LINE BLOG の Webフォントを試す (2)

引き続き、LINE BLOG で使えるフォント、残り20種類を試していきます。前回の記事はこちら

 

UD 角ゴ

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UD はユニバーサルデザインの略。スマートフォンの小さい画面でも読みやすいフォント。ちょっと縦長のコンデンス書体が使われているようです。

 

ロダンわんぱく

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ロダンわんぱく、名前がかわいいですね(笑)。

直線と曲線を自由に組み合わせたひらがなやカタカナ、こどもといっしょにパズルを解いているような楽しさがあります。

 

スーラキャピー

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前回紹介したスーラよりも、もっとゆるい雰囲気のスーラキャピー

リリースされたのは1987年(昭和62年)だそうなので、ちょっと昭和を感じるというか、思わずキャピキャピという言葉(死語?)を連想したのですが、関係があるのかどうかは知りません。

 

学参丸ゴ

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学参というのは、学習参考書のこと。丸ゴシックでも、スーラよりちょっとまじめな雰囲気にしたいときにどうぞ。

 

ニューシネマ

 

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名前の通り、映画の字幕に使うことを想定したニューシネマ。観た映画の感想を書くとき、ぜひ使ってみたいです。

 

ハミング

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丸ゴシックのように見えて、よく見ると筆の強弱がリズミカルなハミング。筑紫書体と同じく、フォントワークス藤田重信さんのデザイン。

 

ライラ

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ロゴでもよく使われるライラ。このあたりのデザイン書体は、長文で表示されるとちょっと読みにくいかもしれません。

いまのところ、タイトルと本文のフォントを変えることができないようなので、なるべく短い文章のときに使ってみては。

 

アーク

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LINE BLOGのアプリをインストールして、いくつかのブログを検索していたところ、このアークが使われているものを見つけて一目惚れしました。

このフォントを使うだけで、女子力の高いブログになりそう。

 

マティスみのりやまと

LINE BLOG - マティスみのりやまと

マティスの漢字と、うねりのあるひらがなやカタカナを組み合わせたマティスみのりやま

ちょっと、まだ使いどころが想像できません。

 

マティスえれがんと

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これもひらがな・カタカナだけデザインが違う、マティスえれがんと。昔の少女漫画ふう、くるくるっとした巻き毛のイメージ。

 

スランプ

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スランプは以前まちなかで見かけましたね。これも長い文章を書くというより、短文で使いたいフォント。

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万葉行書

LINE BLOG - 万葉行書

 

万葉草書

LINE BLOG - 万葉草書

行書体草書体もちゃんとあります。

 

万葉古印ラージ

LINE BLOG - 万葉古印ラージ

これは古印体。つかもうぜ、ドラゴンボール!といいたくなる世代(笑)

 

ミステリ

LINE BLOG - ミステリ

ミステリと言うより、ホラー?

 

大江戸勘亭流

LINE BLOG - 大江戸勘亭流

いわゆる江戸文字のひとつ、歌舞伎の看板などに使われた勘亭流

 

古今江戸

LINE BLOG - 古今江戸

読みやすく力強いデザインの古今江戸。江戸文字というジャンルにとらわれず、いろいろと使いどころがありそう。

 

ラグランパンチ

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マティスに負けず劣らず人気のラグランパンチ。そのうち別途取り上げます。

 

ベビポップ

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すずむしにも近い雰囲気で、かわいいベビポップ。育児・子育て日記をベビボップで書くと合いそうです。

 

ドット明朝

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まるでオチのように、リストの最後に用意されています(笑)。

あえて、昔のコンピュータゲームや携帯電話の雰囲気を出したいときに使ってください。それ以外でドット明朝を使われると、正直ちょっと…。

 

 

以上、LINE BLOG 全31種のフォントを、ざっとご紹介しました。

 

LINE BLOG のおかげで、Webフォントの垣根がぐっと低くなったように感じます。

自分で記事を書いていくうちに、また新たな使い方を発見していくこともあるでしょう。

いろんな人の、いろんなフォントの使い方を見ていくのも楽しそう。

 

自分の想いを表現する手段のひとつとして、フォントを楽しんでみましょう。

 

 

LINE BLOG の Webフォントを試す (1)

LINE BLOG が一般ユーザーでもアカウントを開設できるようになって、話題になっています。

特徴のひとつになっているのが、アプリから、簡単にWebフォントを設定できること。

 

そこで、実際にどんなフォントがあるか試してみました。

iOS版の2016/11/24現在、iOS版のバージョン1.0.1で設定できるフォントはフォントワークスの書体を中心に、なんと31種!

