をセレクトした「mojimo-manga(モジモマンガ)」 の提供を開始します。 …

これでお値段は、なんと年間3600円!

本家のLETSと比較してみましょう。

入会金 年会費 日本語フォント数 欧文フォント数 (日本語1フォントあたりの価格)
LETS 30,000円 36,000円
*3年契約で割引あり
525書体 5723書体 69円
mojimo manga 0円 3,600円 36書体 0書体 100円

サービス内容は2018/03/01現在、価格は税抜。

LETSには日本語・欧文以外の各国語フォントなども多数登録されていますが、日本語1フォントあたりの価格だけで単純計算しても、お得感はそのままに、トータルの値段を抑えたのがmojimoということでしょうか。

(2018/03/04:1フォントあたりの価格計算が盛大に間違っていたので修正しました)
(2020/12/31:mojimoでは各フォントで使えるウェイトのバリエーションが少ないという違いもあります)

なお、フォントを使える範囲である使用許諾が若干異なるようなのでご注意ください。

LETSとの主な違いは、ゲームやアプリに用いることはNGのようです。印刷物や、Webサイトに画像として表示することはどちらもOKです。

mojimo manga はまさに同人誌を作る人をターゲットにしているようですが、趣味で自主サークル用のパンフレット・POPなどを作りたい、という用途にもうってつけだと思います。

あまりに魅力的だったので、さっそく契約してみました。

どんなことに使おうか、いまから楽しみです。

契約までの流れは、次回の記事でご紹介します。

もっと身近に定額フォントサービスを使える mojimo 、今後の展開も楽しみです。



ネコと一緒に考える – 猫本専門店 Cat’s Meow Books

2月22日。日本では、にゃんにゃんにゃんの「ねこの日」として有名です。

 

「凪の渡し場」ではあまり表に出していませんが、ねこが好きなのです。

猫好きの友人と一緒に猫カフェに行ったり、ネコをテーマにした読書会を開いたり。

※以下、実体としての存在を漢字の「猫」、抽象的なイメージも含めた存在を「ネコ」と表記

 

猫の愛らしい仕草はもちろん、SFやミステリ、あるいは純文学やエッセイにいたるまで、印象的な登場をすることも多いネコに魅せられる人は多いです。

こんなに身近にいるのに、どこかつかみきれない。

猫を前にすると、人はなにごとかを考えざるをえないのかもしれません。

 

そんな、ネコに対する人類の思索の産物 – 猫本を専門に扱う本屋さんが、東京・三軒茶屋にあります。

それが、『猫のいる、猫本だらけの』本屋、Cat’s Meow Books

昨年(2017年)の開業時、クラウドファンディングでその存在を知り、すぐに支援して以来、ようやくお邪魔することができました。

 

まずは渋谷駅から東急田園都市線で三軒茶屋駅まで向かいます。

このあたりは初めて訪れるところなので、お店に着くまでの道のりも楽しみです。

お店の最寄駅は世田谷線に乗り換えて一駅、西太子堂駅とのことですが…。

世田谷線は田園都市線とは別の改札口になっていました。煉瓦造りの素敵な駅舎です。

わたしがなじみのあるまちで言えば、京都の出町柳駅、京阪から叡山電鉄に乗り換えるときの雰囲気に近いでしょうか。

渋谷から少し離れたところに、こんな素敵なまちがあったのですね。

電車に乗ってもすぐ、天気が良ければ、ぶらぶらと線路沿いを散策しつつ、歩いて行くのも良いです。

 

歩くこと、およそ10分。かわいい看板が見えてきました。

 

猫カフェではなく、猫のいる本屋さん、というのが開業当初からのこだわりとのこと。

ネコの置物のうしろには、軽い飲み心地が評判のクラフトビール・水曜日のネコ。実際に店内で飲むこともできます。

水曜日のネコ | よなよなエール公式通販 – よなよなの里

グラスに注げば立ちのぼる、青りんごを思わせる香りとオレンジピールの爽やかな香り。ほのかなハーブ感がフルーティさを引き立て、すっきりとした飲み口がやさしく喉を潤してくれます。他のビールと比べて苦みが少ないので、普段ビールを飲まない方にもおすすめ。 4種のクラフトビールが飲み比べができる「はじめてセット」 や、2日に1本飲むなら「定期宅配サービス」 もおすすめです! …

 

店内に入る前からネコづくしです。

おや、ここだけ…?

