新春・甚目寺タイポさんぽ

あけましておめでとうございます。

今年もまた、新たな視点を記事に載せてお届けできたらと思います。よろしくお願いします。

 

さて、新年の初詣は、尾張四観音がひとつ、愛知県あま市の甚目寺観音に行ってきました。

 

尾張四観音とは、江戸時代、名古屋城の東西南北を守護するために定められた四つの寺。

尾張四観音 | 識る | 名古屋を知る | 名古屋観光情報 名古屋コンシェルジュ

「尾張四観音」のページです。名古屋とその周辺の観光・イベント・コンベンション情報を提供する名古屋市の公式観光サイト「名古屋観光情報 名古屋コンシェルジュ」。名古屋の観光情報ならここをチェック!

北は甚目寺観音。

南は笠寺観音。

東は龍泉寺。

そして西は荒子観音。

毎年、その年の恵方に当たるお寺にお参りするのが良いとされています。

 

平成29年の恵方にあたる甚目寺観音の最寄駅は、名鉄甚目寺駅。

名古屋駅からは、一宮・岐阜方面の電車に乗ってから、須ヶ口駅で津島線に乗り換えて一駅です。

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改札口を下りると、さっそく路上観察にはうってつけな街並みの予感。

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いろいろとすごい美容室です…!

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まちあるきといえばマンホール。

ここは、2010年(平成22年)までは海部(あま)郡甚目寺町でした。

ということで、マンホールも、むかしの町名といまの市名が混在しています。

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「あまし・おすい」とひらがなで書かれると、なんだかよくわからない…。

 

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これも甚目寺町名義になっています。

こういった「飼い主があとしまつ」系の看板も、あちこちで見かけますね。

少し前から気になって収集しているので、いずれまとめたいところ。

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かと思えば、こんなかわいい「とまれ」も。

でもこれ、パンダの視点だと、左と右が逆では…?

 

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いい加減に甚目寺観音に向かいましょう。八画文化会館さん命名のハッシュタグでいうところの、宝石になった街路灯。

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角ばった和ろうそくのロゴがかわいい。

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貴重なローカルコンビニ? OKマートが見えてきたら、もう道路の向こうが甚目寺観音です。

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境内の街灯にもOKマート。

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けっこうな人出でした。

裏返っていますが、のぼりには節分会の案内が。

そういえば、元日に初詣をするのは明治以降に鉄道網が発達してからの風習なので、恵方参りとしては今日行かなくても良かったのでした。

まあ、それはそれとして、久しぶりにまちあるきをしてみたくなったのです。

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今年一年の無事を祈りつつ、帰路につきます。

 

おまけ。駅構内にPOP体が…。

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たどりつけない世界 – panpanyaの楽園コミックス

いよいよ今年も残りわずか。

無事に大掃除もひと段落して、心おきなく新年をむかえられそうです。

 

あと、やり残したことといえば、2016年、文章とものがたりをあじわう10冊で触れられなかった、今年に読んだマンガの紹介。

ほんとうは、新しい視点を味わうことのできる作品として、何冊かピックアップするつもりでした。

しかしやはり、この作品(作家)は単独で紹介したいな、と思いました。

それが、白泉社の漫画雑誌「楽園」と、そのWEB増刊に掲載されている、panpanyaさんの作品。

 

もし、あなたがこの記事を2016年中に読んでいるのなら、いますぐ以下のリンクから、WEB増刊12月18日号のpanpanya作品「今年を振り返って」を読んでもらいたいです。期間内であれば、無料で読めるので、ぜひ。

楽園 | 白泉社

「恋愛欲を刺激する」がテーマの新しいコミックアンソロジー「楽園」の紹介ページです。

読み終わったら、この記事にもどってきてくださいね。

 

いかがでしたでしょうか。

 

大掃除の途中に、つい昔の本や雑誌を読みふける、という経験は誰しもあると思いますが、いつのまにか位相がずれて、もどってこれないような場所に迷い込んでしまったような感じ。

そんな、日常ではたどりつけないような場所に読者を誘うのが、panpanyaの世界。

 

