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文字遣い/探索士 ——夕霧に包まれ消えゆく島の名を知る術も無し凪の私は

京都タイポさんぽ

よきかな商店街イベントで、ひさびさに訪れた京都。

イベントの前後にも、文字やフォントをテーマにまちあるき・ミュージアム見学をしてきたので、何回かに分けて紹介していきます。

 

スタートは東海道新幹線京都駅、見慣れたJR東海のスミ丸ゴシックから。

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さっそく駅構内のお土産屋さんで、良い文字がおでむかえ。角張った文字は、視覚デザイン研究所のラインGかと思ったら、ちょっと違うみたい。

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こちらは丸明オールドでしょう。元のフォントにはない筆順が再現されているのがおもしろい。

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どちらも、大きい看板はオーソドックスな明朝体・ゴシック体なのに、その下の文字がかわいい。

ちなみに、「こたべ」は定番の生八つ橋・おたべの子供版。帰りにお土産に買おうと思ったのに忘れました(^^;

こたべ 夏 京都銘菓「おたべ」お菓子

こうなると、京みやげフォントを制覇したくなってきますね!

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京みやげ特集でした。

 

京都駅から外に出ると、駅ビルの壁面に、ホテルグランヴィア京都のロゴが良い具合に映りこみ。

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そのまま地下鉄に乗り、烏丸御池まで。

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京都市営地下鉄の駅名標、黒地にオレンジでかっこいい。

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あちこちに貼られているポスター。乗客増加を目指して、「地下鉄に乗るっ」というキャンペーンが行われているようです。

 

 

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駅ナカの大垣書店 Kotochika 店では、コラボブックカバーも配布中。
ちなみに大垣書店のロゴはダイナコムウェアのDF隷書体ですね。

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NHK京都の黒猫も気になりますが、古い乗り場案内の黒テープで消された文字も気になってしまう性分。

三条通を東へ進みます。このあたりは近代建築もみどころ。

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中京郵便局。東海地方のみなさん、「ちゅうきょう」じゃなくて「なかぎょう」ですよ!

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そして、旧日本銀行京都支店。現在は京都文化博物館として使われています。
それにしても、赤レンガには青空がよく似合いますね。

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奥に進むと、中庭部分がテラスになっています。

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なんだこの子は!

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実にいとおしいCOFFEEの看板。これを見たら、入らないわけにはいきません。

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前田珈琲さん。他の店舗も、呉服店や小学校を改装した建物があるようで気になります。

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京都文化博物館には、紙もの文具・雑貨を取り扱う楽紙舘さんも入居しています。

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三条通から一つ上がり、姉小路通り。ぼちぼちいきましょう。

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寺町通まで来ました。ここにもDF隷書体が使われています。

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寺町商店街の看板も、ひとつひとつ見飽きることがありません。

「ヤマモト」のロゴとしての完成度の高さといったら!

時間を忘れて楽しめそうな、京都のまちあるきでした。

このあと、祇園まで行って漢字ミュージアムを訪れたのですが、それは次の記事で。


文字と路上観察が出逢う夜 – よきかな商店街

以前もブログで紹介した、まちあるきを文字で楽しむ本「まちの文字図鑑 よきかなひらがな」。

その出版を記念し、去る2016年8月27日、「よきかな商店街」というトークイベントが開催されました。
よきかな商店街
著者の松村大輔さんに加え、ゲストは八画文化会館の石川春菜編集長・酒井竜次さん。

八画文化会館とは、「終末観光」と銘打ち、日本各地の変わったスポットを紹介し続ける雑誌出版社。

八画文化会館 : 廃墟や珍スポットなど、日本各地の奇妙なモノを発見するインディーズ出版社、八画出版部

名古屋を代表する本屋さん、ちくさ正文館で創刊号を手にとって以来、毎号の愛読者なのです。

これはぜひとも行かなければ…! ということで、イベントに参加してきました。

 

会場は京都の本屋・誠光社さん。

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夜の19時、なんとも風情のある路地の一角で、イベントはスタート。

対談形式で、それぞれが撮られた商店街などの文字(ロゴタイプ)を鑑賞するというスタイルです。

 

さっそく松村さんから、フォントとロゴの違いについて解説される一幕も。

 

そのお店のためだけに、その看板で使われる文字だけをデザインしたのがロゴ。だから、基本は一点もの。

フォントは、いろいろな用途に使えるように一通りの文字を揃えているので、同じフォントで作られた看板をあちこちで見ることができます。

 

このブログも成り行き上、まちの文字に関する記事カテゴリを「フォント」にしていますが、そこはご容赦ください(笑)

 

何故か味のある文字が多いクリーニング美容室

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そのお店の業態や店名にぴったりのデザインをしたのが、どんぴしゃタイポ

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商店街の入口にある、栄光のアーチ

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地元・名古屋では定番ネタ、「車道」と書いて「くるまみち」と読む地名。

 

さらに、バーやスナックの集合看板・スナック団体戦など、まちあるきをより楽しめる概念の数々がつぎつぎと紹介されていきます。

少し時間をオーバーして、惜しむらくもイベントは終了。

 

しかし、本当のお楽しみはここから!