 

中に入ると、店内にひろがる猫本の数々。エッセイ、小説、写真集とジャンルは幅広いですが、どの本も、どこかにかならずネコが出てくるのだそうです。

そして奥の古本コーナーに入ると、保護猫の猫店員がお出迎え。

と、通せんぼして進めない(=^^=;

にゃっと目が合いました。

そんな歓待(?)をしてくれる子もいれば、我関せずで窓の外を見つめる猫店員さんも。

この、人の目には映らない何かを見ているような、猫の表情がなんとも魅力なのです。

居合わせたお客さんも猫好きばかりで、猫の一挙手一投足に釘付け。

店内のテーブル席でドリンクを飲みながら猫と戯れることもできますが、もう一度言うように、ここは猫カフェではなく猫のいる本屋。

買う本を選んで窓際に戻ってみると、まだ同じように窓の外を眺めていました。

 

選んだうちの一冊は赤瀬川原平さんの「猫の宇宙」。

赤瀬川さんは友人である南伸坊さんから仔猫を譲り受けることになったものの、実は子供のころから猫が苦手だったため、すこしでも慣れようと猫の置物を集めることにしたそう。

そんな猫の置物を、草むらの中、コンクリートの上、あるいはパイロンに添え、赤瀬川さんならではの見立てが展開されます。

「もともと猫嫌いだったからこそ、天性の猫好きの人より観察眼に長けている」という独白には感じ入ります。

猫への愛情と冷静なまなざしが同居する、類い稀な写真集です。

 

本屋の良さは、訪れた人に思いがけない本との出逢いをもたらしてくれる場所であることだと思っています。

猫/ネコというフィルターを通して、意外性とともにそれを提供してくれるCat’s Meow Booksさんは、まぎれもなく唯一無二の本屋。

 

名残惜しいですが、お店をあとにして、西太子堂駅で帰りの電車を待ちます。

と、なんだかネコネコしい電車が来ました!

世田谷線の前身、玉川電鉄(玉電)の110周年記念ラッピング電車だそうです。

吊り手まで招き猫に!

 

なぜ招き猫? と思ったら、沿線には、招き猫発祥の地といわれる豪徳寺があるのだとか。

東急世田谷線がねこだらけ! 招き猫電車でねこをテーマに沿線散歩 (1) 玉電が東急世田谷線になるまで–招き猫電車は車内も猫々しい

東急世田谷線の前身で、「玉電」の名で親しまれた玉川線(玉川電鉄)。東急電鉄はこのほど、玉川線開通110周年を記念して、「玉電開通110周年記念イベント」を実施しており、その一環として、「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車(以下、招き猫電車)」を9月25日~2018年3月末予定で運行している。今回は招き猫電車に乗って、猫をテーマに世田谷線沿線を散歩してみよう。

今回は寄れませんでしたが、またゆっくり歩いてみたいまちです。

そのときは、夜にCat’s Meow Booksさんを訪れるのも良さそうですね。(お店の営業時間は14:00-22:00)

夜行性と言われる猫は、夜にどんな表情を見せるのか。

 

ネコと一緒に、ヒトとの関係を考えることができる、素敵な場所でした。

現代日本の般若心経 – 柳宗悦、平野甲賀、みうらじゅん

仏教の経典のひとつに「般若心経」があります。

「色即是空、空即是色」などの句が並べられ、短い文章の中に仏教の思想が簡潔に表されているといいます。

今回は、今年(平成30年)3月まで東京近郊で味わえる、現代日本ならではの三つの「般若心経」をご紹介します。

 

まずは、目黒区駒場にある、日本民藝館を訪れます。

大正末期、従来の権威や様式にとらわれない「民藝」という美の概念を提唱した柳宗悦が、その活動の中心とした博物館です。

こちらでは3月25日まで、特別展「棟方志功と柳宗悦」が開催されています。

展示|日本民藝館

日本民芸館の世界へようこそ。ホームページ。総数約1万7千点を数える。

柳宗悦と生涯を通して交流のあった版画家・棟方志功の作品を、両者の間で交わされた書簡とともに紹介しています。

ポスターに使われている「心偈(こころうた)」は、柳宗悦が仏教の浄土思想にもとづいてあらわした句を、棟方志功が版画にしたもの。

簡潔なことばのなかに想いを込める心偈は、民藝とも般若心経の思想と共通するものであり、心を打たれました。

実際に般若心経そのものの書も展示されており、壮観です。

 

日本民藝館の近くには駒場公園、改装中ですが旧前田侯爵家や日本近代文学館もあり、落ち着いた雰囲気で散策が楽しめます。

すこしだけタイポさんぽ。

具体的な一にくらべて、二がざっくりしすぎでは。

 

「宇宙支」とは…!?

