LINE BLOG の Webフォントを試す (1)

LINE BLOG が一般ユーザーでもアカウントを開設できるようになって、話題になっています。

特徴のひとつになっているのが、アプリから、簡単にWebフォントを設定できること。

 

そこで、実際にどんなフォントがあるか試してみました。

iOS版の2016/11/24現在、iOS版のバージョン1.0.1で設定できるフォントはフォントワークスの書体を中心に、なんと31種!

毎日ブログを更新しても、一ヶ月のあいだ、日替わりでフォントを変えることができることになります。

そこまでしなくても、記事の雰囲気に合ったフォントを簡単に選べるのは大きな利点です。

 

今回は、そのうちの11種類を試してみます。

 

標準フォント

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iOSの標準フォントということで、ヒラギノ角ゴシックでしょうか。

Androidで見た時は、どうなるのかは不明です。誰か試してください(^^;

 

筑紫明朝

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ふたつめにフォントワークスの筑紫明朝をもってくるラインナップが素晴らしい。格調の高い明朝体。

 

筑紫アンティーク

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筑紫書体だけでも5書体も選べます。アンティーク明朝は、普通の明朝体より時代を感じさせます。

 

筑紫ゴシック

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筑紫書体のゴシック体もあります。「あ」の、ぐっと曲がった横棒がかっこいい。

 

筑紫オールドゴシック

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筑紫オールドゴシックは、文章がくっきりと目立って見えます。

 

筑紫A丸ゴシック

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筑紫書体のラストは、Macでもおなじみ、かわいい丸ゴシック。

せっかくなら、人気の筑紫Aオールド明朝もほしかったですね。今後に期待です。

 

マティスV

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マティスといえばエヴァンゲリオン公式フォントで有名なあのフォントですが、マティスVはそこまで文字が太くなく、現代的に見えます。

 

テロップ明朝

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テロップ明朝は、その名の通りモニタ上で見やすくデザインされた文字。筑紫明朝が少し見にくいと思ったら、こちらを選んでみるのもいいでしょう。

 

グレコ

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グレコは、すっきりした楷書体。和風の雰囲気がよく出ています。

 

ニューロダン

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こちらも読みやすいゴシック体。

 

スーラ

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スーラ! ゆったりとしていて自然体の丸ゴシックです。
なかなか気に入ったので、初投稿はこのフォントにしてみました(^^)

 

今回はここまで。最初はオーソドックスなフォントを紹介しましたが、次はもっと個性的なデザイン書体も試してみます。(つづきはこちら

名古屋の本屋の中心に – ちくさ正文館と、喫茶モノコト〜空き地〜

【追記】2023年、ちくさ正文館は惜しまれつつ閉店しました。この記事はアーカイブとして、当時の文章をそのまま残しておきます。
「喫茶モノコト」は大須の店舗で営業中です。


中日本、中京地区という異名をもつように、東京と京都・大阪の中間に位置する名古屋。

東西の文化の中継地点として、互いに交じり合いながら、独特の文化がはぐくまれてきました。

そんなまちの文化拠点のひとつといえば本屋。では、名古屋の本屋さんの中心といえばどこでしょうか。

わたしにとって、それは名駅のある中村区でもなく、栄のある中区でもなく、千種(ちくさ)区にあります。

栄から地下鉄東山線で2駅。

そこはまた、JR東海・中央本線とも交わる中継点。

そこに、ちくさ正文館という本屋さんがあります。

駅前のターミナル店は予備校も多いので、学生向けの参考書や漫画・雑誌にスペースをとった品揃えです。

けれど、ちくさ正文館といえば、そこから少し歩いた本店。

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このお店については、いままでも多くの本で語られています。

わたしがこの本屋さんをはじめて訪れたのは、ずいぶん前のこと。

でも実はそのとき、このお店がそんなに有名だということを知らなかったのです。

普通にまちあるきをしていて、普通に本屋さんがあると思って入りました。

そして圧倒されました。

こんな品揃えの本屋さんは、後にも先にも、見たことがありません。

ベストセラーが置いていないわけではなく。

買いたいと思って探していた本が必ず見つかるわけでもなく。

けれど、ここに来れば、ここに来ないと出会えなかったような本に、必ずといっていいほど出会える。

それが、実にさりげなく、押しつけがましくなく置かれている。

まるで凪のような、あるいは台風の目のような、その静かな空間のまわりに、大きなエネルギーが渦巻いている。

その意味で、ここが名古屋の中心であると思うのです。

そして、つい先日、このお店の二階が改装され、新しいスペース「喫茶モノコト〜空き地〜」がオープンしました。

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プレオープン企画として、あいちトリエンナーレ2016でも作品を展示されていた、岡部昌生さんと鯉江良二さんによる「ヒロシマの礫」の展示が行われていました。