イベント終了後、著者の松村さんや八画文化会館のお二人にご挨拶。

本に「よきかなひらがな」のスタンプも押させていただきました。

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お話をしていると、なんとその場にいた参加者の方とともに、二次会(懇親会?)にお誘いいただけることに。

 

参加者にも、Twitterやサイトなどで、いろんな活動をされている方が多くいて、自然とお互いに自分の撮った写真を見せ合う流れに。

路上観察学、文字、フォントなど、少しずつ視点が違いつつ、同じものを見て、楽しむことができる。

そんな方々が「よきかな商店街」というイベントをきっかけとして一堂に会する。

きっと一生思い出に残る、刺激的な一夜でした。

著者の方々、出版の大福書林さん、そして参加者のみなさん、ありがとうございました!

 

と、ここでお礼がわりに、わたしの視点で、京都で見つけた文字を載せようかと思ったのですが、あまりに長くなりすぎるので別記事にします(^^;

かわりに、その場でお見せできなかった(京都以外で撮った)お気に入りの写真を。

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丸ゴシックで組まれた「カナモノ」と、「の」を丸く囲む角ゴシックの「カ」。

まさに、イイカナとよきかなの夢のコラボレーション。

 

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ロマンチック美容室、そして「シグ」のリガチャ(合字)。

 

 

他人だから応援できる、自分だからがんばれる – 球場ラヴァーズ

ひさびさの広島偏愛シリーズ、今回は広島東洋カープを題材にした漫画「球場ラヴァーズ」をご紹介します。

野球漫画といえば、選手あるいは野球チームが主役というのが通例n。

でも、この作品の主役は、選手を応援するために球場に集まった観客。そのため「広島東洋カープ応援席マンガ」ともよばれています。まずは、その視点がおもしろい。

人のことだから応援するのよ(基町勝子)

 

野球とも、広島とも縁のなかった少女が、思わぬきっかけで球場に足を運び、熱烈なカープファンと出会うことで、それまでの生活が一変します。

まだ「カープ女子」ということばが世間を賑わす前、2010年から、主人公が交代しつつ、2015年のシーズンまでがリアルタイムに描かれます。

現実の通り、その間カープの優勝はなし。

選手だけでなく、応援席の彼女たちも、楽しいことばかりではなく、辛い現実も描かれます。

 

勝って負けて、おちこんで。

活躍できることもあれば、芽が出ないままのことも。

納得しがたい理不尽なことがあったり、奇跡とも思えるようなことが起こったり。

 

それはまるで、人生の縮図。

どんなプロ野球チームもそうだと思いますが、とくにカープというチームに焦点をあてることで、そのドラマティックな起伏が印象づけられます。

原爆の惨禍から、広島に球団をつくろうという運動がはじまり、初優勝まで25年。

そして迎えた黄金時代から、長く優勝から遠ざかった期間を経て、2016年、25年ぶりの優勝マジック点灯。

たしかにあるんだよな、振り返ればあの日だった!—って試合が。

たしかにあの日だった。あの日が今日につながった(松田美央)

あの日、あの場所に行かなければ、出逢わなかった人があった。

できなかった体験があった。

あの日、前に進むことを選んだからこそ、いまの自分があり、そして未来につながっている。

 

カープを応援し、自分自身もがんばろうとする主人公たちの姿には、野球に興味がなくても、カープファンでなくても、きっと胸を打たれることでしょう。

そして、思わず球場に行きたくなってしまうこと請け合い。

 

旧広島市民球場は、もう訪れることはできないけれど。

マツダスタジアム、いつの日にか行ってみたいです。

 

岐阜市街で、時の流れを感じるまちあるき

まちには、人それぞれに抱く想い、イメージというものがあると思います。

 

わたしにとって、岐阜というまちは、ちょっと他のまちとは違う時間の流れかたをしているような、ふしぎな場所。

 

それは、こどものころ、祖父母の家が岐阜にあって、よく訪れていたという思い出のせいかもしれません。

かつて昭和の時代に栄えた柳ヶ瀬商店街と、路面電車の記憶。

いま訪れると、まちのあちこちで、別の形でにぎわいを取り戻していることを感じます。

 

