他人の気持ちを察しすぎてしまうときの、「受けとめて棚にあげる」考え方

このブログ「凪の渡し場」では、内向型、HSPといった人に特徴的な考え方、生き方について取り上げてきました。

ささいな変化に敏感だからこそ、いろいろなことに気づき、深く考えることができます。

けれど、その特質によって、他人とのかかわりで苦労することもあります。

攻撃的な物言いや相手のネガティブな感情を察しすぎて気が滅入ってしまったり、どう対処すればいいかわからなくなったり。

また結果として、相手の気持ちを察して行動したつもりでも理解されずに、報われない思いにとらわれることもあります。

 

細川貂々さんの「生きづらいでしたか?」という本では、生きづらさを感じていたご本人の体験と、そのような人々を支援する〈当事者研究〉という活動が紹介されています。

本を読んで印象的だったのは、貂々さんが自身のネガティブを「大事にしてくださいね」と言われるところです。

誰もがそれぞれの生きづらさをかかえていて、そのネガティブをいったん受けとめることも必要なのです。

それも含めて、自分なのだから。

 

けれど、自分だけでなく、他人のネガティブな感情まで引き受けてしまうことには注意が必要です。

根本裕幸さんの「人のために頑張りすぎて疲れたときに読む本」では、あえて「わたしとあの人は違うから」という言葉を使ってみることを薦めています。

「わたしはわたし、○○さんは○○さん」

そう口癖のように唱えることで、ついつい察しすぎてしまう相手の気持ちと自分の気持ちを分離して、棚上げすることができます。

 

棚上げというのは、けっして悪い意味のことばではありません。

列車や飛行機の中で、大勢の人がいる中、たくさんの荷物をかかえていては、自分の行動もにぶくなってしまうし、まわりの人に迷惑をかけることにもなります。

大事なもの以外は棚にあげることが、自分のためにも、相手のためにもなると考えましょう。

 

気持ちをいったんうけとめて、棚にあげる。

 

そうすることで、心も軽くなり、余裕が生まれます。

 

 

良いアイデアを生む「つながり」を科学する – ソーシャル物理学

社会物理学という言葉があります。

SNSや現実の世界など、ひとびとのつながりが生み出す社会の中で、良い〈アイデア〉や情報がどのように流れていくのか、そしてそれが人間の行動にどう影響するかを、数学的に解析する学問だそうです。

いままでの、いわゆる〈社会科学〉と違って、スマートフォンの普及によって大量かつ正確なデジタルデータが集められる時代だからこそ、このようなアプローチが可能になりました。

この本では、そのような社会物理学によって社会をどのように変えていけるのか、といったことまで書かれています。

まちづくりや都市交通システムにうまく応用できれば、渋滞を回避したり、インフルエンザなどの集団感染を抑えたりと、いままでにない住みやすい社会が実現できるような気がしてきます。

 

とはいえ、そんな壮大な話だけでなく、わたしたちひとりひとりがSNSをどううまく活用していくか、といったヒントになる考え方も示されています。

たとえば、良い情報、新しいアイデアを見つけるには、次のみっつが重要とされています。

  • 社会的学習がきわめて重要
  • 多様性が重要
  • 他人と反対の行動を取る人物が重要

なにもかもひとりで学ぼうとするのではなく、既に成功した人を真似する、社会的学習は非常に効率抑制かを上げることができます。

けれど逆に、みんなが同じ方向に進んでいるときは、集団に引きずられて誤った判断をしてしまう危険性もあります。

だから、あえてみんなと違うこと、常識に反する行動を尊重することが大事です。

 

「みんな同じ」ことに息苦しさを感じているなら、少し距離を置いてみる。

あるいは、まったく違う習慣を持つ複数のグループに身を置いてみる。

 

著者が〈つながりすぎた世界〉と呼ぶ現代を、うまく生きていくコツが、ここにはあります。

 

 

もちものから考える、やりたいことの実現

2019年も一週間が過ぎました。

年のはじめに目標を立てたり、やりたいことリストを作った人は、どのくらい実現できているでしょうか。

 

夢や目標を実現するためには、自分の〈もちもの〉を点検してみることが役に立ちます。

物理的に所有しているもの、たとえばパソコンやスマートフォン、自家用車などがあるかないかによっても、やれることは変わってきます。

それに加えて、資格や免許、機械を使いこなすスキルといった〈もの〉も、大きな要素になります。

 

大きな夢から逆算して、まずは何か「ものを手に入れる」という目標を立てるのも良いでしょう。

反対に、今年は「この資格を取る!」と先に決めてしまう方法もあります。

その資格を取ったあとで、ひろがった可能性の中から、ゆっくりとやりたいことを見つけてもいいのです。

 

そのいっぽうで、もちものが多ければなんでもできるかというと、必ずしもそうではありません。

せっかく高い買い物をしたのだから、使わないともったいない気がして、無理にでも使おうとしてしまう。

経済学ではサンクコストとして知られる概念ですが、既にかかった費用はもう戻ってくることはありません。

それをなんとか回収しようとすることで、かえってやれることの可能性を狭めてしまうこともあります。

それくらいなら、最初から使おうとしない、〈もちもの〉を増やしすぎないという手も考えられます。

 

どちらにしたって、人間が一生の中で手に入れられる〈もの〉は有限です。

そして、一年という区切りも365日、あるいは366日、けっしてそれ以上増えることはありません。

可能性は無限とはいいません。

けれど、ゼロにもならないのです。

 

