もう一つの丸明朝体、解ミン

丸明オールドは、丸明朝体という新しいカテゴリーのフォントだということをお話ししました。

では、丸明オールド以外に丸明朝体はないのか?

もちろん、あります。
その代表選手が、今回ご紹介する「解ミン」。
解ミン 宙 H | 書体見本 | モリサワのフォント

丸明オールドは右端のウロコが丸くなっていたのに対し、解ミンは左端も丸みを帯びているのが見分けるコツです。

また、丸明オールドのひらがなは、明治時代の夏目漱石「吾輩は猫である」の本を参考につくられています。
そこが味ではあるのですが、ちょっと時代がかっているところはあります。

解ミンのひらがなは、もう少し現代的な「解ミン 月」と、レトロな雰囲気を残した「解ミン 宙」との二種類があって、使い分けられるのが特徴。

解ミン 月 R | 書体見本 | モリサワのフォント

モリサワから提供されているので、MORISAWA PASSPORT、TypeSquare などにも含まれていて、ライセンス的にも使いやすい。
このサイトでも、Webフォントで使わせていただいています。

ということで、このフォントも丸明オールドに負けず劣らず、いろいろなところで使われています。

小説でも。


 


デザートや菓子パンでも。

IMG_7720-566 kaimin-uzumaki1

 

スーパーに行けば、驚くほど多くの解ミンが並んでいます。

 

パッケージに解ミンを使ったときと、それ以外のフォントを使ったとき、どれだけ売れ行きが違うのか…。

それは謎ですが、少なくともここに一人、解ミンを見つけたらつい買ってしまう客はいるので、多少の売上アップには貢献しているかもしれません、

 

「かわいい」だけでなく、「おいしそう」と感じさせるフォント、解ミンのご紹介でした。

ダイナコムウェアのWebフォントサービス「DynaFont Online」

ダイナコムウェア株式会社は、同社が展開するDynaFont(ダイナフォント)シリーズをWebフォントとして使用できるWebフォントクラウドサービス「DynaFont Online(ダイナフォントオンライン)」の提供を2016年3月29日(火)から開始しました。

情報源: ダイナコムウェアもWebフォントサービス開始「DynaFont Online」 ● type.center


 

今回もWebフォントの話題です。
ダイナコムウェアが、Webフォントサービス DynaFont Online を開始したそうです。

以下のページに、DynaFont Onlineの特徴が説明されています。

DynaFont Online のメリット|Webフォント のご紹介|DynaFont Online

個人・ブロガー、Webデザイナー、プログラマーといった使用者のニーズに合わせた、Webフォント導入のためのツールが紹介されていて、わかりやすいです。

非商用なら、30日間無料体験可能。

 

さて、このサービスでも提供される、DynaFontについて。
他のフォントとの見分け方も簡単。「DF○○」というフォント名なら、DynaFontだよな! と憶えてください。

明朝体・ゴシック体といった基本的なフォントはもちろん、漫画や小説のタイトルロゴで使われるような個性的なデザイン書体も豊富です。

たとえば、DFP優雅宋

ストロークの先端と末端に花文字のような装飾が施されているのがかわいい。
羽海野チカさんの作品「ハチミツとクローバー」のタイトルロゴにも使われています。


 

映画版やアニメ版の公式サイトは、さらに刺繍のような装飾のロゴになっています。

ハチミツとクローバー

 

あとは金文体有名ですね。

 

今回はDynaFont Onlineの紹介でした。

ますますWebフォントの選択肢が広がって、いろいろなサイトで見かけるようになるのが楽しみです。

ウェブページに使われているフォントを調べるツール WhatFont

以前 Web Font の使い方について説明しました。

ところで、あらかじめ使いたいフォントがわかっていればいいのですが、フォントの種類が多すぎて憶えられない、という人は多いと思います。

また、訪れたウェブサイトで、なんだかいいな、と思ったフォントがあったとして。
それが何という名前のフォントなのか知りたくても、調べるのは手間ですよね。

今回は、そんなときに便利な、WhatFont Toolのご紹介。

WhatFont Tool – The easiest way to inspect fonts in webpages ” Chengyin Liu

 

ブックマークレット、Chrome、Safariの機能拡張として提供されています。

Safariの場合、インストールするとツールバーにアイコンが追加されます。

クリックするとフォント検索モードに入り、カーソルを当てたテキストのフォントが自動的にポップアップされます。

Screen Shot WhatFont Mac

ちなみに、↑はフォントや文字に関するいろんな情報が集まった type.center というサイト。
いろんな種類の Web Font を駆使して作られているので、見ているだけで楽しいです。
このツールは iPhone アプリ版もあります。

こちらもSafariの機能拡張として使うので、最初にアクティビティを有効にしておきます。

Screen Shot WhatFont iPhone 1

 

調べたいテキストをドラッグして選択しておいてから、WhatFont をタップすると、フォント情報が表示されます。

Screen Shot WhatFont iPhone 2  Screen Shot WhatFont iPhone 3

 

ぜひ、お気に入りのフォントを見つけてください!