広島の被爆した土と、こねられた団子。

港千尋監督の言葉に添えられた「あとはこれをどこに投げるかだ!」というキャッチフレーズが印象的です。

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トリエンナーレがはじまる前にも、同じ場所で、岡部さんの展示が行われていたことを思い出します。

投げられる日を待っていたかのように、静かに時を刻んでいた空間。

リニューアルされて、喫茶店となりながらも「空き地」というキャプションがつけられた場所で、これから何が起こるのか。

11/18(金)〜11/30(水) は写真家・キッチンミノルさんと詩人・桑原滝弥さんの「メオトパンドラ」出版記念展が開催中。

わたしが訪れた際は、まだ定休日など諸々未定だと伺いましたが、徐々にメニューも増やして喫茶店としても充実していくそう。

本屋として、喫茶店として、これからますます楽しみな場所です。

図解で知る、深く味わう – 名古屋東海図鑑

ブログで好きなことをアウトプットをしていると、いままで意識していなかったことにも気づくことがあります。

たとえばわたしの場合、紹介した本のなかに「図鑑」と名のつくものが多いことに気がつきました。

あらためて本棚を見渡すと、「○○図鑑」というタイトルの本は、ブログで紹介していないものも含めて十冊以上ありました。

どうやら、わたしは図鑑が好きみたいです。

 

たしかに、まわりにパソコンもインターネットもなかったこども時代、調べ物といえば図鑑か百科事典。

それを読めば、いろいろなことを系統立てて知ることができる、イラストや写真でビジュアル的に感じることができる。

図鑑は、わたしにとって知識の泉でした。

 

そしていまも、よりマイナーなジャンルに特化した「図鑑」を本屋さんで見つけると、嬉しくなってつい買ってしまう、そんな心理があるようです。

そんな気づきを得たことにより、出会った本がこちら。

旅行が好きなので、日本各地のガイド本はよくチェックしていますが、住んでいる地方ほど、あえてガイド本を買いたいという気持ちが薄くなってしまうもの。

とはいえ、タイトルに「図鑑」とついていることだし、とりあえず中身を確認してみよう…。

そう思って数ページ立ち読みしたら、驚きました。

 

現在復元事業が進行中の、名古屋城本丸御殿の見取り図。

天守閣にそびえる金鯱のサイズ、重量、ウロコの枚数などのカタログスペック。

トヨタの原点となった豊田自動織機の3つの特許。

 

名古屋にまつわるさまざまなものが、図鑑の名に恥じない詳しさで解説されていました。

 

もちろん、名古屋駅周辺の高層ビル、テレビ塔、科学館、名古屋港水族館などの定番スポットも図解とともに紹介されています。

地元の人なら一度は行ったことがある、けれどまだまだ知らないことばかり。

行ったことがない人も、これを読めばきっと行ってみたくなるはず。

 

わたしがいちばん感動したのは、味噌から派生する名古屋の食図

大豆と塩を祖先として生まれた八丁味噌。

そこから派生した名古屋の食文化を彩る調味料・食材の数々を、家系図に見立てて見開きで紹介しています。

 

ちょっと筒井康隆さんの傑作「バブリング創世記」を思い出しました。

味噌煮込みうどんは八丁味噌の長男なり。

味噌煮込みうどん、コーチン一族の娘・かしわと結婚して手羽先を生めり。

味噌煮込みうどんの親友、留学生のカレーは、きしめんと結婚してカレーうどんを生む。

ほかの地方の人に、いわゆる「なごやめし」のおすすめを訊かれたとき、名物にしては幅が広すぎて、どう説明しようか困ることがありました。

この家系図さえ頭に入れておけば、もうその心配もありません。

 

 

ふだんの食卓も、万能味噌「つけてみそ かけてみそ」があるだけで、なごやめしに変身するように。

名古屋をもっと深く・濃く味わうのに、おすすめの一冊です。

 