 

さて、次は銀座に向かいます。

通りの向かいにある商業施設「GINZA SIX」の外観に目を惹かれていたら、なるほど、銀座6丁目だから、この名前なのですね。

手前の看板の丸ゴシックもかわいいです。

 

その先、銀座7丁目にあるのが、大日本印刷が運営するギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)です。

こちらでは3月17日まで、「平野甲賀と晶文社展」が開催中です。入場は無料ですが、日曜・祝日は休館なのでご注意。

三十年近くにわたって平野甲賀さんが装丁を手がけた晶文社の本と、それ以外のさまざまなポスターなどを展示しています。

とくに近年の平野甲賀デザインといえば、このように描き文字ともフォントとも似つかない特徴的な「文字」。

そんな平野甲賀の文字で書かれた「般若心経」が展示の一角にあり、とても驚きました。たしかに一文字ずつ、じっくり見るのにふさわしい題材です。

晶文社の出版物も含め、どれだけいても飽きないかもしれません。

 

さて、最後は東京を離れ、川崎市へ。

JR・東急武蔵小杉駅から、さらにバスを乗り継ぎ、川崎市市民ミュージアムに向かいます。

今回の主目的のひとつである、みうらじゅんフェス(MJ’s FES)が3月25日まで開催中です。

MJ’s FES みうらじゅんフェス!マイブームの全貌展 SINCE 1958 | 川崎市市民ミュージアム

川崎市市民ミュージアムは、「都市と人間」という基本テーマを掲げて1988年11月に開館した博物館と美術館の複合文化施設です。常設・企画展や映像の定期上映を始めとして、講座やワークショップなど様々な事業を展開しています。さらに地域の皆様の文化活動に利用していただくために、ギャラリースペースや研修室など施設の貸出しを行っています。

マイブーム、ゆるキャラといった言葉を生み出し、「ない仕事」をつくり続ける、みうらじゅんさん(カラーバス効果で「つながる」読書の楽しみ方)。

そんなみうらじゅんさんの、小学生時代からの膨大な創作とコレクションが一堂に会する特別展です。

ちなみに冒頭の挨拶、「川崎市民ミュージアム」と誤記したあとで「市」を追加しているのですが、外の立て看板を見ると…

その「市」の活字が欠落しています。どっちが正しいのか?

 

それはともかく、展示の目玉は「アウトドア般若心経」なのです。

路上の看板やポスターから漢字一文字ずつを拾い上げ、般若心経を完成させる。

広告あり、選挙ポスターあり…。

日常の中から立ち上がってくる「色即是空」には、ひとりの人間が書き上げたそれとは違った感慨があります。

いや、書いたのは別々の人でも、この文字の中から般若心経を見出したのはまぎれもなくみうらじゅんさん、その人。

「アウトドア般若心経」に限らず、他の展示も単なるコレクションではなく、みうらじゅん視点で集められたものだからこそ、面白さが際立ってくるのです。

まさに空即是色。「みうらじゅんフェス!」という言葉に恥じない、壮大な試みでした。

 

日本のまちにあふれるスペシャルな文字 – まちの文字図鑑 ヨキカナカタカナ

人生を変える本があります。

まちなかの看板に描かれた文字を鑑賞する「タイポさんぽ」。

そして、さらにその文字を、ひらがな一文字ずつに分解することで、五十音の図鑑をつくる「よきかなひらがな」。

この二冊(「タイポさんぽ」は旧版と改版があるので正確には三冊)とであったことで、わたしのまちあるきの楽しみ方は、それまでとまったく違ったものになりました。

「よきかなひらがな」の作者・松村大輔さんと、雑誌「八画文化会館」の編集者おふたりによる京の夜のイベント「よきかな商店街」は、いまでも忘れられません。

あれから一年半、いよいよ待望の続編が刊行となりました。

日本語において、カタカナは主に外来語を表すための文字とされますが、商店や施設の名前としてもよく使われるため、実はひらがなよりもまちなかでお目にかかる機会は多いです。

では問題です。これは何の文字でしょうか?

 

 

正解はこちら。「スサノオ」の「オ」でした。

看板なら読めるのに、一文字だと謎の模様に見えてくるのも不思議なものです。

 

本書ではこのように、その店だけのオリジナルでスペシャルなカタカナの数々を一文字ずつ堪能できます。

(なお、上記の例はこの本に出てくるものではありません)

 

ひとつのカタカナがさまざまにデザインされ、一堂に会する見開きページを眺めているだけで、溜息が出てしまいます。

一文字ずつ抜き出すことで、「パ」の半濁音が斜めの線に突き刺さっている「串刺しパ」の世界など、不思議な類似点にも気づくことができます。

残念ながら、こちらは実物にお目にかかったことはないので、よきかな商店街イベント中の写真を拝借いたします。

 

こうやって本に収められなければ、互いの存在を知ることもなく、ひっそりとこの世界の片隅に生まれ、やがて消えていったであろう文字たちのことを思うと、恋にも似たときめきを感じざるを得ません。

 

そう、まちの文字図鑑は、本を読んで終わりではなく、実際にまちへ出かけて、まだ見ぬカタカナを味わうことで、はじめて真価を発揮するのです。

文字をめぐるたびに、終わりはありません。