毎日ブログを更新しても、一ヶ月のあいだ、日替わりでフォントを変えることができることになります。

そこまでしなくても、記事の雰囲気に合ったフォントを簡単に選べるのは大きな利点です。

 

今回は、そのうちの11種類を試してみます。

 

標準フォント

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iOSの標準フォントということで、ヒラギノ角ゴシックでしょうか。

Androidで見た時は、どうなるのかは不明です。誰か試してください(^^;

 

筑紫明朝

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ふたつめにフォントワークスの筑紫明朝をもってくるラインナップが素晴らしい。格調の高い明朝体。

 

筑紫アンティーク

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筑紫書体だけでも5書体も選べます。アンティーク明朝は、普通の明朝体より時代を感じさせます。

 

筑紫ゴシック

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筑紫書体のゴシック体もあります。「あ」の、ぐっと曲がった横棒がかっこいい。

 

筑紫オールドゴシック

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筑紫オールドゴシックは、文章がくっきりと目立って見えます。

 

筑紫A丸ゴシック

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筑紫書体のラストは、Macでもおなじみ、かわいい丸ゴシック。

せっかくなら、人気の筑紫Aオールド明朝もほしかったですね。今後に期待です。

 

マティスV

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マティスといえばエヴァンゲリオン公式フォントで有名なあのフォントですが、マティスVはそこまで文字が太くなく、現代的に見えます。

 

テロップ明朝

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テロップ明朝は、その名の通りモニタ上で見やすくデザインされた文字。筑紫明朝が少し見にくいと思ったら、こちらを選んでみるのもいいでしょう。

 

グレコ

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グレコは、すっきりした楷書体。和風の雰囲気がよく出ています。

 

ニューロダン

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こちらも読みやすいゴシック体。

 

スーラ

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スーラ! ゆったりとしていて自然体の丸ゴシックです。
なかなか気に入ったので、初投稿はこのフォントにしてみました(^^)

 

今回はここまで。最初はオーソドックスなフォントを紹介しましたが、次はもっと個性的なデザイン書体も試してみます。(つづきはこちら

書体デザイナー 藤田重信 – NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

筑紫書体などを生み出してきたフォントワークスのデザイナー、藤田重信さん。その藤田さんの仕事に迫る番組が放映されました。

藤田重信(2016年6月13日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

 

実際にフォント製作の現場を見て、あらためて何万という文字をデザインするのは、気の遠くなるような作業だと感じます。

しかも、一字が完成したと思っても、他の文字と組んだときに不自然な部分を修正する必要が出てくる。

そうなると、また別の文字が気になって…という、精緻に組み上げられたパズルのような世界。

 

そんな作業の中でもフォントの個性を保つために、「ためらわずに振り切る」ことで突き抜けたデザインをしていく。

「異端」と言われていますが、文字通りのプロフェッショナル。

 

開発中の書体をTV取材で公開したり、ブックデザイナーの祖父江慎さんや字游工房(競合他社!)の鳥海修さんに見てもらうというのも驚きです。

鳥海さんいわく、自身の「引き算」のデザインに対して藤田さんのデザインは「足し算」。

 

もともと、昔の文字に見せられてフォントに目覚めたという藤田さん。

たとえ今最先端の文字を作っていても、そこには過去何十年、何百年と「日本語の文字」を使ってきた人たちの思いが込められています。

 

だから、最終的にはひとりでデザインしたとしても、けっしてひとりだけの文字ではない。

もちろん、フォントがリリースされ、多くの人に使われることで、さらに未来まで、その文字は残っていくという夢があります。

 

デザイナー、クリエーターという仕事の奥深さを感じました。

 

 

いきいきとした新世紀の明朝体 – 筑紫明朝

ヒラギノ明朝を紹介したので、次はヒラギノ角ゴ…と予想した方がもしいたら、なかなかわたしと近いフォント観。(フォント観ってなんだ?)