この世界に生きる、すべての人へ – 映画「この世界の片隅に」

以前も紹介した、こうの史代さんの漫画を原作とするアニメーション映画「この世界の片隅に」が公開されました。

11月12日(土)全国公開 劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」公式サイト

監督:片渕須直、原作:こうの史代、音楽:コトリンゴ、制作:MAPPA 声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 / 澁谷天外 ほか。11月12日(土)全国公開 劇場用長編アニメ「この世界の片隅に」の公式サイトです。日本中の思いが結集! 100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション

昭和19年から20年。広島から呉に嫁いだ少女、すずの視点で描かれる世界。

それは、まるで超細密なモザイク画、あるいはジグソーパズルのよう。

戦時中の日本を舞台にしていながら、戦争を前面に出したテーマとはしていない、日常の物語。

だからこそ、一面的でない視点から、戦争に向き合っているともいえます。

 

にぎわいを見せる、広島市中島新町(現在の平和記念公園)。

軍港としての呉。

空襲を受ける瀬戸内海。

 

個人的に偏愛する広島の、何度足を運んでも、もう見られない風景がそこに広がっていました。

 

そして、この世界をジグソーパズルと形容した理由は、すべてのピースに意味がある、細やかな描写まで伏線が張りめぐらされているということ。

それでも、物語は基本的にすずさんの視点で進んでいくので、細かい説明などは入りません。

もともと原作が大好きで、映画の公開前に呉市立美術館で開催されていた原画展にも足を運んだので、それぞれのシーンに込められた意味を思い、もう序盤から泣きそうになってしまったり。

思わず館内のあちこちで笑い声が漏れるほど楽しいシーンもいっぱいあるので、ほんとうは泣ける映画という表現はしたくないのですけれど。

まず何も知らない状態で観に行ってから、原作や映画公式ブックに触れると、新たな発見を得られるかもしれません。

 

 

誰もがみんな、この世界の片隅に生きている。

そうして、同じ時代に生きている他の誰かと出会い、別れ、新たな生をつむいでいく。

 

その意味を、何度でも何度でも考えたくなります。

 

さいごに、呉に行ったときの写真を。

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はんこ屋さんも「この世界の片隅に」を応援。

 

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美術館の手前にある、呉線の高架下近くの建物。現在は、海上自衛隊呉集会所になっているそう。

映画の中でも、外観は異なりますが当時の姿が少しだけ登場します。

 

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その建物の片隅に、ひなたぼっこする猫の姿が。

なんとも幸せそうで、印象的な光景でした。

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秋の夜長に響くフォント – すずむし

さまざまな種類がある日本語フォント。それらは、大きくふたつにわけられます。

 

ひとつは、明朝体やゴシック体のように、昔から使われてきた、決まった型のあるもの。

長い時間をかけて洗練されてきたその型は、日本語がわかる人なら誰でも読みやすく、安心感を与えます。

小説の本文に明朝体が使われたり、駅の看板にゴシック体が使われたりするのも、その安心感ならでは。

行書体や草書体などのフォントも、いまの時代の人には見慣れないかもしれませんが、伝統的に使われてきたという点では同じ系統に属します。

 

もうひとつは、そんな型にとらわれず、作り手の個性を自由に発揮したような、いわゆるデザイン書体。

本文として使うと読みにくくなってしまいますが、見出しやタイトルなどに使えば、効果的に想いを伝えることができます。

そのひとつが、この記事の見出しでも使っている、すずむしフォント。

すずむし | 書体見本 | モリサワのフォント

「すずむし」は、モリサワ「タイプデザインコンペティション 2012」和文部門でモリサワ賞 …

たっぷりの墨を含んだ筆で書いたようなデザイン。

くりくりっとした曲線、丸明オールド以上にまるまるとしたウロコの直線が、ダイナミックでかわいらしい。

 

 

最近見かけた使用例を、いくつかご紹介しましょう。

愛知淑徳大学の女子大生が、地元の老舗和菓子屋・納屋橋饅頭とコラボして生み出した、野菜の和菓子「やわがし」。

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名古屋を流れる堀川を愛する人たちによる、堀川まちづくりの会

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本のタイトルでも。

他にもたくさんあります。

八画文化会館叢書vol.04 公園手帖2 キノコ公園
ちなみに、別の会社から、「きりぎりす」というフォントも発売されていて、一時期混乱していました(笑)

きりぎりすのほうが、ちょっと直線的なデザインとおぼえましょう。

 

すずむしフォントが気に入った方、モリサワの公式ストアから、ブックマーカー(しおり)も購入できますよ。

グッズ一覧

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秋の夜長、すずむしフォントの軽やかな音色を感じながらの読書はいかがでしょう。

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