何気ないふだんの生活に。

まちあるきの途中に。

ふと出会う、得体の知れない動物たち。見慣れない世界。

 

単行本には、作者の公式サイトで公開されている日記の一部も収録されています。

この方の文章もまた、わたしにとってここちよく、心にしみこんできます。

そこにはやはり、路上観察学などに通じる視点があります。

そんな作者の視点から生み出された作品だからこそ、見覚えがあるようでない、新鮮な光景を垣間見ることができるのでしょう。

 

大掃除のときならずとも、折にふれて、何度でもくり返し味わいたい作品です。

 

 

文章であらわす、わたしの姿 – 北村薫の創作表現講義

文章表現には、その著者だけの視点があらわされています。

だから「表現」の文字も「著」の文字も、「あらわす」と読むことができる。

今回は、わたしが読者として偏愛し、また書き手としても憧れを抱いている作家の一人、北村薫さんによる文章表現の本をご紹介します。

 

北村さんは高校の国語教師をするかたわら、日常の謎を描いたミステリ「空飛ぶ馬」で作家としてデビューしました。

当時は、プロファイルを明かさない覆面作家としてデビューしたため、作中の語り手と同じ女子大生だと思っていた読者もいたとか。

のちに、経歴と性別(念のため、男性です)を明らかにして、小説だけでなく評論やアンソロジーの編集などで活躍されています。

 

この本は、北村さんが母校の早稲田大学で受け持った表現の授業をもとにつくられたもの。

昔の小説を題材にした講義や、現代の作家・編集者を招いてのインタビュー、それを学生たちがコラムの形にしていくワークショップなど。

思わず自分も学生として参加したくなるような「北村薫の授業」が、ここにあります。

 

さらに、本の中盤では、北村さんが当時NHKの番組「課外授業 ようこそ先輩」に出演されたときのエピソードも収められています。

この番組は、出演者が卒業した小学校を訪れ、後輩の児童に特別授業を行うというもの。

大学生と小学生という受け手の違いから、授業の表現方法は変わっても、北村さんらしい視点がここにもあらわれます。

 

北村さんが授業を通して伝えたかったというのは「はてな、と思うことの大切さ」。

こどもたちがまちなかで「はてな」と思うことを探し出し、それを自分の物語にしていきます。

 

日常の謎、それは路上観察学やトマソンにもつながる視点。

普通ならそのまま通り過ぎてしまう日常を「謎」という視点で読み直すと、また違った物語が見えてきます。

 

人の視点の数だけ、ものがたりが生まれる。

そのものがたりにあらわれる「わたし」の姿、「あなた」の姿。

文章表現を大切にするということは、それを大切にするということでもあります。

 

 

国鉄中央線の記憶をたどる – 愛岐トンネル特別公開

中央線と言っても、東京ではなく、東海のお話。

 

JR名古屋駅からやってきた電車が高蔵寺駅を過ぎると、トンネルを通り、愛知県と岐阜県の県境を越えて多治見駅に向かいます。

いまでは10分程度で通り過ぎる、この区間のそばに、100年以上の昔、明治時代に作られた赤レンガの旧線が眠っています。

 

それは、忘れられかけた日本近代化遺産のひとつ。

 

その廃線路の記憶を呼び覚まそうと活動に取り組んでいるのが、愛岐トンネル群保存再生委員会。

愛岐トンネル群保存再生委員会 公式サイト

愛岐トンネル群の「秋の公開」が近づいてきました。11/26(土)~12/4(日)の特別な9日間です! 秋と言えば、やっぱり紅葉。 紅葉と明治の赤レンガトンネルが一緒に味わえる愛岐トンネル群へお出かけください。愛岐トンネル群保存再生委員会では、 公開に向け整備に頑張っています。

今回は、平成28年秋の特別公開に行ってきたので、その様子をご紹介します。

 

最寄駅はJR中央本線・定光寺駅

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ふだんは普通列車しか停まりませんが、特別公開中は一部の快速列車も臨時停車するようです。

 