今回はJR岐阜駅からスタート。中央改札の他に、アクティブGという商業施設への直通改札口ができていました。広島でいうとアッセ改札口のようなものですね。

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岐阜県のお土産を買えたり、各種ワークショップなども開催されている複合施設。

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となりのビル、岐阜シティ・タワー43へ。43階に無料展望室があると知って寄ってみました。

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案内表示が毛筆体というのは、なかなかめずらしいのでは。

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JR東海道本線の下をくぐる名鉄線。スケールの違いに驚かされます。

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柳ヶ瀬、高島屋方面を仰ぎ見て。

 

エレベータを降りて、ここからは岐阜市街をまちあるき。

お店も建物も、素敵な場所がたくさんあるのですが、今回は主に文字に絞った見どころをご紹介。しかも、柳ヶ瀬商店街にはたどり着きません(^^; またいずれ。

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いきなりの You are welcome。ど、どういたしまして…。

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「マ」のカーブがすばらしい。

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つづく4。

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FASHION CREATE □□□□。どんな店名だったのか、とても気になります…!

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Coffee リー…? これも読めない。

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COFFEE TALK。「トーク」の置き方といい色使いといい、とても素敵なのですが残念ながら営業していません。
こんなお店で、あなたと珈琲トークしてみたい。

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なんてことを考えて歩いていたら、こんな立て看板を見つけました。

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空きビル再生プロジェクトで生まれた、カンダマチノート。カフェは週末だけオープンとのこと。

クリエーター向けにスペースの貸し出し、ワークショップの開催などもできるようです。

【岐阜】カンダマチノートOPEN!

ちなみにリンク先、さかだちブックスさんのホームページでは、ほかにも素敵な岐阜がたくさん紹介されています。

 

今と昔がふしぎに同居する、岐阜のまちあるきでした。

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アクティブG、夜になったら光るんだ…!


 

変貌する名駅で楽しむ、あいちトリエンナーレ2016

今回のあいちトリエンナーレ2016では、名古屋駅(名駅)地区でも作品が見られます。

まずは、セントラルタワーズ(ジェイアール名古屋タカシマヤ)から。

2016 なつやすみファミリーフェスティバル 第2弾
待ち合わせ場所として有名な金の時計、その北側から1Fに入ると、クローゼットの靴や衣装をモチーフにしたという佐藤翠さんの作品が8/22(月)まで展示中。

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また、トリエンナーレとは直接関係ないですが、12F(タワーズプラザレストラン街)には、レゴブロックでパックマンや名画を再現したアートが。こちらも8/31(水)までだそうなので、お早めに。

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そして、今年2016年の6月にオープンしたばかりのJPタワー名古屋(KITTE名古屋)。
KITTE名古屋(キッテ ナゴヤ)オフィシャルホームページ

将来的には、セントラルタワーズの西にできるJRゲートタワーとつながる予定ですが、ゲートタワーは2016年8月現在、まだ工事中。

今のところ、仮設通路を通るか、地下街(10番出口すぐ)からのアクセスが便利です。

 

仮設通路から行く場合、金の時計前から、エスカレーターで2Fテラスへ。

左手に、仮設通路への入口があります。冷房がないので、ちょっと蒸し暑い。

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吹き抜け部分には、なんともゴージャスな金のシャチホコ(GOLD FISH)がお出迎え。

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これはトリエンナーレの作品ではなく、もとからある祐成政徳さんの作品。

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奥のほうには、ちょっとしゃっちょこばった銀の置物が。これも名古屋駅の金の時計・銀の時計を意識しているのでしょうか?

 

ちなみに、その横では21日まで「名駅物語」と題して、名古屋駅周辺の歴史をふりかえるパネル展示が行われています。

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KITTE名古屋は名前の通り、名古屋中央郵便局の跡地にできたのですが、そもそも何故郵便局が駅前にあったのか?

それは、郵便物を鉄道で運んでいた時代の名残だそう。

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同じように、東京駅の丸の内口にも東京中央郵便局があり、先行して同じ「KITTE」という名前を冠した商業施設になっています。

東海道線で結ばれた、名古屋と東京のゆかりを感じます。せっかくなので、東名ロゴ比較も。

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さて、2F貫通通路を進み、ようやくトリエンナーレ作品にたどり着きます。

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森北伸さんの作品(N-67)。ちょっと案内がわかりにくいのですが、壁に埋め込まれたショーケースの中の彫刻がそれでしょうか。

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さらに奥まで進むと、窓にステンドグラスのような絵が。

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ほかにも、細かい調度品や内装が凝っていたり、個性的な雑貨屋や飲食店も多かったりと、何度も足を運びたくなるビルです。

 

どんどん変貌を遂げていく名駅地区。これからの未来を想像しつつ、アートを楽しみましょう。