実際そうしようと思っていたのですが、ちょっとおもしろい事例を見つけたので、先に筑紫明朝のお話をします(笑)

 

筑紫明朝(つくしみんちょう)は、マティスと同じ、フォントワークスからリリースされているフォント。

 

フォントワークスの年表を見ると、マティスが1992年のリリース、筑紫明朝は2004年。

マティスと言えば新世紀エヴァンゲリオンですが、フォントワークスとしては新世紀のフォントは筑紫明朝のほうなのですね。

 

おもしろいのは、新しいフォントであっても、むしろ活字のような雰囲気を感じること。

 

いきいきした感じ。

生々しい漢字。

 

本のタイトルや、小説の本文で使われていても、とても映えます。

 

本のタイトルには、むしろバリエーションの筑紫Aオールド明朝のほうをよく見かけますね。

」の字を見比べると、わかってもらえるでしょうか。
オールド明朝のほうが、横棒が太くはじまって細くなっていく、筆遣いが強調されています。

 

さらに筑紫アンティーク明朝というものもあります。

「文」の字のはらいも表現されていて、名前どおり、アンティークな雰囲気をだしたいときにぴったりです。

あっ、ちなみにこの特別展はまだ行けてません。
夏に大阪に巡回するらしいので、その機会を狙ってます。

興味のある方、フォント観の近い方、お誘い合わせの上で行きましょう(笑)

 

さて、筑紫明朝に話を戻して。冒頭に言った、おもしろい事例というのはこちら。

木や石などの天然素材で建物を作る、三角屋のホームページ。

ほぼ日刊イトイ新聞が、最初で最後の「よその会社のホームページを作る仕事」をしたという、このサイト。

訪れてみると、Webフォントで筑紫明朝が(しかも縦書きで!)使われている、というのに嬉しくなりました。

フォントを見るだけで、ものづくりのことをしっかり考えている会社なんだな、と安心します。

 

そんな信頼感も伝える、筑紫明朝のお話でした。

時に、西暦2015年—「あの作品」のフォント:マティス

今回は、マティスというフォントを紹介します。

 

マティスは明朝体の中でも、特に筆運びの重厚感を表現したデザインが特徴のフォント。

名前は聞き覚えがなくても、どこかで目にしたことがある、という人は多いはず。


エヴァンゲリオン 公式サイト


ご覧のように、社会現象となったアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で、字幕やサブタイトルなどで非常に印象的な使われ方をしました。

マティスを発売している会社・フォントワークスの公式サイトによると、当時は作品にこのフォントが使われていることを知らなかったそうです。
TVシリーズの放映後、急にフォントが売れ出して、それではじめて知ったとのこと。


LETS|特集 フォントストーリー(Story of the font) Chapter2:マティス-EB  エヴァンゲリオンのL字型サブタイトルで使用されたあの極太明朝体


いまや、さまざまなアニメやゲームで「フォント協力」として、このフォントワークスの名前がクレジットされることも多いので、探してみるのも面白いです。
さて、昨年は作品の物語がスタートした2015年に当たるということで、いろいろなコラボイベントが行われていました。

これは名古屋パルコで開催された海洋堂フィギュアワールド。

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あれ、何か印象が違う…?

って、これヒラギノ明朝じゃないですか!
設営した人がMacユーザーだったのでしょうか…。

 

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これは会場で買ったクリアファイル。これはマティスっぽいですが、ちょっと違和感が。

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縦に110%拡大してみると、それっぽさが増しましたね。こうやって縦長にすることを、長体といいます。

 

それから、JR西日本の山陽新幹線40周年記念で運行されている、500系新幹線エヴァンゲリオンプロジェクト。

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ちゃんとパンフレットもマティスを使っていますね!

新幹線車内もマティスづくし。

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カーテンを開けたら、すみっこにもマティスという芸の細かさ。

 

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Kioskのお土産売り場もマティスということで、フォント好きにもエヴァ好きにも見ごたえ充分のイベントです!

 

 

今回は、エヴァの作品世界を彩るフォント、マティスについてお話ししました。

【追記】

公式ストアでも、エヴァンゲリオン公式フォントとして発売されています。






おまけ。エヴァで明朝体のフォントが使われたのは、「犬神家の一族」などの市川崑作品の影響が強いのだそうです。

マティスとは違うフォントですが、デジタル化以前の映画のフォントのことがわかって面白いです!