マシュー・カーターのTEDプレゼンテーション「書体デザインの奥深い世界」が NHK Eテレで放映

NHK Eテレの「スーパープレゼンテーション」に、マシュー・カーターが登場。加えて放送ではヨーロッパで活躍する日本人書体デザイナーへの取材も行ったとか。書体デザインの奥深い世界とその魅力を伝えます。

情報源: マシュー・カーターのTEDプレゼンテーションがテレビ放映 ● type.center

 

明日 2016年3月23日の放映ということで、ご紹介。

WindowsやMacに搭載されている「Verdana」などのフォントを作ったデザイナー、マシュー・カーターさんによるプレゼンテーション、楽しみです。

 


以下、放送後の感想です。

 

マシュー・カーターさんのTEDプレゼン、そして日本人書体デザイナー・小林章さんのインタビューでした。

 

フォント(書体)作りは工業デザインのようなもの、という発言が印象的です。

 

ふだん何気なく目にしていて、気に留めなければ、それが誰かが作ったものとさえ思わない。
けれど、無意識のうちに、なじみやすさとか、使い勝手の良さに関わってくるもの。

そこに、しっかり使い手のことを考えてデザインされものと、いい加減に作られたものとの違いが現れる。

日本でいう「ものづくり」の精神にも通じるのでは。
プレゼンテーションでも紹介された「Vernada」(サンセリフ体)と「Georgia」(セリフ体)は、まだまだ現役ですね。

パソコン(とくにWindows)を使う方は、憶えておいて損はないと思います。

Verdana

Georgia

 

たとえ日本語の資料を作っていても、英語の単語や文章が出てくるところだけは、MSゴシックメイリオではなく、Vernada を指定しておくと、見栄えが違ってきます。

WindowsとMacの両方に搭載されている数少ないフォントでもあるので、どちらの環境でも作業するときにも便利。

 

活版印刷、写植、コンピュータ。それぞれの技術の発展に応じて、新しいフォントが作られ、あるいは廃れていきました。

そして、これからもきっとそれは続くでしょう。

人類がコミュニケーション手段として、文字で書かれた文章を必要とするかぎり。

 


欧文書体を楽しむならこの一冊。
マシュー・カーターさんのデザインしたVerdanaや、電話帳用フォント・Bell Centennial をはじめ、さまざまなフォントを写真付で紹介。

みなとまちをフォントの視点で楽しむ – アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016 プレイベント

私が暮らす愛知県名古屋市では、まちづくり・アートイベントなど、まちとひとが関わる、いろいろな取り組みが行われています。

いろんなイベントを見つけては、いろんな街に行っているのですが、そのときにも「フォントの視点」をもつと、さらに違った楽しみ方ができます。
今回は、名古屋港付近で行われている、Assembridge NAGOYA(アッセンブリッジ・ナゴヤ)をご紹介。

アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016│Assembridge NAGOYA 2016
2016年秋の本イベントに向けて、プレイベントが開催されたので行ってきました。

 

地下鉄の築地口駅を下りてすぐの商店街。

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今はなき三洋電機のロゴ、かわいい「sailors」の三角屋根など、見どころたくさん。

 

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良い丸ゴシック。

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良い明朝体。

 

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襲名式。

おそらく、もともと丸ゴシックの縦書き看板があって、そのあとで角ゴシックの横書き看板が取りつけられたのだと思われます。

丸ゴシックの看板も残しておいてくれてるのが嬉しい。
そのうち、見られなくなってしまうかもしれませんが…。

 
最後に、今回の総合案内所、港まちポットラックビル。

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まちづくり活動の拠点となっているこの建物は、かつては本屋さん・文房具屋さんだったようです。

忘れ形見のように、その記憶が刻まれていました。

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写真を撮るのを忘れましたが、ボタン店を改装したギャラリーでは、ZINE(ミニコミ誌)の展示もあり、フォントを題材にした作品もありました。

 

まちの移り変わりをずっと見つめてきた、街中のフォント達でした。