定光寺駅はトンネルとトンネルの合間、崖っぷちのようなところにホームが作られています。

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名古屋からほど近いのに、まるで秘境駅の雰囲気を感じられる駅としても有名ですね。

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JR東海のICカード・TOICA圏内なので、Suica・ICOCAも使えます。

 

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2016年現在、保存再生活動の対象として一般公開されているのは 3号〜6号トンネル。

定光寺駅に近い3号トンネルが入口になります。中学生以上は、保険料・施設整備費として100円が必要。

 

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3号始発駅。すみ丸ゴシックではないですが、ちゃんと駅名標が用意されています。

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トンネルの中や外のあちこちに、かつての施設の痕跡やバラストが残されていて、あえて整備しすぎないようにしている印象を受けます。

路上観察学にも通じるものがありそう。

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かと思えば、誰が作ったのか、こんなかわいい木彫りの動物がいたり。

 

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3号トンネルを抜けると、竹林駅

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緑あざやかな竹林を抜け、さらに4号トンネルへ向かいます。

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大モミジ前駅。渓谷と色づくもみじの景色が楽しめます。

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会員の方のの手作り水車のある、水車前駅

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さらに進むと、お弁当や飲み物売り場のあるマルシェ駅

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せっかくなので、エビ味噌カツ弁当をいただきますね。

 

体力を回復したら、5号トンネルへ。

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トンネルを抜けると、レンガ広場前駅

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C57型SLの動輪が展示されていました。

自転車のペダルをこぐことで動かすことができる、というめずらしい動態保存の形式。

 

そして、いよいよラスト、6号トンネル。

ここまでは100m未満のトンネルばかりでしたが、6号トンネルは全長333m。

工事中に崩落があったために80m延長したそうで、トンネルの途中に元の入口跡があります。

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こんな神秘的なパイロンは初めて見ました。

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懐中電灯がないと、ほんとうに真っ暗。iPhoneの懐中電灯機能でもいいですが、ちゃんとしたものを持っていくことをおすすめします。

 

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そして、トンネルを抜けると、終点の県境駅

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そう、この先はもう岐阜県多治見市。

向かいの7号トンネル自体は名古屋市の所有ながら、いろいろ壁があって、行くことはできないのだそうです。

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委員会としては、7号、8号トンネルも公開対象として、その先の古虎渓駅までつなぎたいとのこと。

ふしぎな言い方になってしまいますが、いつか、この廃線跡が全線開通する日の来ることを待ち望みます。

 

 

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ということで今回は、来た道を戻ります。意図的か偶然か、「アイチしょうゆ」のかごを横目に。

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ゆっくり探索しながらだと、往復2時間くらいの道のりでした。次回は2017/5/3(火)〜5/7(土) に公開予定とのこと。

 

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おまけ。やけにフレンドリーなよびかけの中部電力さん。

 

原爆ドームと広島のまちを俯瞰する視点 – おりづるタワー

広島のまちの風景といえば、原爆ドームを思い浮かべる方も多いでしょう。

昭和20年8月6日。あの日以来、時を止めてしまったようなその光景は、何度訪れても胸がいっぱいになります。

 

その原爆ドームの東隣に、2016年(平成28年)、おりづるタワーという施設がオープンしました。

おりづるタワー HIROSHIMA ORIZURU TOWER

今まで見たことも感じたこともない空間、「おりづるタワー」は世界遺産・原爆ドームの隣にオープンした新しい観光名所です。

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1Fの無料開放エリアは、カフェと物産館になっています。

握手カフェと名づけられたこちらでは、もみじ饅頭アイスや、広島風お好み焼きをタコス風スティックにした「オコス」など、オリジナルメニューが盛りだくさん。

お好み焼きは食べたいけれど、ちょっと量が多い…というときにも良さそうです。

それまで原爆ドーム周辺に少なかったお土産屋を含め、繁華街である紙屋町・本通への回遊性も考えられています。

有料スペースとなっている展望台の入館料は、おとな1700円。後述する「おりづる投入」を体験する場合は+500円かかります。売上の一部は原爆ドーム保存や広島市の平和推進事業にあてられるとのこと。

