人間の手がまだ触れないものづくり – 神の手・ニッポン展

今回はトリエンナーレとは直接関係ありませんが、近くで行われていた「神の手・ニッポン展」が予想以上におもしろかったので、ご紹介。
神の手・ニッポン展 | 東海テレビ

場所はテレピアホール。栄駅から地上に出て、芸術文化センターの南側を東に徒歩数分。

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コメダ珈琲が見えてきたら、目的地に到着です。この看板かわいいですね。

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「歯科」の筑紫オールド明朝に目を惹かれつつ、中に入ります。

 

館内の展示は撮影禁止でしたが、記憶に焼きつけたいと思うほど、繊細で精緻な作品ばかりでした。

物販スペースの一角に、唯一撮影可能なスポットがあったので、その魅力のひとかけらでも伝えられれば。

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ペーパーアーティスト・太田隆司さんの作品。

近寄ってみると、ひとりひとりの表情まで丁寧に紙で表現されています。

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島木英文さんのミニチュアハウス。

遠近法を取り入れた手法で作られたふしぎな空間。ずっとのぞきこんでいると、自分がその世界に入り込んでしまったような感覚が生まれます。

民家や商店のなかの小物も作りこまれていて、ディテールを探すのも楽しい。

広島の平和公園付近のお店を再現した「原爆で失われた記憶」も感銘を受けました。博物館に飾られるような復元模型ではなく、生きていた街が、そこにある。

 

 

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そして、個人的にいちばん好きだと感じたのが、SouMaさんの立体切り絵。

立体切り絵作家 SouMa ~ Agent WKHソリューションズ.Co.,Ltd – 切り絵作家SouMaのホームページ~お嬢な切り絵アート~WKHソリューションズ.Co.Ltd

一枚の紙から、一本のデザインナイフで切り出されたそれは、現実以上の存在感、立体感をもった純白の世界。

手にとって触りたい、でも触れない…。

 

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ほかにも、ビーズ織で作られた巨大な作品、ジオラマなどなど。

「神の手」という、ちょっとおおげさなタイトルをつけてしまうのも納得。人間の手による、人間の手に届かないようなものづくりを堪能できます。

 

テレピアホールでの会期は2016年9月4日(日)まで。

また、この展示は全国巡回されているようで、第二期も東京・目黒で11月から開催されるとのこと。今後も楽しみです。

 


思わず買ってしまったけれど、果たして作れるのかどうか(^^;

誤解されるフォント – 創英角ポップ体

これまで、このブログではさまざまな日本語フォントについて取り上げてきました。

多くのところで使われているフォントといえば、創英角ポップ体の話題を避けては通れません。

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マイクロソフト Office に標準で搭載されているフォントということで、Windowsユーザであれば誰もが一度は目にしたことがある、そして何の気なしに使ってしまったことがあるフォントだと思います。

 

しかし、フォントというのは、話し方やファッションのように、それぞれに目的があって使い分けるためのもの。

その場その場で、もっともふさわしいフォントは何か? を考えるのが本来のありかたです。

 

創英角ポップ体の場合、なんとなくパソコンに入っているから、太字で目立たせたいから、といった理由で使われてしまっている、というのが正直な印象。

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では、創英角ポップ体の本来の目的とは何なのか?

 

実は、それはしっかりとフォントの名前に示されています。

ポップ体のPOPとは「Point of Purchase」、つまり商品の購買意欲をそそるための広告の意味。
あの「HG創英角ポップ体」の元となった直筆生原稿を見た – デイリーポータルZ

レジの売り上げを管理するシステムをポス(Point of Sales)と言うのと同じ。

わたしのまわりで最近よく聞くところで言うと、コーチングツール・Points of You をPOYと略すのと同じです(笑)

 

それはともかく、広告だからこそ、わざと個性的な、目を惹くデザインがされているフォント。

なので、たとえばこんなのは、正しい創英角ポップ体の使い方ということになります。

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東京で見かけた、イオン系のスーパーマーケット・まいばすけっと。この看板がなければ、外壁や電灯からはスーパーとは気づけなさそう。

 

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こちらは…どうでしょう? なんとなく親しみは感じる気がします。それで購買意欲をおぼえる人がいるかもしれませんものね!

