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晴れた日は活字のもりで深呼吸 – 市ヶ谷の杜 本と活字館

〈凪の渡し場〉では以前、凸版印刷の印刷博物館を紹介しました。
(リニューアル前の訪問で、現在の展示内容とは異なります)

東京には、もうひとつ、本と印刷に関するミュージアムがあります。

それが、大日本印刷(DNP)の運営する「市ヶ谷の杜 本と活字館」です。
名前のとおり、JR中央線の市ヶ谷駅が最寄りです。

駅の北口から江戸城の外濠をわたり、長い坂をのぼっていきます。電信柱にも広告があるので迷いませんね。

坂のつきあたり、防衛省と並んで、日本学生支援機構の建物があります。大学のころは奨学金でお世話になりました(すでに完済しています)。

右に曲がった先にあるのは、DNPのロゴが冠された建物ばかり。もともとは大日本印刷の前身である活版印刷所・秀英舎の工場があった場所だそう。
休日は人通りも少なく、東京都心とは思えない閑静な雰囲気です。

その奥に進めば、時計台が印象的な、学校のような建物が見えてきました。ちょうど100年前の1926(大正15)年に建てられ、応接室や役員室など秀英舎の表玄関としての機能を果たしていたそうです。

現在は工場再整備により、この地区を緑地帯として整備し、リノベーション公開されています。

館内は入館無料、一部を除き写真撮影自由です。
一階は、かつての印刷所をイメージした空間となっており、活字・フォント作りの工程や、組版・印刷までの作業に使われた道具が展示されています。

現在はデジタルフォントとしても知られる「秀英体」は、まさに秀英舎の明朝体フォントとして、ここから生まれたのです。

小学六年生の活字

版を組むため、原稿に合わせて職人さんが拾う活字がつまった文選箱。

集英社…ではなく小学館の学習雑誌として知られた「小学六年生」などの活字に、懐かしさをおぼえます。

タッチパネルで、夏目漱石「坊っちゃん」の文章を拾い上げるスピードを競うコーナーもありました。
あまりにも速い職人さんのスピードに頭が下がります。

「インテル入ってる」でおなじみの(ちがいます)インテルです。
今のようにアプリで行間を調整したりはできないので、物理的に活字と活字の間に挟み込んで余白を調整する道具です。

本や雑誌の発注を受けて、内容に最適なサイズ・紙などを選ぶコーナーもあり、本当に印刷会社の人になった気分です。

二階では特別展「キラキラ⭐️百箔繚乱」が開催中です。

雰囲気がガラリと変わり、ときめきのホログラム箔などの素材が一堂に介した会場。

デザインが毎回素敵な左右社の歌集(短歌アンソロジー)「夢 の うた」もありました。あえて帯で隠れる部分に箔が使われており、購入して帯を外したとき、本当に感動しました。

そんな箔が印象的な、あんな歌集、こんな小説など、さまざまな本が並べられ、手に取れなくても眺めているだけで時間が溶けてゆきます。

なんと、特別展のチラシまで箔押しです!

二階では、ほかにも定期的にワークショップが行われていたり、館内見学も予約制で参加できます。
すぐに予約がいっぱいになってしまうので今回は参加できませんでしたが、またいつか参加してみたいです。
本と活字にまつわるグッズ(フォントかるたも!)や書籍などもショップで購入できます。

百年前から変わらず、魅力あふれるフォントと本の世界にひたれる活字館の時間でした。

…と、話はここで終わりません。

帰りは別の道をえらんで駅まで戻ろうとしたところ、「外濠書店」なる見慣れない屋号の本屋さんを見つけました。

外濠書店

DNPプラザの1Fにある、こちらもDNPが運営する実験的な店舗のようです。hontoカードまで使えます。

奥はカフェスペースになっていて、本棚はコンパクトなスペースながら、目をみはる品揃え。

本編を読み終わっても、あとがきや解説まで楽しめる本に出会えたような、すてきな日でした。

実験書店「外濠書店」 | コラボレーション活動 | DNPプラザ | 大日本印刷

本にもっと興味を持って、本をもっと好きになってもらうために。さまざまな企画を通じて、今までにない「本との出合い方」を体験できる実験書店です。気になる本は購入もしていただけます。

https://ichigaya-letterpress.jp

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