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展望台へは、スロープか直通エレベータで向かいます。かなりの高さがあるので、健康面に不安のある方はエレベータを使いましょう。

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12Fでエレベータを降り、屋上展望台・ひろしまの丘へ。

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これは小塚ゴシックでしょうか。

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正面階段を上ると、一気に視界が開けます。

 

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原爆ドームはもちろん、広島平和記念資料館、旧広島市民球場まで、広島のまちが一望できます。よく晴れた日には、瀬戸内海や、宮島の弥山まで見渡せるのだとか。

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これまでも、そごうの高層階から部分的に見渡せるところはありましたが、ここまでのパノラマで平和記念公園を見下ろす視点は無かったのではないでしょうか。

この体験を設計したのは、瀬戸内国際芸術祭の舞台でもある犬島精錬所・直島ホールなどを手がけた三分一博志さん。
配布されていたフリーペーパーによると、広島の「風と水のリズム」を感じてほしいとのこと。

三分一さんは、おりづるタワーのオーナーであり、広島マツダの社長を務めていた松田哲也さんの同級生という縁でビルの改装を頼まれたそう。

現代の広島のまちの魅力を伝えるという想いが伝わってきます。

 

平和記念公園をずっと眺めていると、修学旅行生がひっきりなしに訪れる様子が見えます。

原爆ドームは時間が止まっているように見えて、その周辺は、絶え間なく移り変わっていきます。

 

 

ひとつ下の12F。ここでは原爆ドームを、また違った視点で見つめることができます。

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原爆ドームが原爆の被害を受ける前、そこは広島県物産陳列館でした。その建物を設計した建築家、ヤン・レツルにまつわる展示。

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また、原爆の爆心地はドームではなく、少し離れた島外科内科。その場所も、ぜひとも記憶にとどめておきたい。

 

その横、おりづる広場は、折り鶴をモチーフとした体験スペースになっています。

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そしてここで、自分で折った鶴を、ビル壁面の空間、おりづるの壁に投入することができます。
入館前は、500円は少し高いと思ってしまったのですが、ここに来ると、体験しないともったいないという気持ちに。

カウンターで5枚の折り紙を渡され、好きな数だけおりづるを作ります。

投入のことを考慮して、紙は少し固め。

折り方をおぼえていない人も、解説があったり、案内の人がいるので安心です。
折り目に沿って、模様がついた紙もあります。
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Processed with Rookie Cam

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3人家族にしてみました。

案内に従って、ガラス貼りのおりづるの壁へ。一羽ずつ、静かに投入していきます。

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まっすぐ下りていくものもあれば、ループを描いていくものも。
途中で引っかかって止まるものもあるそうです。

こうして、オープン以来、来場者の折ったおりづるが、少しずつ積み重なっていきます。

高さ50mの壁がいっぱいになるまでには、100万羽のおりづるが必要。いまのペースだと、数年はかかるとのこと。
いっぱいになったら、また再生紙として折り紙などに活用されるそうです。

ちなみに、平和記念公園に届いた千羽鶴はいままでも、障碍者支援事業と協力し、再生紙としてよみがえっています。

おりづる再生プロジェクトとは |おりづる再生プロジェクト

株式会社 文華堂 〒730-0042 広島市中区国泰寺町2-5-3 電話/082-241-2415 FAX/082-241-2459 …

 

想いは形を変えて、何度でもよみがえる。
スクラップ・アンド・ビルドで、この国は発展してきた。

そんなことを感じさせます。

 

帰りは、スロープでゆっくり下りていきました。

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漫画家・佐藤秀峰さんの作品も展示されています。

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これは違うサトウさん(^^;
おりづるタワーに合わせて設置したものではないと思いますが、まさか、こんな間近で見られることになるとは想像していなかったのではないでしょうか。

 

展望台は、当日であれば再入場可能とのこと。

今回は昼しか訪れることができませんでしたが、夕方や夜景も綺麗そう。

春には平和記念公園を桜が彩るということで、ぜひまた訪れたいですね。

 

四季折々や時刻の変化とともに移り変わる広島のまちを体感できる、新しい広島名所の誕生です。