 

しかし残念ながら、商品とは関係のない場所で使われて浮いてしまっていることが多い創英角ポップ体。

その点で、もっとも誤解されている日本語フォントであると思います。

 

もちろん、フォント自体が悪いわけではありません。

そうと知らずに、うっかり本来の目的から外れた使い方をしてしまった人が悪いわけでもありません。

 

それはたとえば、セイヨウタンポポなどの外来種が在来種を駆逐して広がってしまったように。

いまさら誰が悪いと言ってみても仕方のないことではないかと思うのです。

 

ただ、強いて言えば、ポップ体というその名前が、そもそもの誤解のはじまり。

いまや「Point of Purchase」ではなく「Popular」のほうが通りが良いほど一般に人気のあるフォントになってしまったことが、歴史の皮肉と言えるかもしれません。

 

まさに文字通り、名は体を表す。

 

日本の街中をよみなおす – まちの文字図鑑 よきかな ひらがな

以前、街中の文字観察を楽しむ一冊として、「タイポさんぽ」という本をご紹介しました。

その後も「タイポさんぽ 台湾編」という続編が出版され、日本の漢字とはまた違う自由度の高いデザインを楽しめるものになっています。



といいつつ今回は、日本ならではの文字・ひらがなに焦点を当てた本をご紹介。


著者の松村大輔さんはブックデザイナーとしても活躍され、「タイポさんぽ」でもデザインを担当しています。

今回は逆に「タイポさんぽ」の著者、藤本健太郎さんが装丁を担当。なんだか、こういう関係性はいいですね(^^)

 

本のコンセプトはというと、街中にある看板などの文字から、ひらがな一字だけを切り出して、五十音図鑑をつくるというもの。

 

本来は店名や注意書き文のために組まれた文字を、あえてバラバラにすることで、見えてくることがあります。

「わかる」は「分ける」という言葉からきているように、分別することは、ものごとをより深く観察するのに大切な手法。

レタリングや文字の書き写しをするのでもないかぎり、ふだん、ひらがなの一字ずつを注意することはないと思います。

じっくり観察してみると、同じ文字でもこんなにデザインの幅が広いものなのか! と驚かされます。

 

これはぜひわたしもやってみよう! と思って撮った写真を見返してみたら、意外にも、ひらがなの写っているものがあまりないことに気づきました。

お店の看板はカタカナの店名ばかり。お店以外だと、ちょっと古い漢字で組まれたものばかり。

たまたま、わたしがそういうものに惹かれるのか、そもそもそういうものなのか。

 

それはともかく、やっと探し出したものをちょっとご紹介。

 

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全体写真はこちら。古い看板だと、経年劣化で筆の運びがレントゲン写真のように見えてくるのがおもしろいですね。
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これは…?

 

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東海圏ではおなじみの、和食チェーン「サガミ」。

小さいころからよく家族で食べに行きましたが、まさか「が」だけひらがなだとは! はじめて気づきました(笑)

 

という感じで「ひらがな」に着目して街中をよみなおすことで、新たな発見も得られます。

 

続編として「イイカナ カタカナ」も刊行予定だとのことなので、こちらも楽しみです!

 

瀬戸内ステンシル – 必要はフォントの母

さて、ではさっそくわたしの視点で、瀬戸内国際芸術祭の感想を書いていきます。

最初のテーマは、このブログらしく「文字」。

 

文字といえば、2010年の芸術祭の頃に強く思い出に残ったのは、男木島の港に浮かぶ男木交流館「男木島の魂」。

ですが今回訪れてみて、それ以外に印象的だったのは、街のあちこちにあるステンシル体でした。

 

ステンシルというのは、木や金属などのテンプレートに文字をくりぬいておき、それをなぞったり、上から塗装することで、いろいろな場所に文字を書ける手法。

テンプレートがひとつなぎになるように、文字に欠けた部分ができるのが特徴です。

必要に迫られてデザインされたフォントといえるでしょう。(厳密には、手書きのものはフォントではないですが)

 

宇野と直島をつなぐフェリーの中に、そんなステンシル体がいくつも残っていました。

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ひとくちにステンシル体といっても、字体もさまざまで、書いた人の個性を強く感じます。

なぜか消火装置ばかり(笑)

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そして、必要に迫られてといえば、これも男木島で有名なオンバ・ファクトリー

ONBA FACTORY

坂や路地の多い島内で暮らすための必需品であるオンバ(乳母車)を制作する工房。

そのオンバに刻まれた「ONBA FACTORY」のロゴも、しっかりステンシル。

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せっかくなので、工房の方に話を伺えれば良かったのですが…また次に訪れた機会にはきっと!