大切なまいにちと。

大切なもちもの。

そして、やりたいことをやろうとする熱意さえ、ゼロでないかぎり。

掛け算すれば、大きな結果が得られます。

 

感情をベースにする、自分視点のふりかえり

早いもので、今年(2018年)もあとわずかです。

年始に立てた目標や、やりたいことリスト(ウィッシュリスト)を見直して、どれくらい達成できたかふりかえる人も多いでしょう。

ちなみにわたしは、2018年の100個のやりたいことリストのうち、残念ながら1/4程度しか実現できませんでした。

けれど、目標というのは時として、「どれだけ実現できたか」よりも、実現したことで「どれだけ嬉しかったか」のほうが大切なことがあります。

文字通り、達成度よりも達成感です。

 

リストを見返すことで、ひとつひとつ達成したときの楽しかった気持ち、あるいは実現できず悔しかった想いがよみがえってきます。

その過程もまた、次のやりたいことを実現するための足がかりになります。

(やりたいことリストを作ったことがない人は、ぜひ来年は作ってみることをおすすめします)

 

さて、ここでもうひとつ、気をつけたいことがあります。

それは、自分では達成できた、楽しかったと思っていても、別の人から見たら違うかもしれないことです。

 

たとえば自分では読んで面白かったと思った本、観て面白かったと思う映画でも、他人の「つまらなかった」という感想を耳にすると、それに引きずられてしまうように。

たとえばイベントに参加していても、まわりに退屈そうにしている人がいると気になって楽しめなくなってしまうように。

 

もちろん客観的な視点を得るのは大事なことで、仕事や学校など、社会的にはそれが評価基準になることも多々あります。

 

けれど、自分の立てた目標のふりかえりをするときには、自分視点を大切にしてほしいのです。

 

自分の人生が楽しかったかそうでないか、本当に評価できるのは自分しかいないから。

誰にとっても生の時間は有限で、他人の人生を生きる暇はありません。

 

今年も「凪の渡し場」にお越しいただきありがとうございます。

まだ年内に二、三回更新するのを目標とはしていますが(笑)、少し早めのご挨拶です。

よいお年を。

好きを発信する、夢をかなえる – 夢の猫本屋ができるまで

好きなことを仕事にする。

夢に描いた暮らしを実現する。

 

そんな言葉に、わたしたちは憧れをいだきます。

 

そんなにうまくはいかない、仕事にすれば辛いこともある、なんて理性的な言葉を口にする人はいるでしょう。

けれども、そうやって傍から意見を言うだけの人よりも、実際に動いて、夢の中心にたどり着いてしまった人のほうを、わたしは尊敬します。

この本は、そんな本です。

以前にネコと一緒に考える – 猫本専門店 Cat’s Meow Booksという記事でも紹介した猫本専門書店のオープン前後の経緯を、ライターの井上理津子さんが取材したものです。

店主となる安村正也さんは、ネコと本、さらにビールが大好きで、それらに囲まれて暮らしたいという夢を持っていたそう。

しかし、現在、ネット書店でもない、新刊書店を日本で新たにオープンすることは非常に困難な状況です。

それでも、安村さんは本屋さんや本に関するイベント・講座に通い、本屋開業を成功させるための柱となる4つの事柄にたどりつきます。

その4つの柱は、こちらのとおり(本文18ページから引用しています)。

  1. 「本×○○」のかけ算にして、その要素はありきたりでないモチーフにすること
  2. 別の職業を持っていることを強みにし、しばらくその職業をやめないこと
  3. メディアの取材記事に取り上げてもらいやすいように、コンセプトを固めること
  4. 広報手段に、名刺、ロゴ、ウェブサイトを持つこと

○○というのは、言うまでもなくネコ。

実際に「Cat’s Meow Books」を訪れるとわかるとおり、新刊も、猫たちが自由に闊歩する古本コーナーも、その棚は猫というテーマで統一されながら、実に奥が深いものになっています。

単にかわいい猫の写真集だけが並んでいるだけではなく、文学、美術、民俗学と、およそ一般的な本屋さんの棚に見られるであろうジャンルのすべてに、するりとネコが入り込んでいることがわかります。

本屋としてもじゅうぶんに素晴らしい。

しかも本物の猫もいて、「水曜日のネコ」をはじめとするビールも飲める。

近くに住んでいたら通い詰めてしまうに違いありません。

戦略としてネット販売はしないそうですが、店のコンセプト保護やフランチャイズ展開も見据えて商標権を取得しているそうですので、いつか名古屋店ができたりしないかと夢想しています(むしろ関わりたい、とさえ思います)。

 

そう、夢は描くだけではなく、実際にどうしたら実現できるか考えることが大切です。

さらには、自分の好きなことを発信することが大切です。

 

安村さんは以前から、ビブリオバトルという、自分が面白いと思った本を持ち寄って紹介するイベントを続けてきたといいます。

自分の好きなことを、どうやってまわりの人にも面白く感じてもらえるか考えながら伝える。

そこから、思わぬ共感の場がひろがって、何かが動き出すかもしれない。

それが「Cat’s Meow Books」を開くまでのみちのりに重なっていくようです。

 

本書には夢の空間を現実化するまでの、そして維持し続ける苦労が描かれつつ、同時に猫的な楽観主義が随所に顔を出して、なんだかとても幸せな気持ちになります。

応援したくなる気持ちとともに、自分の生き方にも力強い後押しを与えてくれた一冊でした。