検索してみると、2010年4月ですが、ステンシル制作の様子を公式ブログで見つけました。

ONBA FACTORY

 

必要性から生まれる美しさという点で、アートとフォントの共通点を感じる体験でした。

さくらのレンタルサーバで、モリサワの日本語Webフォントが無料で使える!

以前、モリサワの日本語Webフォントサービス「TypeSquare」をご紹介しました。
このサービスでは、無料で一種類だけフォントが使えるというのが特徴ですが、見出し・本文など、複数のフォントを使いたいというシーンは多いと思います。

そんな中、なんと、さくらインターネットの提供する「さくらのレンタルサーバ」では、モリサワと協同し、30種類のフォントを無料で使えるようになりました。

そして、幸運なことに、このブログ「凪の渡し場」も、さくらのレンタルサーバを使っています。

実はブログ開設のとき、他のレンタルサーバとも比較して迷ったのですが、今回ほど、さくらインターネットにしておいてよかったと思うことはありません。

もちろん、けっしてステマではありませんよ(笑)

むしろ、これを機会に、ほかのレンタルサーバでもさまざまなWebフォントサービスとの提携が広がっていくことを期待しています。

さて、ではさっそくブログ運営者向けに、試したかぎりの使い方をご紹介。
詳しくは公式FAQも参照ください。

ブログ運営者以外の方は、フォントテーマによってどんな違いが生まれるか、スクリーンショットだけでもご覧ください。

Webフォント利用ドメインの設定

まず大事なことは、Webフォントは一つのドメインでしか使えないようです。
サブドメインや、独自ドメインを運用している方は、コントロールパネルにログインして、Webフォントを使いたいドメインを選んでおきます。

プラグインの有効化

次は、Wordpressの管理画面でプラグインを有効化します。

新規に契約した人は、Wordpressをインストールする際に自動でプラグインがインストールされるようですが、既に運営中の場合、「TypeSquare Webfonts さくらのレンタルサーバ」という名前のプラグインをインストールして有効化します。

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プラグインの設定

プラグインを有効化すると「TypeSquare Webfonts」というメニューが設定に現れます。

フォントテーマ設定」で、ブログ全体のフォントテーマを選ぶことができます。
フォントテーマを更新する」をクリックすると、すぐにブログに反映されます。

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フォントテーマによる違い


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ファッション」を選んでみると、こんな感じ。見出しは以前も使っていた「解ミン 宙」がB(ボールド/太字)になったものなので、けっこう似た雰囲気になっていますね。


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小説」だと、こう。見出ミンとA1明朝という組み合わせ、本当に書籍でよく見られる明朝体を再現できるのは感動的です。


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最後に「モダン」。見出しのすずむしフォントがめちゃめちゃかわいいですね!(^^)

上級者向けのカスタマイズ

見出し、リード、本文として設定するクラス(タグ)をカスタマイズすることもできます。

たとえば、標準では h1,h2,h3, entry-title タグが「見出し」と認識されますが、このブログでは記事中のサブセクションにh3タグを使っているので、h3タグは「見出し」ではなく「リード」のフォントを適用してみることにしました。

カスタムフォントテーマ」では、各クラスに適用されるフォントを自由に組み合わせてカスタムのテーマを作ることもできます。

また、「フォントテーマ個別表示設定」を「表示する」にすると、個別の投稿ページでテーマを切り替えることができます。

このブログのように複数のジャンルで記事を更新している場合、記事によっては、デフォルトで設定したテーマは合わない…ということもあるので、そういうときに重宝しそうです。

ちなみにこの記事は「ニュース」を選んでみました。

要望としては、カテゴリごとにテーマを設定できるようになると便利かもしれません。

これから、ますます日本語Webフォントの世界が広がりそうです!


さくらのレンタルサーバ スタンダードのお申込みはこちら(公式ページ)